ラオス山間部の古都・ルアン・パバン(世界遺産)で初めての朝を迎えました。

昨日は、到着した空港で TUK・TUK を雇ってプーシー山麓に向かい、その山頂から古い町並みのルアン・パバンを眺望。それから、大河メコンを航そうする細身の木造舟に揺られて4時間あまりを過ごし、日没後は、メコンの欧風レストランで、小さな事件はありましたが、タイの東北料理の原点と思われるラオス料理に舌鼓を打ちました。

昨日の本来の行動予定は、先ずは、我等4人が泊まる旅籠を、仏教寺院のワット・シェントーンの在る地域で見つけてから、その後は、夕食まで各自が自由に時間を過ごすことにしていたのですが、到着早々、ケ・セラ・セラの気儘な旅となってしまいました。

古都・ルアン・プラバンの投宿先は、『 早朝の托鉢 』の光景を見たかったので、仏教寺院が集中するシェントーン通りの旅籠に決めました。旅籠で働いている人に聞くと、旅籠の真ん前の道路は、シェントーン寺院などの僧侶が、早朝托鉢のために列を作って歩く通りなのだそうです。 まさに、僕にとっては打って付けの旅籠でした。

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我等が宿泊した1泊 US$30の旅籠

安宿なので期待はしていなかったのですが、意外にも清潔感のあるベッド! 部屋のカーテンを開けると、金色に輝く仏教寺院のワット・セーンが目前に見えました。 おまけに、英語とタイ語も理解できる親切な男性スタッフもいました。

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寝室の窓を開けると金ピカ寺院が見えました。

早朝の四時、寺院の境内から響いてい来る木槌の音で目が覚めました。窓の外は未だ真っ暗ですが、『 托鉢 』( ビンタ・バーツ บิณฑบาต )を行う僧侶に起床を告げる合図なのでしょうか?

午前五時半、再び打ち鳴らされた木槌の音に促されて表通りに出ました。遠くに霞む山の稜線が朝陽の中で霞んでいます。世界遺産の古都・ルアン・プラバンの清々しい一日の始まりです。

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古都・ルアン・プラバンの静かな朝

午前六時前、シェントーン通りの数多の寺院の白壁の中から、橙色の僧衣 พระจีวร
( プラ・シ゛ーオン )を纏った僧侶が三々五々歩道に集まり始めました。


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仏教寺院から道路に出て来た僧侶

三衣(サンエ)と呼ばれる橙色の僧衣を纏っている僧侶の一団があるかと思えば、腰から下に纏う“下衣”と、肩からかける“大衣”だけを纏い、全身を覆う“上衣”を着けずに右肩を出した僧侶も見受けます。しかし、足元だけは、いずれの僧侶も、例外なく裸足です。

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托鉢のスタ-トを待つ僧侶

午前六時、それそれの寺院ごとに纏まって縦列になった僧侶の『 早朝托鉢 』が始まります。『 托鉢 』は、原始仏教の時代から南方上座仏教に継承されている出家者の大事な修行の一つです。

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托鉢に出発する僧侶の列

町の人々は、毎朝交代で、路上に敷いたゴザの上に裸足で座り、通過して行く僧侶の鉄鉢
( บาตร バーツ )の中に、供物(米食、副食品)を寄進( ตักบาตร タック・バーツ )します。


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托鉢を行う僧侶と喜捨をする仏教徒

僧侶の一団は、食物を入れてもらう時に歩足を緩めることはあっても、立ち止まることはありません。更に、僧侶が喜捨する人に対して感謝の返礼をすることもありません。

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南方上座仏教では、寄進をして感謝の合掌をするのは、『 徳を積みたい 』という寄進者の側なのです。一方、僧侶としては、言葉は適切ではありませんが、『 徳を積ませてあげる 』という立場ですから、寄進を受けたことに対して感謝の返礼をする必要が無いということのようです。

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幼い表情の残る未成年の僧侶

ルアン・プラバンの托鉢僧の年代は、バンコクとは違い、殆どが中学生、高校生の僧侶でした。しかし、例え未成年の僧侶( เณร ネーン )であっても、年配の寄進者に対して寄進の返礼をする必要はありません。 

見習い僧と言えども、市井の大人よりも厳しい戒律を守って修業しているのですから、尊敬される資格は十分に持っているということなのでしょう。 因みに、タイの王様が寄進される時も、僧侶は決して返礼をすることはないそうです。

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小さな寺院の僧侶のグループでしょうか?

天秤棒を担いだ女性が僕に声を掛けて来ました。彼女達は、観光客相手に寄進用の供物セットを販売する人達です。

僧侶に寄進する人は、男、女、子供、幼児、誰だってOK。その気持ちのある人ならば、異教徒の外国人だって構わないそうです。

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寄進用の供物セットを売り歩く女性

早朝6時前後から約一時間、数百人の僧侶によって繰り広げられた『 早朝托鉢 』は終わりました。長い僧侶の縦列は、自分の寺院へと戻って行きます。

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托鉢を終えて寺院に戻る僧侶の縦列

二階の部屋に泊まった白人グループは、通りに面したベランダの椅子に座って両脚をベランダの手摺に置いた恰好で『 托鉢 』の列を見下ろしていたそうです。 

ラオス人が不快な表情を浮かべて言いました。
『 高い位置から両脚を突き出して托鉢を見下ろすなんて不敬だと思います 』


他国に入れば、例え異教徒や無神論者であろうとも、その国の宗教、習慣には敬意を払うのが当然だと思いますね。

朝食を取ってからルアン・プラバンの寺院巡りに出発します。
本日の僕の最大目的は、バンコクの王室寺院・ワット・プラ・ゲーオに安置されている『 エメラルド仏 』が、西暦1560年代に安置されていたという寺院を捜し出すことです。

首尾よく見付かれば良いのですが・・・・・・