バンコクの街で出遭った『 造花 』売りの屋台を紹介しましょう。

安価な『 生花 』が出回っているタイで、如何して『 造花 』を売らなければならないのか不思議で仕方なかったのですが、考えて見れば、人それぞれに理由があるわけで、特段に奇異とも言えないのかも知れません。


タイに魅せられてロングステイ
手押しの造花 売りの屋台

街を歩いていると、造花の花束と素焼きの花瓶を満載して売り歩いている移動式屋台に木偶あわします。屋台に載せられているのは、タイ人の好みそうな蘭、薔薇、向日葵、ミモザなどですが、当然ながら全て造花です。

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造花と花瓶を売り歩く自転車付きの屋台

屋台の『 造花 』の値段は、一本が25バーツから70バーツ程度、花瓶も20バーツから50バーツ程度のものばかりです。日本人から見れば子供騙しの品物ばかりです。 (注) 1バーツ=約3円

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造花屋台のお兄さんは、屋台に取り付けた自転車を巧みに操りながら、若い女性に近寄っては楽しそうに売り込みをしています。生花をこよなく愛する人が圧倒的に多いタイで、造花が商売になるとはとても思えないのですが・・・『 生花は枯れるから嫌! 』と理屈を捏ねる人もそれなりにいるようです。

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絹の布で作った造花を扱う高級な造花店もあります。

すると、屋台のお兄さんは、何を血迷ったのか、前期高齢者の僕の傍に近寄って来て、『 花はどうだい? 』と言うではありませんか。どうも、目と目が合った通りすがりの人に見境なく声をかけているようです。

実は、アメリカで生まれ育ち、日本を経由してバンコクに移り住んだプードルとダックスと共に一緒に住んでいたのですが、いまや両者ともタイの土になってしまいました。

両者の命日は当然としても、年に数回は墓参りをしているのですが、いつも、ジャスミンの生花を織った花環(1環=10バーツ=30円)を供花にしています。しかし、風雨に打たれて直ぐに腐食してしまうのが、なんとも嫌だなと思っていました。

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ジャスミンの花環(1環=10バーツ=30円)を販売する路傍の花屋さん

前回の命日の時だったと思いますが、いつもジャスミンの花環を買うお店が閉まっていたので、有名なエラワン寺院近くの屋台で買い求めようと思って立ち寄ったところ、ジャスミンの花環の値段が一環で 150 バーツ(450円)と言われて吃驚したことがありました。 

一環 150 バーツ は大した金額ではないにしても、通常価格の 3.5倍以上というのは、あまりにも相場を無視した値段なのでパスしたことを思い出してしまいました。 エラワン廟やインド寺院の近くで供花を専門に売っている多くの店は、価格カルテを結んでいる商売人が多く、商売の競争原理は全く働いていないようです。


話を本筋に戻しましょう。
造花屋台のお兄さんの熱心な売り込みに絆されて、その気もなかったのに、ついつい造花と花瓶を幾つか手にとって品定めをしてしまいました。造花と花瓶のセット価格は、ジャスミンの花環の価格とほぼ同じくらいです。


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愛犬の墓の供花として買った薔薇とミモザの造花と素焼きの花瓶

二種類の造花に花瓶一個を付けて 100 バーツ でどう? 』

造花屋台のお兄さんの上手な売り込みとエラワン廟の高値に反発するあまり、心ならずも、 薔薇とミモザ の組み合わせを衝動買いしてしまいました。 花瓶込みで 100 バーツ=約300円 の買い物です。衝動買いと言うには、あまりにも些少な値段で恥ずかしい限りですが・・・

近日中に、『 薔薇とミモザ 』の造花を、愛犬のお墓に供えてあげたいと思います。 本当は、生花の方がお好みだろうと思いますが、たまには目先を変えた造花の薔薇とミモザを楽しんでもらえたらと思います。