《 タイに御座します涅槃仏の追っかけ 》

カット写真: アユタヤ市のヤイ・チャイ・モンコン寺院の涅槃仏
昨日のブログで既に紹介済みの “ アムパワン寺院 ” วัดอัมพวัน には、
広々とした野天で臥する身長25mの白亜の寝釈迦仏のほかにも、
かなり離れた布薩堂 ( プラ・ウボソッツ พระอุโบสถ ) の中に、
人間サイズの珍しい姿形の寝釈迦仏がおわしました。
信者が貼付した金箔で全身が覆われているのは、
他所の寺院の布薩堂や礼拝堂の寝釈迦仏と何も変わりませんが、
両手を合掌した寝釈迦仏を見たのは初体験です。

金箔が幾重にも貼付された顔面は、その原形を止めていませんが、
二の腕から両手にかけての立体感 、両膝の微妙な折り曲げ具合を見ると、
妙に人間の体温に近い何かを感じるのは、僕だけでしょうか?

寝釈迦仏の手元に、金箔を挟んであった白薄紙が散乱していました。
金箔を貼付したタイ人は、用済みの白薄紙を、その場に捨ててしまいます。
宗教心の薄い僕でさえ慎むのに、敬虔な仏教徒の彼らは平気の平左です。
これは信仰心の問題ではなく、社会規範の違いなのでしょう。
寝釈迦仏の背後に回ってみました。
ゴータマ・シッダールタ(釈迦)が悟りを開いて仏陀となり、
至福の瞑想の最中に起った嵐と洪水から仏陀を護ったムチャリンダ竜王が、
なんと! 寝釈迦仏の枕元にまで出でて仕事をしているではありませんか!

ムチャリンダ竜王が寝釈迦仏を護持したか否かはさて置き、
寝釈迦仏の臀部から太腿にかけてのポーズをどの様に思われますか?
生身の人間が膝を軽く折曲げて横たわっているように見えませんか?
このブログの冒頭のカット写真のように、
仏教美術の域にまで修練されたデザインの寝釈迦仏があるかと思えば、
このように生身の人間をモデルにして刻んだかのような寝釈迦仏もあります。
個人的には、写実的な趣のある寝釈迦仏よりも、
デザイン的にシンプル化された寝釈迦仏の方が好みですが、
信仰の世界で、仏像の好き嫌いを主張するなんて、罰当たりな話ですね。
この寝釈迦仏の由来を、もっと詳しく知りたいと思ったのですが、
どうしたことでしょう、誰一人としてタイ人参拝客が入って来ませんでした。
バンコクに戻ってから資料を繰ってみたのですが、
野天の白亜の寝釈迦仏の記述はありましたが、
人間の匂いがするこの寝釈迦仏については、何の情報もありませでした。
どうしたことなのでしょうか?