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過去ブログ修復の進捗状況です。
現在、壊れてしまった過去ブログを修復中ですが、小サイズの写真を大サイズに置き換える作業に手間取ってしまい、更新再開が大幅に遅れています。 只今の修理の進捗状況は、
2002年12月から2007年4月15日のブログまで作業を終えたところです。

花を主題にしたホームページの設計変更は、予定通りの日程で終えたのですが、ブログの進捗状況が大幅に遅れているので、HPを再公開したとしても、更新する時間が取れそうにもなく、今暫く休刊を続けることになりそうです。


ブログを休載して既に6ケ月以上経過したにもかかわらず、毎日のように1700人~1000人の方に過去ブログをクリックして戴いています。ことに、金曜日~日曜日にかけては、1500人~1700人もの方に御覧戴き、とてもも嬉しく思うと同時に、尚更に壊れた過去ブログの復元を急がねばと言うプレシャーを受けています。

ブログ再開に向けて、可能な限り修復を急ぐ所存ですので、今暫くの間お待ち戴きたく御願い申し上げます。

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随分と前に書いた拙ブログで、タイの田舎や郊外の道路脇に設けられている無料休憩所の『 サーラー 』について、まるで五月雨のように、途切れがちに繰り返してダラダラと書き連ねていたことに気付きました。 

ということもあって、本日は、2006年~2007年までの期間中に何回にも分けて投稿していた
『 サーラー 』に関する拙ブログを一本に再編集し、『 サーラー (改版) 』として再投稿することにしました。 再投稿と同時に、2006年~2007年に投稿したサーラーの記事を抹消させて戴きました。

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さて、本日は、僕のお気に入りの一つであるバンコク隣県のプッタモントン仏教公園のサーラーを御紹介がてら、タイの様々なタイプのサーラーを写真で御覧戴きたいと思います。

その前に、『 サーラー 』とは何でしょうか?タイ語辞典では下記のように説明されています。

『 庭、寺院、村の広場、道路わきになどに建てられる伝統的な休憩所 』
『 近在の住民の情報交換の場として使用される休憩所 』
『 昔は、旅人の休憩や宿泊の場所としても提供され、飲み水も用意してあった 』
『 屋根を支える柱はあるが、サーラーを取り巻く外壁は一切ない 』


タイに魅せられてロングステイ
バンコク・クロントゥーイ国際港内の木造仕様のサーラ  ศาลา

上下の写真のように、基本的には四本の柱に支えられた切り妻様式の屋根と、四方の壁が無いために全方向の風が通り抜け自由jになった休憩所のことを、タイ人は『 サーラー 』
ศาลา と呼んでいます。


タイに魅せられてロングステイ タイに魅せられてロングステイ
アユタヤ県ワット・プータイサワン(仏教寺院)の船着き場兼ねた鉄筋仕様のサーラー  ศาลา

広辞苑で『 東屋 』を引いてみると、『 東国風の鄙びた家、四方の柱だけで、壁が無く、屋根を四方に葺いた小屋。庭園などの休憩所として使用 』とあります。

サーラーの基本的構造と用途は、日本の東屋、四阿、阿舎と似ていることが分かりますが、両者の外観風情を見比べると、その違いは歴然としていますね。

タイに魅せられてロングステイ
タージン川に浮かぶ涼しげなサーラー    (ナコンパトム県ドーンワーイ郡)

その昔、日本に長く在住した後にバンコクに移住した白人が、タイ文化と日本文化を比較した彼の著書の中で、次のようなことを、かなり断定的に書いていました。
『 タイのサーラーに侘び・寂びの趣を付加して生まれたのが日本の東屋である 』

タイに魅せられてロングステイ
サムットプラカーン県エラワン博物館のサーラーで語る若夫婦

『 サーラー 』と『 東屋 』の基本的な特性が似通っていることに異論を挟むつもりはありませんが、どちらが先で、どちらが後と言う話しになると・・・ちょっとばかり根拠薄弱のような気がしないでもありません。

タイに魅せられてロングステイ
今風の板敷きのサーラーで憩う老人

話題がチョット横道に逸れますが、タイの幼児がタイ文字の『 42の子音文字 』を憶える伝統的な方法があります。 タイ語の42の子音文字には、同じような音の類の文字が相当数存在するために、その子音文字を区分けして理解するために、タイ人ならば誰もが知っている代表的な名詞を当ててリズミカルに憶えるのです。

タイ文字を初めて勉強する外国人も、タイの幼児と全く同じ方法によって子音文字の形、発音、声調を覚えることになります。

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サムットプラカーン県の公園の湖沼に浮かぶ橋脚を兼ねた木造仕様のサーラー  ศาลา

例えば、東屋を意味する『 サーラー 』 ศาลา を例に取りながら説明してみたいと思います。
タイ子音文字の『 S 』( ソー )には、声調は同じでも三つの異なる字体があります。


文字   呼称名詞        読み           意味 (憶え方)
ศ   ศอ - ศาลา  soo-saalaa   休憩所(サーラー)の S
ษ   ษอ - ฤษี    soo-ruusii     仙人の S
ส   สอ - เสือ    soo-sua       虎の S 

タイ文字の『 ソ- 』を暗記するために、上記のように、休憩所、仙人、虎の単語でもって覚えるのですが、子音42文字の全てに、上記のような単語があらかじめ決められています。
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バスの待合所を兼ねた平均的な木造様式のサーラー  ศาลา (タイ東北地域:サラーブリ県)

仙人と虎についてはイメージが一致するので問題は無いのですが、『 サーラー ศาลา 』というタイの建築様式を理解出来なかった僕は、ศอ - ศาลา soo-saalaa の意味を理解し難くかったことを、今でも覚えています。

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タイ北部ラムパーン県の郊外で見た素朴なサーラー  ศาลา

しかし、タイの郊外を散策したり、田舎を旅行したりする内に、『 サーラー ศาลา 』というタイ独特の『 休憩所 』の実物に何度も接して、『 サーラー 』の単語の意味を実感として理解することが出来ました。そして、気が付けば、『 S 』(ソー)という 『 三つの同音の子音字 』を完璧(?)に区分して読み書きできるようになっていました。

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バンコク郊外のラーマ9世公園内に設置されている豪華な木造様式のサーラー  ศาลา

話を本筋に戻しましょう。
プッタモントンの仏教公園は、巨大な『 遊行仏 』(プラ・リーラー พระลีลา )が有名ですが、その遊行仏を遠巻きにするように、幾棟もの『 サーラー 』が建ち並んでいます。この公園内の『 サーラー 』は、タイ古来から伝わる伝統的様式を踏まえた石造りやコンクリート製の堂々たる『 サーラー 』が多いような気がします。


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プルメリアの木の向こう側に連なるサーラー (プッタモントン県の仏教公園)

四本の柱と切り妻様式の屋根構造で、四方の壁が無いのは一般的なサ-ラーと同じですが、地上から 約50cm 程度の高さに大理石を敷き詰めた石床、コンクリート製の柱や屋根などがユニークです。

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幾棟も連立して並ぶサーラーとプルメリアの木 (プッタモントン県の仏教公園)

サーラーの冷たい大理石製の床面に寝転び、吹き抜ける風の中で大きく背伸びをすると、古の昔の参拝者、巡礼者、旅行者にとって、『 サーラー 』が実に快適な無料休憩所であったことが容易に想像できます。

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プルメリアの木に囲まれたプッタモントン仏教公園のサーラー

プッタモントンの『 サーラー 』の快適さは、『 サーラー 』を陽射しから守るために植えられた
『 プルメリアの木 』の美しさに拠る所も大きいように思います。


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サーラーを取り巻くように咲いていたルメリアの花

この公園の『 プルメリア 』に咲く花弁は、少しばかり小振りのような気もしますが、それでも清廉な女性をイメージさせるに充分且つ魅力的な姿形をしています。プッタモントンを訪れたのは、此の時が三回目だったのですが、その素晴らしさを改めて実感することが出来ました。

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冷たくて気持ちの良い大理石を敷き詰めた床面 (プッタモントン県の仏教公園)

またまた話しが変わりますが、『 サーラー 』 と言えば、南部タイのナコンシー・タマラートには、『 サーラー・ゴーホック 』( 嘘つき亭 ศาลาโกหก )と呼ばれるサーラーがあると聞きました。

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スコータイ王朝時代のサーラー           『 サーラー・ゴーホック 』とは無関係です。

聞くところによれば、その『 サーラー・ゴーホック 』( 嘘つき亭 )は、ユーモアに溢れた嘘や法螺ならば、自由闊達に言い合って楽しむ事を許された場所なのだそうです。

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タイ北部様式のサーラーでしょうか?         『 サーラー・ゴーホック 』とは無関係です。

由来を聞くと、最初の名前は、地元の方言で『 6本のカリンの木がある休憩所 』と言う意味の『 サーラー・ドー・ホック 』ศาลาโดหก という名前だったそうですが、他県の人が 『 サーラー・ゴー・ホック 』(嘘つき亭)と聞き間違えてしまい、最終的には、『 嘘つき亭 』が正式名になってしまったという・・・・・・嘘のような本当の話なのだそうです。

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古式豊かなサーラーでタイ将棋を楽しむ人々     『 サーラー・ゴーホック 』とは無関係です。

最初の名前を、方言ではなく、標準語で 『 サーラー・プラドゥー・ホック 』(6本のカリンの木がある亭  ศาลาประดูหก と名付けて置けば、こんな聞き間違いは起こらなかったのでしょうが、結果として、タイで一番有名なサーラーになったのですから、何が幸いするか分かりませんね。

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アユタヤ近くのバンサイ河畔で見かけた粗末なサーラー?・・・サーラーの原型でしょうか?

去年の今頃、ナコンシー・タマラートの町を訪れたのですが、この時は『 嘘つき亭 』の存在を全く知らくて、実に悔しい思いをしました。かえすがえすも残念で仕方ありません。

車で地方旅行することの多い僕ですが、道に迷った時は『 サーラー 』に立ち寄ることにしています。気さくなタイ人の老若男女が何人も集まっているので、道路以外の情報も微に入り細にわたって教えて貰えるので、いつも大変に重宝しています。 もっとも、道路情報に関しては間違いが多く、あまり信用できないのですが・・・

タイ人の『 思い遣り精神 』( nam-jai น้ำใจ )と『 安楽精神 』( sabaai-jai  สบายใจ )が、現在の『 サーラー 』に息づいているように思います。