バンコクの隣県・サムットプラカーンの遺跡公園内の樹木の根元に、タイ語名で “ フーン・カー・ルアン ” เฟิร์นข้าหลวง ( 王の僕のシダ? ) と呼ばれるシダ植物が着生していました。

公園内を通り抜ける涼風でそよぐ姿は、海の中の岩肌に着生して波の動きにゆらめく海草の昆布のようにも見えます。ヒダヒダの多い緑の葉っぱの中央には、まるで背骨のような太い葉脈が縦に貫き、1m以上は優にある柔軟性のある長い幅広の葉っぱを支えています。

いつもの如く、タイ語ネットを検索すると、英語名は “ Bird's Nest Fern ” ( 鳥の巣のようなシダ )。それを頼りに検索を更に進めると、遺跡公園内の樹幹に着生していたシダの日本語名は、主としてアジア諸国に多く繁茂している “ シマオオタニワタり ” ( 日本産のオオタニワタリの仲間 ) らしいことが分かりました。

タイに魅せられてロングステイ
遺跡公園内の樹幹の根元に着生していた海草の昆布に似たシダ種
日本語名 : シマオオタニワタリ
英語名 : Bird's Nest Fern ( 鳥の巣のようなシダ )
タイ語 : フーン・カー・ルアン เฟิร์นข้าหลวง ( 王の僕のシダ? )


昔の日本南岸周辺には、 シマオオタニワタり ”の原種 ( ? ) の “ オオタニワタリ ( 注 ) が大量に繁茂していて、当時の日本人は、オオタニワタリの新芽を汁物の具山菜として日常的に食していたらしいのですが、いつしか、“ 日本産・オオタニワタリ ” は絶滅危惧種に仲間入りしてしまった・・・・・・云々の話を、日本在住時代に誰かから聞かされたことを想い出しました。
( 注 ) オオタニワタリの学名 : Asplenium antiquum Makino
( 注 ) シマオオタニワタリの学名 : Asplenium nidus cv. Abis

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英語名 : Bird's Nest Fern ( 鳥の巣のようなシダ )の由来となった根元部分

日本語名の “ シマオオタニワタリ ” とタイ語名の “ 王の僕のシダ ” の名前の由来は全く見当がつかないのですが、英語名の “ 鳥の巣のようなシダ” ( Bird's Nest Fern ) の由来は、実物のシダを観察すれば、容易に想像することが出来ます。  

鳥の巣のようなシダ ” ( シマオオタニワタリ ) の葉っぱの根っこ辺りを見ると、幾つもの葉っぱの根が円を描くが如く生えていて、野鳥が地上に作った “ 鳥の巣 ” 、或いは、酒杯のお猪口の底のような形をしています。(上写真)

植物学的には、この場所に落ち葉と雨水が溜まって腐葉土となり、やがては、大きな葉を成長させる重要な構造なのでしょうが・・・・・・僕のような素人は・・・・・・やはり、鳥の巣とかお猪口をイメージしてしまいます。

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左写真 : 英語名 : Bird's Nest Fern ( シマオオタニワタリ ) の葉裏に付いた胞子嚢群の模様 (hiro-1 撮影)
右写真 : 日本産のオオタニワタリの葉裏に付いた胞子嚢群の模様 (ウイィペディアの写真拝借)


日本南岸の “ オオタニワタリ ” と東南アジアの “ シマオオタニワタリ ” ( Bird's Nest Fern )の見分け方は、葉の裏側の胞子嚢 ( ソーラス ) の付き方を見れば容易だと聞き、早速、僕自身が “ シマオオタニワタリ ” だと思い込んで撮影した写真とウイキペディアに掲載されていた “ オオタニワタリ ” の葉裏の胞子嚢群 の写真をチェックして見ました。(上写真)

日本産の “ オオタニワタリ ” の胞子嚢 ( ソーラス )は、葉裏のほぼ全面に胞子が付き、“ シマオオタニワタリ ” ( Bird's Nest Fern ) は葉裏の上方部分だけに付く・・・・・・とあることから、僕がバンコクの隣県・サムットプラカーンで撮影したシダ Fern は、“ シマオオタニワタリ ” ( Bird's Nest Fern ) に間違いないようです。

学名:Asplenium nidus cv. Abis
和名:シマオオタニワタリ
英名:Bird's Nest Fern(鳥の巣のようなシダ)

科名:チャセン・シダ科
属名:チャセン・シダ属(アスプレニウム属)


いつもは、美しい花を咲かせる植物にばかりカメラのレンズを向ける僕ですが、偶には、昨日のススキに似た “ パープル・ファウンテン・グラス ” とか、本日のような “ シダ ”( Fern ) のような地味な存在にも関心を向けて、僕の余り知らないタイ世界をもっと広めるべきだと反省しきりの今日この頃です。