右脇腹を下にして横臥している仏陀の姿を、日本語では涅槃仏と言いますが、タイ語では何と言うのでしょうか?

多くのタイ人学生に、『 横になって寝ている仏陀はタイ語で何と言いますか? 』と同じ質問を繰り返したのですが、殆どの人は、判で捺したように『 プラ・ノーンだよ 』(寝ている仏陀)と答えるばかりです。

タイに魅せられてロングステイ
プレー県モンコンキリー寺院のビルマの影響を受けた涅槃仏

中には、『 プラ・プラジャム・ワン・アンカーン 』と答える人もいましたが、これは、9種類ある涅槃仏の中の一つの姿形を、火曜日の守護仏として決めていることを意味する言葉であって、涅槃仏の正式の呼称ではないと思います。

タイに魅せられてロングステイ
チアンマイ県チェディールアン寺院のチョット眇めの涅槃仏

実は、タイ国立S大学のタイ語授業の宿題(レポート作成)として、北部旅行で取材した『 エメラルド仏の足跡 』を取り上げることになったのですが、その中で涅槃仏について触れざるを得ない章があり、どうしても正確な表現と綴りが知りたかったのです。

タイに魅せられてロングステイ
チョンブリー県ヤイインタラーム寺院の小太りの涅槃仏

お世話になっている四十歳過ぎの先生と世間話をしていた時、彼女の趣味がお寺巡りだということが分かりました。早速、涅槃仏について質問したところ、いとも簡単に答えを得ることができたのですが、まさに、灯台下暗しとはこのことです。

タイに魅せられてロングステイ
チャイナート県プラボロマタートオラウイハーン寺院の絵画を背にした涅槃仏

彼女の説明は、仏教語が多くて、僕の拙いタイ語能力で完全に理解するのは難しかったのですが、涅槃そのものを意味するタイ語は ニパーン นิพพาน のようです。涅槃(入滅)は仏教における最終目標であり、煩悩を吹き消して全ての束縛から解脱した究極の悟りを意味するのだそうです。

タイに魅せられてロングステイ
タイで極めて少ない左寝の涅槃仏 (ラヨーン県のパープラドゥー寺院) 

多くのタイ人仏教徒は、親しみを込めてプラ・ノーンと呼びますが、これでも特に問題はないですよ・・・先生はそう言いながらも・・・煩悩を脱して悟りの境地に到った仏陀の姿を正確に表現したいと思うのであれば、次のようなタイ語で表現すればどうかしら・・・と言うのが彼女の意見でした。

プラ・プッタ・ループ・パーン・サイヤート พระพุทธรูปปางไสยาสน์

更に、先生は、涅槃仏には9種類の姿形があると言います。その中で最もポピュラーな姿形の涅槃仏の呼呼称は、次のような綴りになると言って、スラスラとメモ紙に走り書きをしながら・・・この涅槃仏はね、火曜日の守護仏(プラ・プラジャム・ワン・アンカーン )としても選定されているとのことでした。

プラ・プッタ・ループ・パーン・プロート・アスリンタラーフゥー พระพุทธรูปปางโปรดอสุรินทราหู

先生によると、9種類ある涅槃仏の中の6種類は、右脇腹を下にして横臥しているのです、残り3種類の涅槃仏は、僕は未だ一度も見たことがないのですが、仰向けに寝ている姿形になっているとのことでした。

たった一つのタイ語を知るのに、随分と回り道をしましたが、良い勉強になりました。 これだけタイ語の情報を得れば、後は、タイ語辞書とタイ語のインターネットを使って、更に知識を深めることが出来そうです。

先生、本当にありがとう御座います。