スコ-タイの城外南地域から東地域に至って右折して人家の北側裏に入ると、大型のスリランカ様式の仏塔を36頭の起立した象が支えるチャーン・ローム寺院 วัดช้างล้อม  の仏塔が見えて来ました。(下写真) 

スコータイの城壁内には、『 起立した24頭の象 』 に支えるソラサック寺院の仏塔がありました。城壁外の南地域では、『 うずくまる象 』 が支えるチェディー・スィー・ホン寺院の仏塔を、つい先ほど見たばかりです。


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左:チャーン・ローム寺院 วัดช้างล้อม のスリランカ様式の仏塔
右:スリランカ様式のベル型仏塔の基壇を支える起立した象


仏塔の基壇部を36頭の象に支えられたチャーン・ローム寺院の仏塔は、今回のスコータイ城内と城外で見た中では最大規模の仏塔遺跡です。(下写真)

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四角形の仏塔基盤の角に4頭の象、四角形の各面に8頭の象、しめて36頭の象が下半身を基壇の中に埋めて仏塔を支える構造になっています。

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すでにお気付きのことと思いますが、殆どの象はセメントで復元されていますので、人によっては興醒めされる方も少なくないようです。日本における遺跡の保存技術や復元技術はかなり凄いと聞いていますが、それに較べて、タイの保存と復元技術は些か乱暴かも知れませんね。(上写真)

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このような象に支えられるスタイルの仏塔は、『 世界の中心にあるメルー聖山(須彌山)が多くの象によって支えられている 』 ことに由来していると既に何度も触れましたが、インド神話、ヒンドゥー教、仏教のそれぞれが、歴史的な縁(えにし)で潜在的に繋がっていることに、あらためて思いが至ります。

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ワット・ムムランガー วัดมุมลังกา 

民家の裏手を彷徨っていると、誰もいない広場に小さな遺跡がありました。寺院名の標識は在るものの、歴史を示す説明は何もありませんでした。(上写真)

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ワット・ヤー・グローン วัดหญ้ากร่อน 

路地裏で道に迷ってウロウロしていると、またまた遺跡が目に入りました。(上写真)

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トラパン・トーン・ラン寺院 วัดตระพังทองหลัง 

トラパン・トーン・ラン寺院 วัดตระพังทองหลัง は、チャーン・ローム寺院と道を隔てた人家の裏手にあります。煉瓦で構築された四角形の御堂の外壁の一部とラテライト(紅色土壌)を積み上げた円柱が残っていました。(上写真)

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トラパン・トーン・ラン寺院の御堂の壁に残る釈迦牟尼の漆喰像

御堂の煉瓦を積んだ外壁の南面、西面、北面の三方に、かなり傷みの激しい釈迦牟尼の立像仏の下半身が残っていました。どれもこれも識別が大変難しい状況ではありますが・・・

その内の一体(上左写真)の両足の運びと腰の捻りから想像すると、スコータイで創造された遊行仏の漆喰像だったであろうと思われます。

それにしても、このような状態で風雨に曝されたままにしておけば、数年内に全て崩落して喪失してしまうに違いありません。世界遺産がこのようなことで良いのでしょうか?


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チェディー・スーン寺院 วัดเชดีสูง 

チェディー・スーン寺院 วัดเชดีสูง は、トラパン・トーン・ラン寺院から少し東側に進んだ人家の裏手にあります。名前の示す通り、スコータイで一番背の高い 『 33mの仏塔 』 を持つ寺院です。

寺院の御堂の遺跡としては見るべき物に乏しいのですが、高さのある方形の基壇の上にスリランカ様式のベル型仏塔が乗るスタイルは珍しいですね。(上写真)



第三回目のスコータイ旅行は、スコータイ城外の東地域で終了しました。今から車でバンコクへの帰途につきます。

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スコータイの牛さんが、僕の車に近づいて 『 さようなら 』 を言っているかのようにも見えますが、いつの日にか又お会いしたいものですね。(上写真)

今回は遺跡三昧の三泊四日の旅でしたが、古きスコータイの歴史と遺跡から元気を戴きました。


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深夜、バンコックに戻りました。
走行距離数 1,337km の遺跡三昧の楽しき小旅行でした。

雑草に埋もれた名もない遺跡を含む多くの遺跡を可能な限り探し歩いた今回の旅行は、タイに移り住んで以来、最も満足できる国内旅行でした

バンコクへの帰路、スコータイの郊外は猛烈な雨季による洪水の爪痕が残り、冠水した田畑がまるで湖面のように見えます。

タイは二毛作、場所によっては三毛作もできますが、今年は水捌けが悪く、こんな状態が続けば田植えも難しいのではないでしょうか。本当に農民泣かせの異常季節です。


定年退職の身とはいえ、仕事をしないで遺跡見学に夢中になっている呑気な自分を思うと、米つくりに励む人々に対して最敬礼しなくてはなりません。

愈々、大学の講義(歴史)が始まります。精一杯頑張ります。