18世紀~19世紀にかけてのタイの三大輸出産品は、米、錫(スズ)、チーク材 ( マイサック ไม้สัก ) の一次産品でした。輸出に関わる工業といえば、三大輸出産品の加工業、つまり、精米産業、錫の精錬産業、そして、チークの製材産業程度だったようです。
特に、タイの北部や西部の山間部や東部のラオスの山岳地に天然分布していたチーク材
( マイサック ไม้สัก ) は、当時の王立森林局によって大量に伐採されて欧州市場へ輸出されていました。
ハリウッド映画で有名になった 『 王様と私 』 の女教師の息子は、長じてタイに戻ってから、チーク材の集荷と輸出で財を成したことで知られています。

『 王様と私 』 の女教師の息子が住んでいたタイ北部ランパーン県の総チーク造りの住居
しかし、国内で発生した大洪水を契機として、現国王の指導もあって、1989年1月からチーク材 は全面伐採禁止となります。その禁令処置は、タイにしては慎に珍しいことですが、今現在も厳しく守られていると聞いています。
但し、既に伐採されたチーク材の在庫やミャンマーやラオスからの輸入材は禁制の対象外らしく、高級デパートの家具コーナーには、今もチーク材の高級家具が展示販売されています。家具ばかりではありません。僕が購入した1991年完成のコンドミニアム(215㎡)の床面も全面チーク貼りになっています。
ある日、タイの知人を通して、合法的なチーク材 ( マイサック ไม้สัก ) を使って衝立(チャーク ฉาก )を制作する職人を紹介されました。残り少ないチーク材の在庫で、お好みの模様を彫り抜いた衝立を造ってくれると言うのです。
購入後に違法のチーク材を使った製品ということで没収されたのでは堪らないので、念のためにその職人のバンコク郊外の工房を訪ねて面談をしたのですが、どうやら違法行為をするような職人さんではなさそうです。 その場で、チーク材の衝立を1ケ月後に納入して貰うことにしました。
ところが、約束の1ケ月を過ぎても納入されません。電話で何度も催促をするのですが、その都度、『 只今製作中 』 というばかりです。此処はタイですので、『 予定は未定 』 と考えていたので、頭に血が上ることもありません。
もう忘れかけていた頃でした。衝立を発注してから約3月後に我が家の電話がなりました。何事かと思えば、明日の午前中に制作が完了したチークの衝立を配送すると言うのです。

3ケ月の制作日程を要した我が家の四枚組のチーク材の衝立
翌朝、ベンツに乗った見覚えのある工房の社長が、配送トラックを従えて、我が家に到着しました。トラックから降ろされた衝立に群がったコンドミニアムの管理室の従業員が 『 スウアイ・ガーム สวยงาม 』 (美しい)を連発しています。
衝立のサイズは、縦1.9m x 幅 2.4m(四枚組)、表裏に葡萄柄の透かし彫りがされていて、仕上げは思っていたよりも遥かに丁寧。満足できるものでした。
工房の社長がニヤニヤしながら僕に言いました。
『 良いものを作りたかったので、3ケ月もかかってしまった 』
『 マイ・ペン・ライ・ナ ไม่เป็นไรนะ 』
マイ・ペン・ライの意味は、『 どういたしまして 』 なので、本来ならば、僕が喋る台詞なのですが・・・なんと! 納期を大幅に遅らせた工房社長が、僕に向かって発したのです。つまり、納期が送れたけど、良いものが出来たのだから、気にしないでしょう? と言っているのです。まさにタイ人の精神構造そのものです!!
日本人の精神構造ならば、、納期が大幅に遅れた場合の最初の第一声は 『 すみません 』 なのでしょうが、タイ人の心に、『 コー・トーツ・ティー ขอโทษ 』 ( すみません ) なんて殊勝な言葉は先ずありません。
先日、バンコクの交差点で自家用車を信号停止させていたところ、後方の車に軽く追突されてしまいました。その時に加害者の運転手が僕に向かって発した一言も、『 マイ・ペン・ライ・ナ ไม่เป็นไรนะ 』 ( 気にしないでしょう? ) でした。
最近のタイ人が口癖のように使う 『 マイ・ペン・ライ・ナ ไม่เป็นไรนะ 』 は、本来の意味
( どういたしまして ) を逸脱して、本人に都合の良いように使われる、実に便利な言葉に進化(?)してしまったようです。
くわばら、クワバラ。
特に、タイの北部や西部の山間部や東部のラオスの山岳地に天然分布していたチーク材
( マイサック ไม้สัก ) は、当時の王立森林局によって大量に伐採されて欧州市場へ輸出されていました。
ハリウッド映画で有名になった 『 王様と私 』 の女教師の息子は、長じてタイに戻ってから、チーク材の集荷と輸出で財を成したことで知られています。

『 王様と私 』 の女教師の息子が住んでいたタイ北部ランパーン県の総チーク造りの住居
しかし、国内で発生した大洪水を契機として、現国王の指導もあって、1989年1月からチーク材 は全面伐採禁止となります。その禁令処置は、タイにしては慎に珍しいことですが、今現在も厳しく守られていると聞いています。
但し、既に伐採されたチーク材の在庫やミャンマーやラオスからの輸入材は禁制の対象外らしく、高級デパートの家具コーナーには、今もチーク材の高級家具が展示販売されています。家具ばかりではありません。僕が購入した1991年完成のコンドミニアム(215㎡)の床面も全面チーク貼りになっています。
ある日、タイの知人を通して、合法的なチーク材 ( マイサック ไม้สัก ) を使って衝立(チャーク ฉาก )を制作する職人を紹介されました。残り少ないチーク材の在庫で、お好みの模様を彫り抜いた衝立を造ってくれると言うのです。
購入後に違法のチーク材を使った製品ということで没収されたのでは堪らないので、念のためにその職人のバンコク郊外の工房を訪ねて面談をしたのですが、どうやら違法行為をするような職人さんではなさそうです。 その場で、チーク材の衝立を1ケ月後に納入して貰うことにしました。
ところが、約束の1ケ月を過ぎても納入されません。電話で何度も催促をするのですが、その都度、『 只今製作中 』 というばかりです。此処はタイですので、『 予定は未定 』 と考えていたので、頭に血が上ることもありません。
もう忘れかけていた頃でした。衝立を発注してから約3月後に我が家の電話がなりました。何事かと思えば、明日の午前中に制作が完了したチークの衝立を配送すると言うのです。

3ケ月の制作日程を要した我が家の四枚組のチーク材の衝立
翌朝、ベンツに乗った見覚えのある工房の社長が、配送トラックを従えて、我が家に到着しました。トラックから降ろされた衝立に群がったコンドミニアムの管理室の従業員が 『 スウアイ・ガーム สวยงาม 』 (美しい)を連発しています。
衝立のサイズは、縦1.9m x 幅 2.4m(四枚組)、表裏に葡萄柄の透かし彫りがされていて、仕上げは思っていたよりも遥かに丁寧。満足できるものでした。
工房の社長がニヤニヤしながら僕に言いました。
『 良いものを作りたかったので、3ケ月もかかってしまった 』
『 マイ・ペン・ライ・ナ ไม่เป็นไรนะ 』
マイ・ペン・ライの意味は、『 どういたしまして 』 なので、本来ならば、僕が喋る台詞なのですが・・・なんと! 納期を大幅に遅らせた工房社長が、僕に向かって発したのです。つまり、納期が送れたけど、良いものが出来たのだから、気にしないでしょう? と言っているのです。まさにタイ人の精神構造そのものです!!
日本人の精神構造ならば、、納期が大幅に遅れた場合の最初の第一声は 『 すみません 』 なのでしょうが、タイ人の心に、『 コー・トーツ・ティー ขอโทษ 』 ( すみません ) なんて殊勝な言葉は先ずありません。
先日、バンコクの交差点で自家用車を信号停止させていたところ、後方の車に軽く追突されてしまいました。その時に加害者の運転手が僕に向かって発した一言も、『 マイ・ペン・ライ・ナ ไม่เป็นไรนะ 』 ( 気にしないでしょう? ) でした。
最近のタイ人が口癖のように使う 『 マイ・ペン・ライ・ナ ไม่เป็นไรนะ 』 は、本来の意味
( どういたしまして ) を逸脱して、本人に都合の良いように使われる、実に便利な言葉に進化(?)してしまったようです。
くわばら、クワバラ。