タイのお菓子の中で、まるで幼児のママゴト遊びの小道具を思わせるような、小さくて可愛いお菓子があります。お菓子の名前は“ ルーク・チュップ ・タイลูกชุบไทย ですが、その意味合いは、“ コーティングした小さな球形のタイのお菓子 ”と言ったところでしょうか。

お菓子の形は、南国の果物や野菜、動物などを色付きであしらったものが多く、一つのお菓子の大きさは2cm前後の小さなものです。あれこれと説明するよりは、チョットばかりピンボケですが、下の写真を御覧頂いた方が分かり易いかもしれません。


胡瓜、茄子、ベビー玉蜀黍などの野菜を形どったルーク・チュップ 

お菓子の原料は、モヤシや春雨にも使われる“ 緑豆 アオアズキ ”่ですが、先ずは、皮を剥いた緑豆を水に浸し、ココナッツ・ミルクと砂糖を加えてから火で煮詰めて餡を作り、野菜、果物、動物などの形に造りあげます。


緑豆の皮を剥いだ黄色の実(左)& 動物の形をしたルーク・チュップ(右) 

次に、香り豊かなジャスミンの花を浮かべた水にゼラチンを溶かして温め、色付けを完了した様々の形のお菓子を、一つずつ爪楊枝で挿しながら、ゼラチンの中に浸してコーティングを行い、お菓子の表面に薄皮加工をして固めます。この作業を2回繰り返すと、表面が寒天状になった“ ルーク・チュップ ”が完成します。食感は、見てくれほど甘くなく、日本の和菓子と煮豆を足し算して二で割ったような感じです。

チョット気になるのは、着色の原料ですが、その昔は、黄色は南瓜、橙色はパパイヤ、緑色は葉っぱなどの自然着色料を使用していたのですが、現在は工場加工した着色料が使用されているのだと思います。これが気になる人は・・・この御菓子を余りお薦めできないかもしれません。


街中の専門屋台、郊外市場の中の屋台でも販売しています。

最近バンコクで人気を集めている大規模ショッピング・コンプレックスは、外国人向けの“ ルーク・チュップ ”を洒落た透明箱に入れたりして、高価な価格で販売するところが目立つようになりました。

本来は、“ 屋台で作り、屋台で売られていた御菓子 ”だった筈なのですが・・・当然ながら、タイの屋台文化を知っている人々は、“ その辺りの屋台や郊外市場の屋台で売られているルーク・チュップ ”を、庶民価格で買い求め、家族共々、伝統的なタイの御菓子の食感を楽しんでいます。