タイの地方を車で無計画な旅をするのが大好きな僕ですが、タイ語の読み、書き、話す、聞くが出来なかった四重苦の頃は、交通標識や警告標識などが全く理解できず、何度となく困り果てたことがありました。

その後、チ゛ュラーロンゴーン大学の文学部タイ語集中課程で、タイ文字の勉強を開始。その目的は、アユッタヤ王朝のタイ語史料を読みたいと思ったからですが、実生活で接する標識や役所の書類などを正確に理解すると同時に、タイの隅々まで楽しく旅行したいという切実な願いがあったことも否定できません。

つい最近まで、首都のバンコクは、外国人も多いことから、タイ語と英文字が殆ど併記されていると思っていたのですが・・・数日前に、友人のコンドーを訪ねた途上で見た標識の幾つかには、英文字表記がされていませんでした。

先ずは、車両運転者にとって基本中の基本である大切な 『 交通標識 』 です。交通標識は、運転者に瞬時に告知する必要から、人間の視覚を刺激する色と短い単語で構成されています。例えタイ文字を知らない外国人であっても、理屈ぬきで覚えるしかありません。



交差点や見通しの悪い道路に設けられているこの標識(上写真)は、『 停まれ 』 (yut หยุด )を意味する大切な標識です。文字が読めないからといって、この指示を無視してしまうと、極めて高い確率で黄泉の国に旅立つことになります。 

タイの道路は、自転車、自動二輪車、自動三輪車(Tuk Tuk)、自動車、手押しの屋台までもが、同じ道路上を我が物顔で走る混合交通です。ベトナムの混合交通と比較すれば、タイの方が少し先進的だとは思いますが、それでも、殆ど毎日のように運転する僕の感想としては、『 油断大敵 』 の心境です。

その背景要因は、偏に、『 混合交通規則に対する遵法精神の欠如 』 にあると思います。なんとなれば、タイにも、円滑な混合交通をするための交通規則も交通標識もあるのです。例えば、下の写真は、自転車、自動二輪車、三輪車に道路の端を走行するように指示する交通標識です。タイ文字の意味は 『 該当する車両は路肩を走行せよ 』(wing bon lai thaang วิ่งบนไหล่ทาง



それにも拘わらず、特に、タイ人が運転する自動二輪車の我が物ぶりは凄まじく、左から、右から、斜め後方から、縦横無尽に車線をS字カーブの如く斜め走りし、時には正面からの逆走もありなのです。

それを取り締まる筈の交通警察官も、オートバイに乗って平気の平左で真正面から逆走して来るのですから、何をかいわんや、庶民の遵法精神が向上する道理がありません。

でも外国人のドライバーは安心しないで下さい。若し我々が違法な車線変更をすれば、それを見つけた交通警察官が直ぐに寄って来て、領収書のない法外な罰金を徴収してポケットに納めてしまいます。

タイ人曰く、貧乏なオートバイのタイ人を捕まえても商売になりません。金持ち外国人は、『 葱を背負ってきた鴨 』 なのです。タイ語では、コラートの豚 muu khoraat หมูโคราฉ と言います。

タイでは、映画作品やTV番組の中で煙草を吸うシーンには必ずモザイクが入ります。そして、大衆が集まるレストラン、ホテル、その外のエアコン設備のある場所などでの喫煙も固く禁じられています。それに加えて、定められた公的な場所(道路、公園、遊歩道など)での喫煙も厳しく禁止されています。



標識に書かれているタイ語は、『 違反すると、2,000バーツの罰金を課す 』(faa fuun prap 2,000 Baath ฝาฝืนปรับ 2.000 บาท)と書いてあります。 罰金額を円に換算すると約6,300円ですから、一般のタイ人にとっては目の玉の飛び出るような金額です。

煙草なしでは暮らせないバンコク在住の日本の友人から、『 久し振りに一献傾けたい 』 との電話があり、セントラル・ワールドの広場で落ち合う事になりました。現場で落ち合った彼の表情が余りに暗いので、その理由を聞くと・・・

彼 『 煙草を吸っていたら、警備員に2,000バーツ罰金を取られたよ
僕 『 エッ! 何処で?
彼 『 あすこだよ

彼の指差す方向を見ると、『 喫煙したる者に2,000バーツの罰金を科す 』 と記された標識がたっていました。
 
禁煙標識の前で堂々と喫煙をする外国人!これこそ絶好の 『 かもねぎ! 』です。僕の友人は、『 コラートの豚ならぬ、日本人の豚 ! 』 になってしまいました。