タイ東部のラヨーン県で仕事をしている友人(日本人)から、セレモニーで撮影したという二枚の写真がメールで送られてきました。
コメントには、“ 珍しい写真を手に入れたので送ります ” としか書いてありません。もっと情報が知りたくて、確認のメールを入れて見たのですが、“ 何だか分からないが、白象の写真です ” という返事だけで、サッパリ要領を得ません。

友人から送られて来た“ 白象 ” らしき写真
然らばと、二枚の写真をじっくりと観察することにしました。上の写真の左隅の立木の右側に映ってる黄色のマークは・・・現国王の紋章のように見えます。横向きの白象は、上手く出来た張り子の象のようでもあり、本物の象のようにも見えます。
下の左の写真は、上と同じ象を正面から撮影したものですが、この写真からは、明らかに生きた象の動きが感じられます。そして、象の背中に載せられているのは・・・現国王のラーマ九世の御写真に違いありません。
僕の想像ですが、上写真と下左写真は、昨年末の現国王の御生誕80年をお祝いする地方のセレモニーで撮られたものでしょう。そして、象の肌の白色は、タイに古来から伝わる白象の神話伝説に従って、家象の肌に白色塗料を吹き付け、白象に仕立て上げたものだと思います。


左:現国王の写真を背中に乗せて練り歩く白象
右:エメラルド仏を運搬する白象(ラムパーンのプラケーオ・ドンターオ寺院)
タイ仏教で “ 白象 ” が尊ばれる理由を探ると、バラモン教やヒンドゥー教の神話に辿りつき、何が何だか分からない世界に入り込んでしまいます。従って、此処では敢えて触れませんが、いずれにしても、インド神話、仏教、そして宗教芸術の世界に於ける “ 神聖な象 ” は 、すべからく“ 純白 ” となるようです。
上右写真の象は、チェンラーイで発見されたエメラルド仏を、王の命令によってチェンマイに運ぼうとしたにもかかわらず、それを頑なに拒否します。已む無く、象の意志に任せて、ラムパーンのワット・プラケーオ・ドンターオに運ぶことになります。王の命令に逆らった象ですが、王朝の象徴であるエメラルド仏を運んだ象は、“ 神聖な純白の象 ” として崇められています。
仏教国タイの子供でも知っている話ですが、“ マヤ夫人が寝ている時、白象が胎内に入った夢を見て、釈尊を身ごもった ”、従って、“ 白象は仏陀の生まれ変わり ” とする故事があります。これなども、白象が崇められる理由の一つに違いありません
タイ寺院巡りをすると、彼方此方の寺院の門、堂内の壁、境内などで “ 白象 ” の彫像や絵画を見ることができます。これも、白象を聖なるものとして考えるタイ仏教の特質かと思います。


左:ヒンドゥー教の神、プラ・ピッカネート(ガネーシャ神)
右:白い肌をしたプラ・ピッカネート(ガネーシャ)
上写真の二枚は、ヒンドゥー教の神であるガネーシャです。この神は、何かを始める時に必ず付き纏う様々な障害を取り除き、成功に導く神とされていますが、タイでは、ピッカネート พิฆเนศ の名前で崇められています。
仏教国のタイでは、この象神(ピッカネート)が芸術の神であることから、芸術家や芸大の学生などから篤く信仰されています。因みに、タイ国文部省芸術局は、このピッカネート(ガネーシャ神)を紋章としているとのこと。更に、タイの象使いも、ピッカネート(ガネーシャ神)を篤く信仰していると聞きます。
ヒンドゥー教によると、ガネーシャ(ピッカネート)の体の色は、赤色、或いは、黄色のようですが、最近のタイでは、地肌が純白のピッカネート(ガネーシャ)が出回るようになりました(上右写真)。
これなども、神話や芸術の世界に登場する神聖な象は、すべからく純白であるべきとする考え方が、ピッカネート(ガネーシャ)にも及び始めたということなのでしょうか?
現国王のラーマ九世は、お住まいになっているチットラダー宮殿内に、七頭の “ 白象 ” を所有されていると聞きます。 果たして、“ 純白の象 は本当に存在するのでしょうか?
次回に続きます。
コメントには、“ 珍しい写真を手に入れたので送ります ” としか書いてありません。もっと情報が知りたくて、確認のメールを入れて見たのですが、“ 何だか分からないが、白象の写真です ” という返事だけで、サッパリ要領を得ません。

友人から送られて来た“ 白象 ” らしき写真
然らばと、二枚の写真をじっくりと観察することにしました。上の写真の左隅の立木の右側に映ってる黄色のマークは・・・現国王の紋章のように見えます。横向きの白象は、上手く出来た張り子の象のようでもあり、本物の象のようにも見えます。
下の左の写真は、上と同じ象を正面から撮影したものですが、この写真からは、明らかに生きた象の動きが感じられます。そして、象の背中に載せられているのは・・・現国王のラーマ九世の御写真に違いありません。
僕の想像ですが、上写真と下左写真は、昨年末の現国王の御生誕80年をお祝いする地方のセレモニーで撮られたものでしょう。そして、象の肌の白色は、タイに古来から伝わる白象の神話伝説に従って、家象の肌に白色塗料を吹き付け、白象に仕立て上げたものだと思います。


左:現国王の写真を背中に乗せて練り歩く白象
右:エメラルド仏を運搬する白象(ラムパーンのプラケーオ・ドンターオ寺院)
タイ仏教で “ 白象 ” が尊ばれる理由を探ると、バラモン教やヒンドゥー教の神話に辿りつき、何が何だか分からない世界に入り込んでしまいます。従って、此処では敢えて触れませんが、いずれにしても、インド神話、仏教、そして宗教芸術の世界に於ける “ 神聖な象 ” は 、すべからく“ 純白 ” となるようです。
上右写真の象は、チェンラーイで発見されたエメラルド仏を、王の命令によってチェンマイに運ぼうとしたにもかかわらず、それを頑なに拒否します。已む無く、象の意志に任せて、ラムパーンのワット・プラケーオ・ドンターオに運ぶことになります。王の命令に逆らった象ですが、王朝の象徴であるエメラルド仏を運んだ象は、“ 神聖な純白の象 ” として崇められています。
仏教国タイの子供でも知っている話ですが、“ マヤ夫人が寝ている時、白象が胎内に入った夢を見て、釈尊を身ごもった ”、従って、“ 白象は仏陀の生まれ変わり ” とする故事があります。これなども、白象が崇められる理由の一つに違いありません
タイ寺院巡りをすると、彼方此方の寺院の門、堂内の壁、境内などで “ 白象 ” の彫像や絵画を見ることができます。これも、白象を聖なるものとして考えるタイ仏教の特質かと思います。


左:ヒンドゥー教の神、プラ・ピッカネート(ガネーシャ神)
右:白い肌をしたプラ・ピッカネート(ガネーシャ)
上写真の二枚は、ヒンドゥー教の神であるガネーシャです。この神は、何かを始める時に必ず付き纏う様々な障害を取り除き、成功に導く神とされていますが、タイでは、ピッカネート พิฆเนศ の名前で崇められています。
仏教国のタイでは、この象神(ピッカネート)が芸術の神であることから、芸術家や芸大の学生などから篤く信仰されています。因みに、タイ国文部省芸術局は、このピッカネート(ガネーシャ神)を紋章としているとのこと。更に、タイの象使いも、ピッカネート(ガネーシャ神)を篤く信仰していると聞きます。
ヒンドゥー教によると、ガネーシャ(ピッカネート)の体の色は、赤色、或いは、黄色のようですが、最近のタイでは、地肌が純白のピッカネート(ガネーシャ)が出回るようになりました(上右写真)。
これなども、神話や芸術の世界に登場する神聖な象は、すべからく純白であるべきとする考え方が、ピッカネート(ガネーシャ)にも及び始めたということなのでしょうか?
現国王のラーマ九世は、お住まいになっているチットラダー宮殿内に、七頭の “ 白象 ” を所有されていると聞きます。 果たして、“ 純白の象 は本当に存在するのでしょうか?
次回に続きます。