《ラーンナータイ王国の最初の首都を訪ねて-2》



 



タイ人観光団御一行様は、ガイドに付き従って、境内の奥へと進み始めました。タダ乗りの僕もイソイソと従います。







この先に、ラーンナータイ王国の宮殿遺跡があるに違いない!と思いきや・・・ガイドさんが立ち止まった場所は、チゃーン カム寺院の本堂(下左写真)の前でした。
1291年の創建時に本堂があった場所(下左写真)に新たに建てられたものらしく、遺跡の雰囲気は全くありません。

















本堂の前のガルーダ(左)&ホン(右)







本堂の前に、ヴィシュヌ神(守護神)の乗り物である『ガルーダ』(上左写真)が両翼を広げて立ちはだかっていました。ガルーダの立像は、寺院の屋根を構成する破風に取り付けられていることが多いのですが、本堂の前でスタンバイしている『ガルーダ』を見たのは初めての経験です。







本堂の真横に、プラプロム神(創造神)の乗り物である『์ホンหงส์์』(上右写真)も待機していました。欧米人は『ホン』を白鳥と呼びますが、日本語としては『鳳凰』の方が適訳だろうと思います。



   



本堂の近くに、見るからに新しい礼拝堂(下写真左)がありました。この礼拝堂は、ラーンナータイ王国の首都が置かれたウイアン グム ガーム遺跡の中心地に建てられた現役のチャーンカム寺院の礼拝堂です。

















礼拝堂(左)&破風のエラワン象とインドラ神(右)







インドラ神(英雄神)の乗り物は、エラワンと呼ばれる三頭象のアイラヴァータです。このヒンドゥーの神は、雨をもたらす神とされていますが、タイ国の現王朝(チャクリ王朝)の紋章としても知られています。







バンコクの有名な『エラワン祠』に祀られているのは、前述のプラプロム神(創造神)です。この神の乗り物は『ホン』(鳳凰)だと書きましたが・・・『エラワン祠』のプラプロム神(創造神)の乗り物は、何故なのか?エラワン象なのです。







その理由は、どれもこれも好い加減な理由ばかりなのですが、『タイ人は象が好きだから・・・』というのが、チョット無責任ですが、最もタイらしい理由のような気がします。







このように見てくると、タイの上座部仏教(南伝仏教)と、日本の大衆部仏教(北伝仏教)の異質さが殊更に際立つように思います。

















礼拝堂内部&御本尊







礼拝堂(上左右写真)に張り巡らされた未さらしの木綿糸は、礼拝堂内を聖域として設定するための儀式です。















礼拝堂の御本尊の指先から出た聖糸は、礼拝堂の天井空間に巡らされ、読経の威力によって結界内を悪魔から守るという意味があるとされています。タイ語では、『サーイ スィンสายสิญจน์』と呼ばれています。







下左右の写真は、礼拝堂の外を取り巻く回廊と窓枠です。金綺羅と白の配色、石造りの廊下、彫刻で埋め込まれた窓などを見ても、タイ仏教(南伝仏教)と日本仏教(北伝仏教)の違いが顕著です。

















礼拝堂の回廊&彫刻された窓板と窓枠







回廊から見た窓板(上左写真)には仏教絵が全面に掘り込まれています。礼拝堂の内部から窓板の裏面を見ると、金箔を貼った王と王妃(?)らしきモチーフ(下左右写真)が描かれていました。























王と王妃らしき(?)モチーフ







タイ人観光団にタダ乗りで付き従っている僕に、男性ガイドが話しかけて来ました。







彼 『お待たせしました。今から遺跡に行きますよ』



僕 『分かりました』 



彼 『礼拝堂と仏塔の遺跡があります』



僕 『楽しみです』







すると、タイ人観光団の小母さんが男性ガイドに近寄り・・・僕の顔を眺めながら・・・







女性 『この人は何方?』



男性 『知りません』



僕   『日本人です』



男性 『チャーンカムに来る日本人って珍しいね』



女性 『ウイアン グム ガーム遺跡のことを知っているの?』



僕   『初めて知りました』



女性 『それじゃ、彼に教わらなきゃ損だわよ』



僕   『ご親切にありがとう御座います』



女性 『皆さん!この人、日本人だってよ』 







タダ乗りを非難されるかと思いきや、彼女の友人達に僕を大声で紹介してくれました。随分と気前の良い、あっけらかんとしたタイの小母さんばかりで、先ずはホット一安心です。










次回に続きます。