7月14日(火)に左目の白内障手術を受けたバンコクの大手国際病院(民間)に、翌15日(水)の午前10時、第一回手術後の結果を診て貰うために出向きました。

執刀をしたダイレクター・ドクター((女医))の診療室で朝の挨拶を交わすのもそこそこに、
よく眠れましたか? 左目のプロテクターとガーゼを取り外して見ましょか


左目を保護していたガーゼが、女医によって外されたその瞬間、眩しいほどの純白の世界が一気に左目から差し込んで来ました。まるで初めて見るような新世界の明るさに、思わず小さな喚声を上げてしまいました。数秒経過すると、診療室内の機器や壁に貼付された医療ポスターなどの写真や活字が映像として鮮明に見えて来ました。(下写真)

タイに魅せられてロングステイ  タイに魅せられてロングステイ
左写真 : 手術を終えた左目で見ると、白い背景はそのまま白く、タイ桜の花と葉の色も自然の侭に見えます。
右写真 : 白内障手術で眼内レンズを挿入して取り戻した角膜の黒目( 写真は Ishinkai Gr.を拝借 )


手術を終えた左目と未手術の右目の見え方の明るさのアンバランスが余りに強くて、思わず手術をした直後の左目を片手で覆い隠すと、白内障手術を終えていない右目には、昨日までの見慣れた薄暗くて黄色がかった視界が映っていました。(下写真)

タイに魅せられてロングステイ  タイに魅せられてロングステイ
左写真 : 白内障の目で見ると、白い背景は黄色を帯びた灰色に、タイ桜の花と葉も不自然な色に見える。
右写真 : 白内障のために、水晶体が白濁して白く見える角膜の黒目 ( 写真は Ishinkai Gr.を拝借 )


注 : タイ桜の比較写真は hiro-1 の右目と左目の状態を再現するために加工したものですが、余り上手く作画できませんでした。具体的な例で説明するならば、僕は今まで我が家のカーテン色は薄いクリーム色だと思い込んでいたのですが、白内障の手術を終えた左目で見て、眩しいくらいの純白なレース・カーテンだったことに初めて気付かされました。

診療用の検眼器で僕の左目を点検していた女医が語りかけて来ました。
女医 『 ウン、とても綺麗に仕上がってるわ!
  僕 『 左目の世界と右目の世界がまるで違います
女医 『 そうよ、左目の世界が自然の光景なのよ
  僕 『 でも、左右の眼のアンバランスは神経を逆なでますね
女医 『 右目の手術を完了すれば、素晴しい世界が蘇るわよ


今までの僕の自覚症状は、“ 見るものが幾つにも重なって霞む ” だけだったので、遠近両用メガの近視部分の度数を調整しさえすれば、自然の世界を正しく見ることが出来るようになると高を括っていたように思います。

しかし、今回、左目の白内障の手術を受けたことで、僕が患っていたのは、“ 霞んで見える ” という現象だけではなく、もっと根本的な “ 視界の明るさ ”、そして、“ 色彩の諧調 ” を感知する能力を失っていたことを思い知らされました。言い換えれば、僕が今まで見て来たのは、昔ながらのタングステン式白熱燈の世界であって、蛍光灯の世界を知らないで過ごしていたということのようです。

そう言えば、『 最近、以前と比べて、照明のある室内でも暗く感じる。それに近眼が進んだようにも思えるが、その分だけ、老眼が軽くなったような気がする 』 などと得手勝手な自己診断をしていました。

女医によると、それは過渡的な現象であって、このまま放置して置けば、間違いなく遠近両方とも見え難くなってしまうのだそうです。白内障の段階的症状は四段階あって、僕は第三段階に入ったばかりだったようです。

第1段階(初期白内障)=自覚症状なし。
第2段階 = 目が霞み始める。
第3段階(成熟白内障) = 水晶体白濁。放置すれば、視力は0.1以下へと進む。
第4段階(過熟白内障) = 明暗しかわからない状態。


最近日本では、第1段階で治療を開始する人が多いと聞きますが、20年余りも海外に居住していた僕は、そのような時代の流れに取り残されて、第三段階に突入するまで放置していたという御粗末なお話でした。家内は、前々から、『 肉眼で見ても、眼球内の角膜(黒目)が、何となく白っぽく見える 』 などと警告を発してくれてはいたのですが・・・・・・

白内障は、年齢を重ねる過程で、遅かれ早かれ誰もがなる病気 ” だそうです。似たような症状のある方、早めの手当てを施して、“ 青年時代の視認感覚 ” を維持し続けたいものですね。