スィーロム通りのどこやらの小路をタイ人の友人と歩いていた時、
個人宅の植え込みに咲いていた “ 小さな赤い花 ” が目が留まりました。


お世辞にも “ 華やかな花 ” とは言えませんが、
花房よりも圧倒的に大きい緑葉を持つ、まさに、植え込みに相応しい花木です。
( 下写真 )

         彼 『 タイでは、“ バタウィアの花 ” と呼ばれています 』(注1)                   僕 『 ジャカルタの古い名前のバタヴィアのこと? 』
         彼 『 そうです。 理由は知りませんが・・・ 』

(注1)  ดอกปัตตาเวีย ドーク・パッターウイア 

タイに魅せられてロングステイ
樹高1m程度の常緑低木に、大きな緑葉と小さな赤花を付けた “ バタウィアの花 ”

               彼 『 この花の日本名は何ですか? 』
               僕 『 テイキン・サクラだと思いますが・・・ 』
(注2)     
               彼 『 何か謂われでもあるのですか? 』

(注2) 提琴桜、矛提琴桜 ( 派生種 )

細い枝先に咲く五弁の紅花の直径は直径3cm前後。
開花した3~5個の房状の花柄は、紅子桜のように見えなくもありませんね。
( 下写真 )

テイキン・サクラ(提琴桜)の “ サクラ ” の名前は、
この花の形がサクラの花の形状に似ているという単純な理由だと思いますが、
“ テイキン ” の名前の由来については、何方かの記事で読んだことがあります。


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《 テイキン・サクラの由来 》
中国は唐の時代、見目麗しい女性宮廷楽師がいました。
彼女は “ 提琴 ” を弾くことによって、人の喜・哀・楽を見事に表現できたとか。

いつしか、彼女は、“ 提 琴 ” の名手として高い評価を受け、
世間の人々は、彼女のことを “ 提 琴 ” という名前で呼ぶようになります。

ある日、南アジアの使節が唐を訪れた折に、赤い衣服を纏った彼女は、
遠来の使節を歓迎するために、心情を込めて “ 提 琴 ” を独奏します。
その見事な提琴の音色に感動した使節は、唐の皇帝に恭しく奏上しました。

          『 持参した献上品の中に、天竺の珍しい樹木があります 』
          『 この樹木には、彼女の衣服と同じ赤色の花が咲きます 』
          『 この樹木に、彼女の名前を命名して戴ければ真に幸甚 』


唐の皇帝は、花の形がサクラに似ていたこともあり、
彼女の愛称でもある 『 提琴 』 と 『 桜 』を組み合わせ、
赤い花が咲く樹木の名前を 『 提琴桜 』 とする命令を発したとか。 


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『 提琴桜 』 は雄花だけかと思っていたのですが、
上写真内に小さな実が付いているのが見えるということは、
ひょっとすると、提琴桜には、雌花もあるということ・・・ですね?


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葉が三裂したのが鉾提琴桜。 分裂していないのが提琴桜

提琴桜 』 の名前の由来には、
一枚の葉の形が楽器の “ 提 琴 ” に似ているからとする説もあるようです。

            葉が分裂していないのが テイキン・サクラ
             ( 学名 : Jatropha integerrima 、提琴桜 ) 
       
            葉が三裂して鉾の形に似たのが ホコ・テイキン・サクラ
             ( 学名 : J. hastata, J. pandurifolia 、鉾提琴桜 )




           《 参考 》
           学名 :  Jatropha integerrima  ( =J. hastata, J. pandurifolia )
           科名 :  トウダイグサ科 Euphorbiaceae 
           属名 :  ヤトロファ属 Jatropha

           タイ名:  ดอกปัตตาเวีย バタビアの花
           和 名:  テイキン・ザクラ ( 提琴桜 )、ホコバ・テイキンザクラ( 鉾提琴桜 )
           英 名:  Spicy Jatropha
           原産地:  キューバ

           別 名:  タヒチアン・チェリー、ナンヨウ・ザクラ

           花言葉:  優れた美人
   
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