タイでは、テレビ等のメディアによる煙草や酒類の宣伝広告は禁止されています。輸入映画シーンなどの煙草を吸うシーンやF-Iレースで映る煙草広告にもモザイクがかかります。当然ですが、クーラーを効かしているレストランなどでの喫煙も禁止されています。

昔の僕は、今思えば恥ずかしい限りですが、一日60本の愛煙家で、家族の中の嫌われ者でした。しかし、喉頭の腫瘍を切除してからは、一本も吸えない哀れな身体になってしまい、今では、それが幸いして、タイの煙草に対する厳しい法律の流れに悩まされることもありせん。

タイに魅せられてロングステイ
バンコクのバイヨク・タワーの壁面は、洋酒輸入元にとって最高のビル・ボードだったのですが・・・

話は変わりますが、先月の中旬、タイ保険省の食品医薬品委員会は、アルコール飲料広告の全面禁止を命じる通達を出しました。12月4日以降、バンコクの街頭からアルコール飲料の広告を全面排除するという厳しい通達です。

タイ最高層ビルのバイヨク2の壁面に張られていた『 ジョニー・ウォーカー 』の広告も、現在、他の広告に書き換えられている真っ最中です

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右図のような図柄が貼られていたバイヨク・タワーの広告も張り替え作業中です。

この通達の狙いは、やみくもに酒類の販売や飲酒を禁止するものではなく、国民の健康を願って飲酒回数と量を減らすことにあるようです。しかし、飲酒行為は、個人の趣向であり、広告規制だけで、どこまで制御できるものなのでしょうか。

お酒好きの僕の場合は、これまたお恥ずかしい限りですが、『 洋酒の輸入量がセーブされるのでは? 』という酒飲みの不安心理が働き、思わず数ケ月分の量に相当する輸入洋酒を買い込んでしまいました。本当に酒好きの愚かな老爺であります。

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在庫過多(?)になった僕の酒蔵

ところが、これがタイの面白いところなのですが、通達実施の段階になって、タイ法務省の法制委員会が、『 タイ保健省の通達に法的強制力は無い 』と噛み付き、なんとタイ保健省の酒類広告禁止通達が宙に浮いてしまったのです。

更にもっと面白いのは、許認可権を有するタイ保健省と密接な繋がりのある酒造・輸入元の五社が取った対応です。酒造・輸入元の五社は、法的措置の不備によって通達を実行できなかった保健省の顔を立てる格好で、12月4日から翌年の1月まで、全ての媒体において、酒類広告をしないという自主規制に踏み切ったのです。

なんとか交渉を有利に導こうと企てる酒造元と輸入元、面子を通そうとする保健省、司法としての立場を貫く法務省、この三つ巴の葛藤は一体どのような形で落ち着くのでしょうか?