先日の4月8日付けブログで、路上に絨毯のように舞い散ったタイ桜の写真を掲載しましたが、今一度、タイ桜について書いて見たいと思います。

タイに魅せられてロングステイ
仏教公園のタイ桜

ナコン・パトムの所用を終えてバンコクに戻る途中、プッタモントン仏の教公園に立ち寄ってタイ桜を見学したのですが、ピンク色の花の半分以上は、既に散ってしまった後でガッカリでした。

この日も調子の悪いポケット・カメラだけしか持参しておらず、僕の気持ちを代弁するかのように、冴えない写真になってしまいました。


タイに魅せられてロングステイ
地上に散らばるタイ桜の花弁

タイの書物によると、ラーマ五世の孫のチ゛ュム・ポット・ポン・ボリパット氏の奥方の 『 パンティップ・ボリパット 』 (ม.ร.ว. พันธุ์ทิพย์ บริพัตร )さんが、南米旅行から持ち帰った花と記されています。

この花が咲く木の葉を煎じると、下痢止めの効用があるようですが、南米からタイに此の花を持ち帰った彼女の意図が那辺にあったのかについては、特に記述されていないようです。


    
桃色のタイ桜をタイに持ち込んだパンティップ・ボリパットさん

タイ桜は、タイ原産の花だろうと誤解していた僕ですが、南米から持ち込まれた 『 Pink Rosy Trumpet 』という花だったのですね。

僕が初めてタイ桜を見た時の印象は、正直に言って、日本サクラとは似ても似つかない、『 朝顔のようなロート状の花 』 だったのですが、英国では、『 管楽器のトランペット 』と呼ぶようですね。


タイに魅せられてロングステイ
朝顔のようなロート状の花

パンティップ・ボリパットさんが南米からタイに持ち帰ってから暫くの間は、ラテン語の 『 ター・ベーブー・ヤー 』の発音をそのままタイ語にして、ตาเบบูยา (ターベーブヤ)の花名で呼ばれていたようです。

しかし、親しみ難い外来語名だったからでしょうか、いつしか、 パンティップ・ボリパットさんの名前と桃色の花弁から、『 チョムプー・パンティップ 』 ชมพูพันธุ์ทิพย์ 、つまり、『 パンティップさんの桃色の花 』という名前が定着したようですね。


余談ですが、古美術品の収集と古い建築様式で有名なバンコクのスアン・パッカ-ド宮殿
( 2006年12月24日付けBlog 野菜畑の博物館を御参照)は、ボリパット御夫妻がお住みになった旧居跡です。


タイに魅せられてロングステイ
ボリパット御夫妻がお住みになったバンコクの旧居跡  (スアン・パッカ-ド宮殿 )

バンコクの秋葉原と称される『 パンティップ・ビル 』の由来も、後世になって 『 パンティップ・ボリパット 』さんの土地を購入したタイ人資本家が、『 パンティップ 』 さんの名前を偲んで命名したとされています。

タイに魅せられてロングステイ
バンコクの秋葉原と称されるパンティップ・ビル

タイに長く住む日本人の中には、日本サクラとは、植物学的に見ても、縁もゆかりもない花と知りつつも、この花を『 タイ桜 』と呼んで愛でる人もいると聞きます。

きっと、開花時期が三月~四月であること、花の色が桃色であること、花の命が短いことなど・・・日本サクラに似た幾つかの共通点があることから、望郷の念を募らせた日本人が名付けたのでしょうね。

次回は、僕の好きな“タイ桜もどき”の『 バ ライロ モクセンナ 』を御紹介したいと思います。