先日のBLOGでヒンドゥー神話に出て来る『 ホン 』หงส์ について少しばかり触れたところ、読者の方から『 ガルーダーとホンの違いは? 』との御質問を頂きました。
『 ホンとガルーダー 』はヒンドゥー神話に出て来る創造上の架空動物という点では共通性があるものの、全く別個の存在であり、その役割も風貌も全く異なります
ヒンドゥー神話の三大神は、『 プラ・プローム 』( 創造の神 )、『 ヴィシュヌ神 』( 守護の神 )、『 シヴァ神 』( 破壊の神 )です。これらの神々は、天界と地上を行き来しているのですが、その時は専用の『 乗り物 』を利用することになります。今流に言うならば、運転手つきの高級大型自家用車に乗って通勤するようなものですね。
『 ホン 』หงส์ とは、三大神の一神である『 プラ・プローム 』( 創造の神 )が専ら乗る、高級大型自家用車ならぬ、架空の鳥の呼称です。日本では『 大雁 』、西洋では『 白鳥 』 と翻訳されているようです。

タイ王室御座船の舳先で先導するたホン 』หงส์
『 ホン 』は、水鳥をイメージ化した架空動物だと聞きますが・・・細長く伸びた長い首、足は細く、大きく堂々と立ち上がった尻尾、今まさに飛び立とうとするかのように広げた大きな翼、独特の紋様と綿毛に覆われた全身と風貌からすると、寧ろ、『 ドラゴン 』や『 龍の落とし子 』に似ているような気がしないでもありません。

街路灯の頂部で明かりを灯すホン (サムットプラカーン県プラプラデーン地区)
次に、『 ガルーダー 』 ですが、これは、『 神の鳥 』を意味するサンスクリット語です。タイ語では 『 クルッター 』ครุฑา とか、『 クルッツ 』ครุฑ と呼ばれています。
『 クルッター 』( ガルーダー )は 、ヴィシュヌ神( 守護の神 )専用の乗り物とされています。 ヴィシュヌ神は、タイ民族の手によって初めて興されたスコータイ王朝時代(日本の鎌倉時代の頃)から、現王朝に至るまで700年以上もの長きに渡って、タイ国を守護してきた
『 最上の神 』として崇められています。

タイ王国の国章として定められいるガルーダーのデザイン
『 ヴィシュヌ神 』の乗り物である『 クルッター 』( ガルーダー )は、腕と胴体は人間の形をしていますが、頭に冠を被り、口は鷲のような嘴、背中には翼、脚は鷲のように力強く、腰には羽毛の尾を持っています。(上写真)
『 クルッター 』のポーズとしては、大きく分けて2つあるように思います。(下写真)

左:ビシュヌ神を乗せて地上と天界を往来するクルッター (BTSチットロム駅近辺)
右:翼、手、脚を広げて飛翔するクルッター (シーロム通りのバンコク銀行本店)
ヒンドゥー神話によると、『 ヴィシュヌ神 』は、10の化身を持つとされています。『 クルッター 』( ガルーダー )も『 ヴィシュヌ神 』の化身と信じられています。更に仏陀 ( お釈迦様 )も、ラーマキエン物語の英雄であるラーマ王も『 ヴィシュヌ神 』 の化身とされています。

クルッターに乗るビシュヌ神 (サムットプラカーン県ナームプンオーク仏教寺院の破風)
現チャクリ王朝の代々の王様、つまり、創始者のラーマ1世から現王朝のラーマ9世は、全員 『 ラーマ 』を名乗っていますが、これは、ラーマキエン物語の英雄であり、理想の王とされている 『 ラーマ王 』 にあやかったものとされています。つまり、現王朝の代々のの王様もまた、『 ヴィシュヌ神 』の“生まれ変わり”と考えられているのです。
日本の天皇も、太平洋戦争に敗れる直前までは、現人神として奉られていましたが、敗戦後に人間宣言をされて日本国家の象徴となられました。 しかし、タイ国の王様は、現代の世でも『 ヴィシュヌ神 』の“生まれ変わり”として崇められています。
クルッターに乗るのは、ビシュヌ神だけではありませんでした。番外編と言えば大変に失礼かもしれませんが、タイ国の軍艦を背中に負ったクルッターもありました。(下写真)

ラーマ五世河口記念公園に保存されているタイ国海軍の艦船 (日本で造船された艦船だそうです)
この他にも、クルッターの宿敵であるナーガ( 三頭の蛇 )を両足でを鷲づかみにしているポーズもあるそうですが、僕はまだ現物を見たことがありません。
タイ仏教界『 テーラ・ワーダ 』( 南方上座部仏教 )で最も重要な神である『 ヴィシュヌ神 』専用の乗り物が『 クルッター 』( ガルーダー )であり、『 プラ・プローム 』(創造の神 )専用の乗り物が『 ホン 』と言うお話しの紹介でしたが・・・・それぞれが異なる架空の動物であり、それぞれの役割も風貌も全く異なる別個の存在であることをお分かり戴けたでしょうか?
創造の神である、『 プラ・プローム พระพรหม 』は、タイ語の発音ですが、日本では『 プラ・フーム 』、或いは、『 大梵天 』と書かれていることが多いようですね。
それにしても、ヒンドゥーの神にまつわる様々な言い伝えは、風変わりで奇想天外な話が多く、最初の頃は頭が受け付けなくて困ったものですが、何度も耳にしている内に、次第に興味のような何かが湧いて来るから不思議です。
多分、耳慣れない方は、退屈で眠くなられたのではないでしょうか?
その気持ちは、僕も経験済みなので、良く理解できます。
ここら辺りで止めにして置きましょう。
おやすみなさい。
『 ホンとガルーダー 』はヒンドゥー神話に出て来る創造上の架空動物という点では共通性があるものの、全く別個の存在であり、その役割も風貌も全く異なります
ヒンドゥー神話の三大神は、『 プラ・プローム 』( 創造の神 )、『 ヴィシュヌ神 』( 守護の神 )、『 シヴァ神 』( 破壊の神 )です。これらの神々は、天界と地上を行き来しているのですが、その時は専用の『 乗り物 』を利用することになります。今流に言うならば、運転手つきの高級大型自家用車に乗って通勤するようなものですね。
『 ホン 』หงส์ とは、三大神の一神である『 プラ・プローム 』( 創造の神 )が専ら乗る、高級大型自家用車ならぬ、架空の鳥の呼称です。日本では『 大雁 』、西洋では『 白鳥 』 と翻訳されているようです。

タイ王室御座船の舳先で先導するたホン 』หงส์
『 ホン 』は、水鳥をイメージ化した架空動物だと聞きますが・・・細長く伸びた長い首、足は細く、大きく堂々と立ち上がった尻尾、今まさに飛び立とうとするかのように広げた大きな翼、独特の紋様と綿毛に覆われた全身と風貌からすると、寧ろ、『 ドラゴン 』や『 龍の落とし子 』に似ているような気がしないでもありません。

街路灯の頂部で明かりを灯すホン (サムットプラカーン県プラプラデーン地区)
次に、『 ガルーダー 』 ですが、これは、『 神の鳥 』を意味するサンスクリット語です。タイ語では 『 クルッター 』ครุฑา とか、『 クルッツ 』ครุฑ と呼ばれています。
『 クルッター 』( ガルーダー )は 、ヴィシュヌ神( 守護の神 )専用の乗り物とされています。 ヴィシュヌ神は、タイ民族の手によって初めて興されたスコータイ王朝時代(日本の鎌倉時代の頃)から、現王朝に至るまで700年以上もの長きに渡って、タイ国を守護してきた
『 最上の神 』として崇められています。

タイ王国の国章として定められいるガルーダーのデザイン
『 ヴィシュヌ神 』の乗り物である『 クルッター 』( ガルーダー )は、腕と胴体は人間の形をしていますが、頭に冠を被り、口は鷲のような嘴、背中には翼、脚は鷲のように力強く、腰には羽毛の尾を持っています。(上写真)
『 クルッター 』のポーズとしては、大きく分けて2つあるように思います。(下写真)


左:ビシュヌ神を乗せて地上と天界を往来するクルッター (BTSチットロム駅近辺)
右:翼、手、脚を広げて飛翔するクルッター (シーロム通りのバンコク銀行本店)
ヒンドゥー神話によると、『 ヴィシュヌ神 』は、10の化身を持つとされています。『 クルッター 』( ガルーダー )も『 ヴィシュヌ神 』の化身と信じられています。更に仏陀 ( お釈迦様 )も、ラーマキエン物語の英雄であるラーマ王も『 ヴィシュヌ神 』 の化身とされています。

クルッターに乗るビシュヌ神 (サムットプラカーン県ナームプンオーク仏教寺院の破風)
現チャクリ王朝の代々の王様、つまり、創始者のラーマ1世から現王朝のラーマ9世は、全員 『 ラーマ 』を名乗っていますが、これは、ラーマキエン物語の英雄であり、理想の王とされている 『 ラーマ王 』 にあやかったものとされています。つまり、現王朝の代々のの王様もまた、『 ヴィシュヌ神 』の“生まれ変わり”と考えられているのです。
日本の天皇も、太平洋戦争に敗れる直前までは、現人神として奉られていましたが、敗戦後に人間宣言をされて日本国家の象徴となられました。 しかし、タイ国の王様は、現代の世でも『 ヴィシュヌ神 』の“生まれ変わり”として崇められています。
クルッターに乗るのは、ビシュヌ神だけではありませんでした。番外編と言えば大変に失礼かもしれませんが、タイ国の軍艦を背中に負ったクルッターもありました。(下写真)


ラーマ五世河口記念公園に保存されているタイ国海軍の艦船 (日本で造船された艦船だそうです)
この他にも、クルッターの宿敵であるナーガ( 三頭の蛇 )を両足でを鷲づかみにしているポーズもあるそうですが、僕はまだ現物を見たことがありません。
タイ仏教界『 テーラ・ワーダ 』( 南方上座部仏教 )で最も重要な神である『 ヴィシュヌ神 』専用の乗り物が『 クルッター 』( ガルーダー )であり、『 プラ・プローム 』(創造の神 )専用の乗り物が『 ホン 』と言うお話しの紹介でしたが・・・・それぞれが異なる架空の動物であり、それぞれの役割も風貌も全く異なる別個の存在であることをお分かり戴けたでしょうか?
創造の神である、『 プラ・プローム พระพรหม 』は、タイ語の発音ですが、日本では『 プラ・フーム 』、或いは、『 大梵天 』と書かれていることが多いようですね。
それにしても、ヒンドゥーの神にまつわる様々な言い伝えは、風変わりで奇想天外な話が多く、最初の頃は頭が受け付けなくて困ったものですが、何度も耳にしている内に、次第に興味のような何かが湧いて来るから不思議です。
多分、耳慣れない方は、退屈で眠くなられたのではないでしょうか?
その気持ちは、僕も経験済みなので、良く理解できます。
ここら辺りで止めにして置きましょう。
おやすみなさい。