五月連休を利用して、日本から懐かしい人が二人訪ねて来ました。二十数年以上前に東京本社で一緒に働いた友人です。二人ともタイは初めての訪問です。

辛いタイ料理は苦手のようなので、自分の好みに合わせて辛さを調整できる『 タイ・スキー 』からトライしてみるることにしました。

タイに魅せられてロングステイ
箱に入った20種類の具と野菜6箱を注文 (右の碗に入った赤い汁が秘伝のタレ)

『 タイ・スキー 』のチェーン店としては、観光客やビジネス客の間で有名な『 COCA 』(コカ)、タイ人の老若男女に親しまれている『 M・K 』、そして『 広東 』などがありますが、『 コカ 』は、日本の渋谷、青山、有楽町にも出店しているので御存知の方も多いのではないでしょうか?

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湯がくのに時間が掛かりそうな食材から適当に放り込みます。

『 タイスキー ไทยสุกี 』の名付け親は、コカの初代経営者だそうです。名前をつけるにあたって、当時から世界的に有名だった日本の『 スキヤキ สุกียากี้ 』にあやかり、料理方法が全く違うのを承知の上で、『 スキー 』という名前を冠したのだそうです。

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つみれ、ベイビー・コーン、葱などが見えます。

因みに、日本式の『 すき焼き 』は、タイ語では『 鉄なべ牛肉 』( ヌア・グラタ เนื้อกระทะ )と呼ばれています。 『 タイ・スキー 』に似た料理に、『 スキー・ホンコン สุกี้ฮ่องกง 』がありますが、これは大型の火鍋子を用いた中国風海鮮料理のシャブシャブですね。

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袋ダケ、なめたけ、海老、ホウレン草、豆腐、烏賊も見えます。

それでは、タイ庶民が集ってワイワイ・ガヤガヤ食べる時の定番料理である『 タイ・スキー 』の料理手順と食べ方を御紹介しましょう。

① ダシがだっぷりと入ったアルミの電熱鍋が机上に用意されます。
② 電熱器のスイッチを入れてダシを煮立てます。

昔は、スープのダシ取り用として甲羅を開いた大きな蟹が鍋の中に入っていましたが、最近はダシ取りを終えたスープが鍋にたっぷりと入っていて、お客はダシ汁を煮立てるだけでOKです。


③ 好きな具を種類毎に一箱(店によっては一皿)単位で注文します。
具の種類は、豆腐、春雨、葱、白菜、鶏肉、豚肉、牡蠣、海老、魚肉など等と豊富にあり、選り取り見取りです。


④ 具を鍋の中に放り込んで煮ます。
具を一気に放り込むも良し、小網杓子の中に自分の食べたい分だけを入れてサッと煮立てるも良し、特に煩い流儀はありません。野菜は手包丁でちぎって入れます。


⑤ 煮えた具を取り出して赤くて辛いタレ(ナーム・チム)につけて食べます。
各店秘伝の辛いタレですが、辛いのが苦手な人は、ダシ汁で薄めて自分の好みに合わせて食べることもできます。ナーム・チム น้ำจิ้ม とダシ汁の追加は無料です。


⑥ ワイワイ・ガヤガヤと喋りながら鍋の中の具を食べ尽くします。

此処迄が第一幕、これからが第二幕になります。


⑦ 残ったダシ汁で雑炊を作るためにダシ汁のアクを取ります。

⑧ ダシ汁の中に生卵、醤油、御飯(カオ・スアイ)を入れます。
御飯の代わりに麺類を入れるも良し。溶いた生玉子を具の中に入れて掻き混ぜるも良し、具の上に薄く満遍なくかけて蒸すも良しです。


⑨ 鍋蓋をしたまま火を止めて蒸します。

⑩ 蒸し終わったら雑炊に刻み葱をパラパラと振り掛けて食べます。
何種類もの具から滲み出たダシのエキスが混じった雑炊の美味しさは絶品です。

タイに魅せられてロングステイ
熱いタイスキには、スイカ・ジュース(テンモー・パン)が最高です。

既に御気づきだと思いますが、『タイ・スキー』とは、タイ風の『 水炊き 』料理なのです。

辛いのが苦手だと言っていた日本からの友人も、辛いタレを自分で調整できるのが気に入ったらしく、一時間もすると、鍋の中の具がすっかり無くなってしまいました。満喫して貰えたようですね。