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このタイトルも、過去ブログの中で何度も書いていたことが、今回の過去ログの修普中に分かったのですが・・・・・・どれもこれも中途半端な状態で終わっているものばかりでした。 
と言う訳で、此の機会を利用して、複数の過去ログ(2006年~2007年4月28日)を全て抹消して一本に纏め直して再投稿することにしました。とは言っても、相変わらず結論のないままの記事である事に変わりはないのですが・・

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何人ものタイ人に訊ねても、未だに理屈が分からない風習が沢山あます。その内の一つが、トン・ポー ต้นโพ やトン・サイ ต้นไทร などの大木に『 三色布 』(パー・サム・スィー ผ้าสามสี を巻きつける精霊信仰です。

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『 三色布 』(パー・サム・スィー ผ้าสามสี)を巻きつけた菩提樹( トン・ポー ต้นโพ )を守る象さん

あるタイ人は、三色布で大木を雁字搦めに縛ることによって、『 大木に住み着いている悪霊の禍を閉じ込める 』とか、『 タイ人の生活を守ってくれる大木の精霊に感謝する 』という意味があると言います。

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インド菩提樹に巻かれた三色布 ( パー・サム・スィー ผ้าสามสี )

しかし、異論を唱えるタイ人もいます。
精霊信仰であることは間違いないけれども、サク・スィー ศักดิ์ศรี と モンコーン มงคล を得るための信仰だと言うのです。『 サク・スィー 』とは、名誉とか名声の意味であり、『 モンコーン 』とは、吉祥とか繁栄を意味する言葉です。つまり、大木に『 三色布 』を巻き、大木に宿る精霊を敬うことによって、自己の名誉と名声が集まり、繁栄することを祈願する儀式だと言うのです。


寺院で遊んでいたタイの子供に聞くと・・・・・・
三色布を巻いて神に祈ると、老木になって実を付けなくなった大木が、再び元気になって実をつけるようになるからだと明解に言いきります。


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菩提樹の倒木にも巻かれていた三色布 ( パー・サム・スィー ผ้าสามสี )

三者三様の意見ではありますが、神々( テワダー เทวดา )が宿る大木に『 三色布 』を巻くということに関しては共通点があります。ひょとして、たいした理屈なんてなくて、彼らの言う全てが該当しているのかも知れません。 

学校の先生にタイの聖木について聞いてみました。
タイ人の多くが『 精霊が宿る木 』として信仰する大木が幾つかあるのだそうです。例えば、
『 トン・ポー ต้นโพ 』( 印度菩提樹 )、『 トン・サイ ต้นไทร 』( ベンガル菩提樹 )、『 サラ・ランガー สาละลังกา 』( 砲丸木 )、『 タキアン・トーン ตะเคียนทอง 』( 鉄樹 )などだそうです。


『 印度菩提樹 』(トン・ポー ต้นโพ )
ヒンドゥー教では、この木の下で『 ビシュヌ神 』が生誕し、仏教では『 釈牟礼尼 』がこの木の下で悟りを得られたとされています。タイ仏教では、『 ビシュヌ神 』も『 釈牟礼尼 』(ビシュヌ神の化身)も絶大なる信仰の対象ですから、『 印度菩提樹 』を聖木として敬うのは理の当然という訳です。(下写真)

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『 ベンガル菩提樹 』(トン・サイ ต้นไทร )
ヒンドゥー教の聖木ですが、仏教でも『 釈迦牟尼 』がこの木の下で休憩されたとして信仰の対象になっています。

ピマーイのサイ・ンガーム公園で見かけたベンガル菩提樹は、幹に三色布が巻かれ、枝には三色布を兼ねたマーライ มาลัย が吊り下げられていました。


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ピマーイのサイ・ンガーム公園のンガル菩提樹(バンヤン樹)

聖木に直接三色布を巻かずに、聖木の傍らの祠の1本足のサン・プラプーム ศาลพระภูมิ 、或いは、4本足ืのサンジャーオティー ศารเจ้าที่ の支柱などに三色布やマーライを巻く風習もあります。(下写真)

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1本足( ヌン・サオ หนึ่่งเสา )のサン・プラプーム ศาลพระภูมิ に巻きつけられた三色布とマーライ

『 砲丸木 or 沙羅の木 』(サーラ・ランガー)
タイ上座部仏教では、釈迦牟尼は、この木の下で生誕、この樹の下で入滅された事になっています。砲丸木には、スリランカ原産のサーラ・ランガー สาละลังกา と 印度原産のサーラ・インディア สาละอืนเดีย の二種類がありますが、タイではスリランカのサーラ・ランガーが圧倒的に多いようです。(下写真)

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『 砲丸木 or 沙羅の木 』(サーラ・ランガー  สาละลังกา )

インドや日本では、釈迦牟尼は、『 無憂樹 』( ソーク โศก の下で生誕されたことになっていますね。しかし、タイ上座部仏教では、生誕も入滅も、砲丸木( 沙羅双樹 )の下だったと伝えられているので、無憂樹は聖木の中に含まれていません。

と言うのは表向きの理由のようです。 『 無憂樹 』( ソーク โศก )』という名前が、タイ語の
『 サーオ・ソーク เศร้าโศก 』( 悲哀、苦痛 )に通ずることから・・・・タイ人が強く嫌ったと言うのが本当の理由のようですね。そう言われて見れば、三色布が巻かれた『 無憂樹 』( ソーク โศก )の木を一度も見たことがありません。


『 タキアントーン ตะเคียนทอง 』( 鉄樹 )
先生が四番目に挙げた『 鉄樹 』は、僕は未だ見たことがないのですが、 戦いに強い女性の精霊を宿している聖木なのだそうです。 しかし、タイ人の男性は、この木を自宅の庭に植えるのを酷く嫌うと聞きます。タイ人の男性は、夫よりも強くて賢い妻が、世帯を牛耳るのを恐れているのでしょうか? お世辞にも賢いとは言えない僕は、『 賢くて強い女性 』なら大歓迎ですけどネ。

気になっていたことを、先生に質問してみました。
『 どうしてパー・サム・スィー ผ้าสามสี (三色布)と言うのですか? 』
『 三色どころか、まるで虹色のようですが・・・・ 』
『 色の三原色を意味しているのですか? 』
『 仏教の三宝(仏・法・僧)と関係あるのですか? 』

先生は・・・困ったような表情を浮かべて・・・『 調べて置きましょう 』と言うことでした。


日本にも、神前や祭場、玉串や神木、そして、相撲の横綱の注連縄などに付けられている
『 しで 』( 四手、紙垂 ) がありますね。多分、聖域を示すものだと思うのですが・・・・・・
若しも、タイ人から、その謂れや意味を具体的に質問されても・・・僕には何も分からないでしょうが・・・・