タイのチャチューンサオ県で開催された国際砂祭りフェスティバルの続きです)
国際砂祭りフ ェスティバルの第三テント会場は、
世界各国の代表的ランドマークや文化を砂で表現したコーナです。
砂で巧みに造られた万里の長城の隣に、
オランダ人青年が製作した 『 日本イメ-ジ 』 の砂作品がありました。
作品のタイトルは、なんとも古めかしい 『 富士山、芸者、鳥居 』 です。

懐かしの構図・富士山と鳥居と芸者
『 富士山、芸者、鳥居 』 の作品を御覧になった日本の皆さんは、どのような感想を抱かれますか?
『 あまりに時代遅れ 』、『 発想が貧困 』、『 ステレオ・タイプ 』、
それとも 『 ガッカリ 』 ですか?
僕としては、『 富士山、芸者、鳥居 』 の題材を頭から否定するつもりはありませんが、
もう少し “ 文化的考証 ” をする気概をもっても良いのでは・・・という感じがしないでもありません。
例えば、芸者の日本髪は、まるでタイの成金夫人や元貴族夫人が好む
『 ポム・フー・フー 』 ผมฟู ๆ のヘアー・スタイルそのものです。
日本髪の造形は、もう少し伝統美と艶があるように思うのですがね。

タイ風のポム・フー・フーに似た日本髪
もう一つ、芸者の側で三味線で居噺子(いばやし)をする女性のバチを持たない右手を見て下さい。
まるで 『 クラシック・ギタリスト 』 のアルベージオ奏法を思わせるような手つきです。
若かりし頃、クラシック・ギターに凝った僕ですが、右手の形を取るのが難しく、
ギター教室の女流プロから厳しく叩き直された憶えが蘇えります。
彼女の手の構えの方が、僕よりも遥かに優れているように見えるのがチョット悔しい。

クラシック奏法の構えで三味線を弾く芸者
更に、もう一つ、写真では判別不能ですが、
富士山神社の参道に立つ 『 鳥居 』 の二本柱の上に渡された笠木と、
その柱を連結する貫(ぬき)の間に掲揚された額面の中に彫られていたものは、
『 神社名 』 ならぬ、『 仏陀の絵 』 でした。
神仏習合時代には、このようなパターンが存在していのでしょうか?

そして、最後にもう一つ、下写真は何を表現していると思いますか?
富士山の山麓にゴロ・ゴロと転がっているのは溶岩?それとも、鬱蒼とした樹海でしょうか?

タイ語と英語の説明も、今ひとつ明解ではないのですが、
想像力を働かせると、どうも、葛飾北斎の 『 富嶽三十六景 神奈川沖浪裏 』
を表現した作品のように思えるのですが・・・皆さんは如何思われますか?
何かと違和感のある日本コーナーの作品ですが、
第三会場内の世界各国毎の展示作品内で、タイ人入場者の第一位の撮影人気スポットは、
日本の 『 富士山、芸者、鳥居 』 だったことを申し添えて置きたいと思います。
なんとなく嬉しいものですね。