《3月16日付け、外国人はタイ語の標識に注意!の続きです》

前回のBLOGで 、タイの 《 STOP 》を意味する道路交通標識は、タイ文字表記のみなので、タイ文字を知らない外国人の運転者は、理屈ぬきで《 STOP 》 標識の絵柄を覚えるしかない事を書きました。


《 STOP 》 のタイ文字表記の標識(再掲載)

実は、《 STOP 》 の道路標識の他にも、道路走行の際に出会う頻度の高い 《 左折可 》 の道路標識があります。困ったことに、この標識もタイ文字だけで表記されていて、英語の併記は全くありません。


《 左折可 》 の2段構成のタイ文字表記の標識

タイに来て間もない頃、タイで運転を始めようとする僕に、タイ在住の日本人の先輩が教えてくれました。

彼 『 タイは、赤信号の時でも左折できるからね 』
僕 『 右から来る自動車が怖いから青信号を待ちますよ 』
彼 『 駄目!後方の車両から警笛と怒声を浴びることになるよ
僕 『 それでも、事故は起こしたくないから・・・
彼 『 車両の流れを停める方がもっと危険だよ

先輩の忠告に従って、左折専用信号が無い交差点では、赤信号でも左折することにしたのですが、なんと! 約50%の確率で交通警察官に捕まり、罰金を現場で現金払いする破目に陥りました。先輩の教え通りに左折しているのに、何故に罰金を取られるのか? 最初は、皆目見当がつきませんでした。

後日、タイ語が多少理解できるようになってから、交通警察官の説明を聞いて納得しました。《 左折可 》 の道路表式が無い交差点での《 左折 》 は、完全に法律違反なのだそうです。

そして、《 左折可 》 を告げる二段構えの道路標識に書かれているタイ文字を読んでみれば、当然のことが書き連ねてありました。



หยุดให้ทางก่อนผ่าน  yud hai thaang koon phaan
一旦停止して、先ずは通過する車に道を与えなさい
เลี้ยวซายผ่านตลอด liao saai phaan talood
そうすれば、いつでも左折可能です



รถเลี้ยวซาย หยุดรอให้คนข้ามถนนไปก่อน
rot liao saai yud roo hai khon khaam thanon pai kon

左折車両は一旦停止し、歩行者を先に渡らせなさい

僕 『 タイだって、左折が自由に出来る訳ではない・・・
彼 『 法律よりも、永年の慣習の方が滅法強いんだよ!
僕 『 でも、左折不可の交差点も結構ありますよ
彼 『 安全であれば、左折したって好いのさ!
僕 『 罰金を取られるなんて嫌ですね
彼 『 貧しい警官に寄付して徳を積むと思えば好いのさ!

交差点の信号は赤でも、左折は常時OKと思い込んでいた先輩は、いつもの持論を繰り返し始めました。

『 タイには、車両優先があるだけで、歩行者優先の精神はない! 』
『 歩行者優先でブレーキを踏むと、追突される危険性大! 』

『 タイには、優先道路の考え方なんてない! 』
『 車両の鼻を先に出した方に優先権がある! 』

『 警察も、歩行者も、運転者も、皆がそれで納得しているのだから! 』
『 慣習を無視して、法律を盲信すると、事故の危険性が増すよ! 』

タイ在住の先輩の言い分は、確かに世界の常識に逆行する滅茶苦茶論理です。しかし、実のところ、タイでは、これもまた否定し難い事実なのです。

だからと言って、タイを見下したり、嫌いにならないで下さい。法律万能主義の整然とした社会も結構ですが、泥臭い人間臭の残る社会も捨てたものではありません。どんなに好い加減でも、どんなに不便でも、どんなに貧しい環境だとしても、住み慣れれば、それなリに住み良く感じるものです。 


好きになれば、痘痕も笑窪? 違います! 住めば都なのです。

今日はこの辺りで失礼します。