《 僕の心を癒してくれる田舎の光景 》

バンコクを流れるジャオ・プラヤー川の対岸に、河川が大きく湾曲して袋状になったサムット・プラカーン県のプラプラデーン郡 อ.พระประแดง という地域があります。この地域にはミャンマーから移住して来たモン族が多いのですが、彼らは、この袋状になった形が豚の胃袋に似ているとして、“ 豚の胃袋 ” ( グラポ・ムー กระเพาะหมู ) と呼んでいるようです。

タイに魅せられてロングステイ地図上の薄緑色のエリアがプラプラデーン郡
( バンコク特別区の対岸ですが、行政区としてはサムット・プラカン県 )


豚の胃袋 ” 地域の中は、水辺にある花篭村(バーン・ガジャオ  ต.บางกะเจ้า )を含めて五つの地域に分けられているのですが、何れの地域名にも、バーン บาง という “ 水辺の村 ” を意味する接頭語が付けられています。ジャオ・プラヤー河畔には、地域名の頭に“ バーン ” บาง という呼称を付けた小村が多いのですが、現在のバンコックも、アユタヤ王朝時代には “ バーン・マコーク ” บาง มะกอก (マコークの樹がある水辺の村)の地名で呼ばれていたものが訛って短絡化したと言われいます。 

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東側のバーン・ヨー村から眺めたバンコクの新ビジネス街・サートン地区

見るからに田舎風景のバーン・ヨー村 ต.บางยอ(プラプラデーン郡の東側)の船着場から対岸を眺めると(上写真)、バンコクの新ビジネス街のサートン通り ถ.สาทร の高層建築街が望めるのですが、典型的な田舎風景のバーン・ヨー地区と川向こうの首都・バンコクが醸しだすギャップが、山口県山口市の小さな盆地で生まれ育ち、憧れの東京に飛び出して行った僕のような田舎者の目には何とも面映く映ります。

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南東地域のバーン・ナーム・プン บางน้ำผึ้ง (水辺の蜂蜜村)に通じる小路

十数年前に“ プラプラデーン郡 ” の “ 豚の胃袋 ” の自然を売り物にして観光地にする計画が持ち上がったそうですが、それを知った地元住民が猛反対を展開して頓挫。それ以来、“ 豚の胃袋 ”内の高層ビル建築は固く禁止されている由。

そんな時代遅れの素晴らしいマインドが効を奏したのでしょう、現在も昔ながらの緑の自然や小さな果樹園、地元民のための水上マーケット等が残る貴重な風致地区としての景観を留めています。

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南東地域のバーン・ナーム・プン บางน้ำผึ้ง (水辺の蜂蜜村) の運河に架かる木造橋

混沌としたアスファルト・ジャングルのバンコクで生活している僕ですが、年に数回程度、バンコクを飛び出し、数日間を掛けて田舎を旅したい心持に駆られることがあります。とは言っても、泊りがけの旅行が難しい時などに、僕が週末に日帰りで逃げ込む場所の一つが、バンコクの対岸にポツンと取り残された “ 水辺の蜂蜜村 ”なのです。(上下写真)

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水辺の蜂蜜村 ( バーン・ナーム・プン บางน้ำผึ้ง ) の運河沿いの屋台食堂

運河沿いにタイ食の屋台が並んでいます。屋台とは言っても、調理をする台所は細長い木造舟の中にあり、食事台は固定桟橋上にあるスタイルです。此処で食する鶏肉入りタイ風ラーメンは僕の大好物です。

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南東地域のバーン・ナーム・プン บางน้ำผึ้ง (水辺の蜂蜜村) の市場

運河の周囲には、地元の人々が自分で作った野菜や果物、或いは、バンコクなどから仕入れた食料品や日用品を売る屋台市場(上写真)が並んでいます。屋台食堂も屋台市場も、営業日は週末だけ、対象とする顧客も地元のタイ人やモン人ばかりで、僕のような外国人の姿は殆ど見かけません。

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中央道路から枝分かれした小路の両側に連なる果樹園

全長約5km、全幅約2kmの “ 豚の胃袋 ” 地区には、縦に貫通する背骨のような道路が一本あり、その道の終点は、対岸のバンコクのクロ-ン・トゥーイ港 คลองเตย へ渡る船着場になっています。 その背骨のような道路には肋骨のような小路が幾つも延びていて、その小路の両側には小さな規模の果樹園が連なっています。(上写真)

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夕暮れが迫る花篭地区の果樹園の向こうに見えるバンコクの高層ビル
( 写真に見える高層ビルから車で10分の場所に僕の住むコンドミニアムがあります )

バンコク生活を送る僕が、心の癒しを求める場所といえば、自宅から徒歩で行けるルムピニ公園、一日掛かりで訪れるサムット・プラカーン県プラプラデーン郡の “ 豚の胃袋 ”、3泊~4拍かけて旅をするタイの地方、そして、年に二度だけの海外旅行ですが・・・最近は、自家用車を駆って “ 豚の胃袋 ” へ出かけ、夕日が落ちる前にバンコクの自宅に戻って来るパターンが徐々に増えているいるような気がします。