タイの北部を旅した時、編み篭を満載した『手押し車』の側で一休みをしている老人に出会いました。一つでも多くの駕籠を、少しでも目立つように積載するためなのでしょう・・・自分なりに創意工夫した立体的な手押しのリヤーカーです。
余談ですが、リヤーカーとは、自転車の後尾に付けたり、人が引いたり、押したりして物を運ぶ二輪車のことです。語源は『REAR CAR』ですが、和製英語なので英語国の人が聞いても『???』だと思います。
僕 『写真を撮らせて下さい』
老人 『イヤー・・・』 (照れまくる露店商の老人)
僕 『篭だけを撮りますから・・・』
老人 『いいけど・・・』
恥ずかしがった老人は、ファインダーの枠内から消えて行きました。
僕 『何に使うのですか?』
老人 『いろいろだよ・・・』
僕 『例えば?』
老人 『もち米・・・ 』 もち米 = カーオ・ニアオ ข้าวเหนียว
僕 『篭の材質は何ですか?』
老人 『竹で編むのだよ』 (注)サーン・ドゥアイ・マイ・パイ = สานด้วยไม้ไผ่
僕 『この小さな篭は東北で見ました』
老人 『もち米を入れる弁当篭だよ』(注)弁当篭 = グラ・ティップ กระติบ
写真では分かり辛いのですが、洗ったもち米を入れたり、もち米を入れて蒸したり、出来あがりのもち米を入れて持ち歩くための弁当駕籠などが、狭い手押し車の中に並んでいました。
《造花を売る屋台》
仏教寺院の境内を散歩していると、境内の奥まった場所に『造花を満載した手押し車』が一台置いてありました。
近づいて見たのですが、持ち主の姿が見たりません。『無用心だな』と思いつつ周りを見渡すと・・・寺院の軒下で寝そべっていた老人が、僕の挙動を心配そうに見張っていました。
造花と花瓶を満載した手押しリャカー
僕 『一本幾らですか』
男 『一本25バーツ。花瓶も25バーツ』(25B = 約90円)
僕 『商売繁盛ですか?』
男 『さっぱり売れないね』
僕 『花は何に使うのですか?』
男 『土地神の祠に献花するのさ』
昼下がりの寺院境内に、僕を除けば、人っ子一人いません。それに、寺院内に『地神の祠』なんてある訳がありません。およそ商売に適さない場所なのですから、造花なんて売れる訳がないのです。
土地神の祠 : 建物の敷地内の日陰にならない場所に祀られます。
男 『今は昼寝の時間なんだよ』
僕 『涼しそうですね』
男 『日陰は最高さ!お前さんも一休みしなされ』
男 『何処から来たの?』
僕 『日本ですよ』
男 『タイに長く住んでいるの?』
『タイ語は何処で覚えたの?』
『タイ飯は好きかい?』
『タイ女性は好きかい?』
たわい無い会話を楽しみながら、南国の昼下がりのひと時を過ごすことが出来ました。