バンコクの果物売り場に、僕の大好物の 『 スター・フルーツ 』 が久方ぶりに登場しました。 『 スター・フルーツ 』を初めて食したのは、僕がタイを初めて訪れた1980年代でした。 

それ以降、タイに来るたびに、『 スター・フルーツ 』を食べるのを楽しみにしていたのですが、時期外れで全く手に入らないときなどは、寂しい思いをしたものでした。

『 スター・フルーツ 』という名前は、その当時タイに駐在していた友人から教わったのですが、その後、タイ駐在になってから、タイ語で『 マフアン มะเฟือง 』と呼ばれていることを知りました。

この果物の外観形状は、チョット説明しづらいのですが、縦方向に鋭角の五つの稜があり、この尖った稜がゆえに、五つの凸凹の形状ををなす奇妙な外観をしています。


タイに魅せられてロングステイ
プラ・チェディー・サオラーン寺院の礼拝堂 (ラムパーン県)

この星型の果物を食べる都度、『 どのような木に、どのように生っているのだろう? 』と気になって仕方なかったのですが、タイ東北部ラムパーン県の仏教寺院(上写真)を訪れた時、僧侶の起居する僧房(グティ กฏิ )の庭で『 マフアンの木 』を初めて見ることが出来ました。

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プラ・チェディー・サオラーン寺院境内の仏塔群 (ラムパーン県)

マフアンの木の高さは約10m。意外に細い樹幹に生い茂る濃い緑葉の中に、8cm~15cm位の大きさの 『 マフアン 』 がたわわに実っていました。もっとドラマチックな形態で繁茂しているのだろうと勝手に想像していたのですが、意外や意外!平凡な木に、平凡にぶら下がっていました。

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マフアンの生る木 (ラムパーン県プラ・チェディー・サオラーン寺院境内)

いつも丸っポイ果物が繁茂しているのを見慣れている所為か、縦方向に凸凹状に鋭く尖った五つの稜がある果物が風に吹かれてぶら下がる様は、何となく不安定で、見方によっては滑稽な感じがしないでもありません。

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ぶら下がるマフアンの果実 (ラムパーン県プラ・チェディー・サオラーン寺院境内)

その筋の本を見ると、『 マフアン 』はカタバミ科の五歛子(ゴレンシ)とあります。マフアンにある鋭い五つの稜を『 五歛子 』という言葉で表しているのが、言い得て妙だな思います。

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マフアン3kgで100バーツ≒\300

因みに、包丁で『 マフアン 』を横方向に切ると、包丁の腕前に関係なく、その断面は綺麗な星型になります。 『 スター・フルーツ 』と呼ばれる所以は、この断面の形に由来しているからだと容易に理解できます。

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マフアンを横に切断すると星型になります。 (3個で55バーツ≒\200)

マフアンには、甘味の強い 『 マフアン・ワーン มะเฟืองหวาน 』、そして、多くのタイ人が好きな酸味の強い『 マフアン・プリアオ  มะเฟืองเปรี้ยว 』の二種類のタイプがあります。 

売り場の人の話によると、外国人は甘味の 『 マフアン・ワーン 』 を好み、タイ人は、酸味の強い 『 マフアン・プリアオ 』に甘いタレのナーム・チュアム・ワーン น้ำเชื่อมหวาน をつけて食べるのを好むとのことでした。『 甘い、酸っぱい、辛い 』の入り混じった独特の味を生み出したタイ人らしい食し方だと思います。

僕は、いつも『 マフアン・ワーン 』を食べているのですが、僕の舌の感触では、このタイプのものであっても、“十分に甘くて酸っぱい味”がします。

もっと酸味の強いのがお好きな方は、『 マフアン・プリアオ 』をお召し上がり下さい。そして、タイ人と同じ味覚を経験したい方は、甘いタレのナーム・チュアム・ワーンと合わせてお試し下さい。 タイ人によっては、ナーム・チュアム・ワーンのことを、プリック・ワーン พลิกหวาน と呼ぶ人もいます。


そもそも、僕がスターグルーツを食べるようになった切っ掛けは、お酒の飲み過ぎで機能低下した肝臓に効くと言われたからでした。 かなり長い間、その効用を信じ込んでいたのですが・・・

最近似なって、その筋の本の何処を読み直しても、『 肝臓の機能挽回に良い 』なんて記述は一言もなく、解熱、利尿、結石、淋病に効くとあります。どれも僕には全く無縁の症状でありました。 

それでも、僕にとっては、最高に美味しい果物なので、時期が到来すると、喜び勇んで食べ続けています。