“ 蘭の花 ” ( クルアイ・マイ กลัวยไม้ ) を愛するタイ人は多いのですが、
どちらかというと、見るからに西洋的な “ カトレア ” よりも、
タイ風の “ バンダ ” や “ アスコセンダ ” の花を好む傾向が強いように思います。
なんとなれば、
『 カトレアは 蘭の女王らしい 』
と蘭の知識に疎い僕が、他人から聞いた話を尤もらしく主張すると、
『 タイ産のバンダやアスコセンダの花こそが蘭の帝王 』
だと言い張るタイの友人の何と多いことか!
(注)カトレア = Cattleya 、 バンダ = Vanda 、 アスコセンダ = Ascocenda

豪華絢爛なカトレアの花 ( ラン科 Orchidaceae 、カトレヤ属 Cattleya )
確かに、タイの市場の花屋で見かける蘭といえば、
圧倒的にタイ産の “ バンダ属 ” や “ アスコセンダ属 ” が多く、
その豪華さと美しさは、見方によっては、カトレヤ属よりも勝っているかも知れません。
蘭の花の色取りは豪華多彩ですが、
最高に美しい鮮明なブルーの花を咲かせる蘭といえば、
“ バンダ属 ” ( 下左写真 ) を措いて右にでるものはないのだとか。


( 左 ) ラン科 Orchidaceae のバンダ属(Vanda) と ( 右 ) ラン科 Orchidaceae のアスコセンダ属(Ascocenda)
サンスクリット語を語源とする “ バンダ ” の意味は、“ まとわりつく ” だとか。
用土を必要とせず、樹皮に着生して根を空気中に晒したまま成長する
“ バンダ ” の特性を上手く表した名前だと思います。
上写真右の “ アスコセンダ属 ” は、
“ バンダ ” と “ アスコセントラム ” の交配種です。
花弁の大きさはパンダより小さいのですが、幾つもの花の連輪を咲かせます。
その色彩は、アスコセントラムの橙色の影響を受けて、
赤味がかった色取りが多いようです。