《 閑話休題 》

大菩提のムチャリンダ龍王の池の周りに張り巡らされた、青色、黄色、赤色、白色、橙色の “ 五色 ”に彩られた仏旗が、水面を渡る爽快な乾季の風の中で靡いていました。

実は、つい最近まで、僕は、この五色の旗を、“ 五色仏旗 ” と呼んでいたのですが・・・その呼び方が間違っていたことに気付きました。 正式には、五色仏旗ではなく、六色仏旗と呼ぶべきなのだそうです。

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大菩提寺のムチャリンダ龍王の池の周囲に張り巡らされていた仏旗

ムチャリンダ龍王の池の周りは、五色それぞれの色を旗にした単色旗(上写真)が多く飾られ、大菩提寺の金剛宝坐の近くには、五色を一つの旗の中にデザインした五色旗(下左写真)が飾られていました。昨年の10月に訪れた京都東山の大谷本廟の参道では、幟スタイルの五色旗(下右写真)も見ました。何れの旗も五色の構成でありながら、五色仏旗と呼ばれることはなく、六色仏旗という呼称が正式なのだそうです。

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左:六色仏旗の基本スタイル  右:京都大谷本廟の幟形式の仏旗

それにしても、五色でデザインされている仏旗を、何ゆえに “ 六色仏旗 ” と呼ぶのでしょうか? 仏教資料によると、金剛宝坐で悟りを得られた後の仏陀は、解脱の悦びを覚えつつ7週間(49日間)の瞑想三昧に入られるのですが、その第4週目の28日目に、仏陀の体内から放たれた光の色が六色だったことに由来するのだとか。

つまり、(仏陀の頭髪の色)(仏陀の身体の色)、(仏陀の血液の色)、(仏陀の歯の色)、(仏陀の袈裟の色)、そして、これらの五色の色が混ぜ合わさって光り輝いた色・・・の六色という訳です。

僕は、タイの尼さんから “ 仏陀が体内から放たれた血液の色が五色だった ” と聞いたつもりだったのですが・・・ そして、その時に、“ 五色が混ぜ合わさって光い輝いた色 ” という話を聞いた覚えもないのですが・・・でも、尼さんが間違ったことを僕に教える筈がありません・・・きっと、僕の乏しい聴解力が誤解につながったに違いありません。


第4週目の瞑想三昧で六色の光を放った仏陀は、第5週目を大菩提寺正面のニグロ-ダーの樹の下で瞑想に入ります。現在、ニグロ-ダー樹(NIGRODHA TREE)は既に無く、その地には石柱が建てられていました。(下写真)

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ニグロ-ダー樹(NIGRODHA)の跡に立つ石柱に額を当てて祈る巡礼者

第5週目の瞑想を終えた仏陀は、龍王の棲む池の岸に立っていたムチャリンダ樹の下で第6週目の瞑想(昨日のBLOG御参照)に入るのですが、そのムチャリンダ樹の生えていた場所が池の周りの何処当たりなのか?・・・ひょっとして、六色仏旗が翻っている辺りかと思って歩み寄ると、今から瞑想禅定に入ろうとする若い僧侶が坐していました。(下写真)

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ムチャリンダ龍王池の六色仏旗の下で瞑想に入ろうとする若い僧侶

修業の邪魔をしては申し訳ないので、会釈をして早々にその場を離れました。