去年の農閑期、農家の老若男女が集う大農業祭に行った時、『 競馬 』 ならぬ、『 競水牛 』(?)のレースを初めて見ました。

鞍のない裸牛に跨って乗る 『 水牛レース 』 は圧巻です。次々と落牛する騎手、乗り手を失って暴走する水牛、それを見てやんやの喝采をおくる農民や子供達の満面の笑み、賭け事に熱中する男達など、誰もが本当に幸せそうです。

タイに魅せられてロングステイ
チョンブリーで毎年開催される水牛レース

タイでは何頭の水牛が飼われているのかと思って、20年前の古い資料を見ると、タイの水牛の Swamp Buffalo (召沢水牛)と牛は、全国で643万頭、その内の約66%がタイ東北部で飼われているとありました。

タイの水牛は何のために飼われているのでしょうか? 食肉牛でしょうか? しかし、大概のものは何でも食べそうな食にたけたタイ人でさえも、さすがに水牛の硬い肉だけは敬遠する人が多いようです。

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チャイヤプーム県の農家で見た水牛と娘さん

田舎出身のタイ人に訊ねると、専ら農耕作業(耕運機代わり)と厩肥生産のために飼育されている安上がりの家畜だと言います。 与える飼料も道路端や田圃の畦草や稲ワラなどの副産物でOKだそうです。 

交配も手の掛かる人工交配の必要もなく、農閑期に田圃に放って置きさえすれば自然交配するので、手間も費用も掛からない存在なのだそうです。 更に、緊急時には、現金収入源にもなる得る慎にもって頼りになる家畜でもあるようです。



一方、インド系の流れをくむタイの牛は、比較的小型の在来種が多いようです。しかし、最近は、肉用牛としての市場が誕生したことから、アメリカ在来種との交配によって体躯の大型化が進められていると聞きました。

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雑草を食べ終わって帰宅する牛の群れ

タイ北部のチェンラーイ県やスコータイ県の田舎道を車で移動していると、雑草を食べ終わって家に戻る途中の牛の群れに木偶あわすことが少なくありません。

タイ中部を旅行していると、小規模の酪農(肉牛&乳牛)を行っている事業場を見ることができます。乳牛については、まだ頭数も乳生産量もそれほど多くはないようですが、それでも、ホルスタインや欧州系の乳牛とタイ国内在来種との交配が積極的に行われているようです。

僕が購入している 『 脂肪ゼロ牛乳 』 は、タイ企業(CP)と明治乳業の合弁会社の製品ですが、最近はヒット商品の仲間入りをしていると聞きました。タイの食文化も少しずつですが変化しているようです。


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スコータイの仏塔遺跡の周りで雑草を食べていた牛の群れ

農繁期ともなれば、日がな一日、足の乾くひまもなく農作業に従事した水牛や牛さんでしたが、農業機械が発達した今、のんびりと雑草を頬張る牛さん、農業祭で凄い形相をして脚力を競う水牛さんの姿は、これまた、慎にタイらしい風物詩の一つだろうと思います。