バンコクの隣県・サムット・プラカーン県の遺跡公園内の池端に、
“ ケイトウ ” ( 鶏頭 ) の花穂が群をなして生えていました。
“ ケイトウ ” ( 鶏頭 ) の花穂を見ると、
いつも決まって、小学校6年の担任女教師から指摘された
“ 甘酸っぱい想い出 ” が蘇えります。
教師 『 この花の名前は? 』
僕 『 毛糸の花です ・・・ 』
教師 『 ケイトウでしょう 』
僕 『 毛糸の花です ・・・・』

当時の僕は、秋口に咲き競う “ ケイトウ ” ( 鶏頭 ) の名前を
“ ケイト ” ( 毛糸 ) だと思い込んでいました。
幼かった僕には、 “ ケイトウ ” の花穂のイメージが、
“ 毛糸 ” で編まれた冬物のタートル・ネック ( トックリ ) のように見えたのです。
教師 『 雄鳥の鶏冠 ( とさか ) を知っていますか? 』
『 鶏冠に似てるから、鶏頭の名前がついたの 』
トサカ ( 鶏冠 ) という日本語は承知していたような気がするのですが、
ケイトウ ( 鶏頭 ) という日本語を知らなかった僕に、
女教師の説明を理解できる訳がありません。
結局、納得できないまま、“ ケイトウ ” という名前を
無理矢理に教え込まれてしまいました。


話は変わりますが、
中学生の時に教わった漢文に、
『 寧為鶏頭無為牛尾 』
( 鶏頭と為るも牛尾と為る無かれ )
という “ 史記-蘇秦伝 ” の一節がありました。
僕が日本語として “ 鶏頭 ” を理解したのは、この時が初めてだったように思います。
ところが、その後になって、
“ 史記-蘇秦伝 ”の本文に記載されている原文は、
『 寧為鶏口無為牛後 』
( 鶏口と為るも牛後と為る無かれ )
だということが分かりました。
“ 鶏頭・牛尾 ” は、日本漢字として意訳されたものだったのです。
“ 鶏頭 ” を “ 毛糸 ” と勘違いしていた小学生時代の僕、
“ 鶏口 ” を “ 鶏頭 ” と間違って憶えていた中学生時代の僕、
目前に咲く “ 鶏頭 ” の花穂を眺めていて、
そんな昔のゴチャゴチャしたことを想い出してしまいました。
それでは、皆さんにとって、今日が佳き一日でありますように。
目 ナデシコ Caryophyllales , 科 ヒユ Amaranthaceae , 属 ケイトウ Celosia , 種 ケイトウ
学名 Celosia argentea L. , 和名 ケイトウ ( 鶏頭 ), 英名 Plumed Cocks-comb
別名 鶏冠花 ( けいらんか ) 、韓藍 ( からあい )
花言葉は、おしゃれ、感情的、奇妙、情愛、色褪せぬ恋。