皆さんこんにちは!
今回は、『成長期の子供のケガ シリーズ⑤ 骨盤周囲の骨端症 』〜ペルテス病〜についてお伝えします。
皆さんは、『ペルテス病』をご存知でしょうか?
『ペルテス病』とは、大腿骨近位骨端部(太ももの付け根)に発生します。
以前ブログで紹介した『フライバーグ病』『ケーラー病』『パンナー病』『キーンベック病』と同じ無腐生壊死をきたす稀な骨端症です。
↓よりチェックできます!
『ペルテス病』は、2〜15歳までに発症し、好発年齢は7〜8歳の特に男児が多いと言われています。
『ペルテス病』の症状は「疼痛」「跛行」「可動域制限」です。
「疼痛」は、部位がはっきりしないものが多く、股関節以外の膝や大腿部に「疼痛」をよく訴えます。
「跛行」は荷重時の疼痛を回避するための「逃避性跛行」が多く見られます。
「関節可動域制限」は下の図のような主に股関節屈曲・内転・外転・内旋に可動域制限が見られます。
臨床検査は基本的にレントゲン検査を行います。
レントゲンではこのような画像が診られます。
「大腿骨近位骨端部に生じる疾患 及川 泰弘」より引用・改変
レントゲンで診断が困難な場合はMRI検査を行います。
「大腿骨近位骨端部に生じる疾患 及川 泰弘」より引用・改変
超音波検査も診断に有用で、当院では超音波検査装置を用いて患部の状態を観察します。
『ペルテス病』が疑われる場合、確定診断するために整形外科に紹介します。
「Perthes病の画像診断 中村 幸之ら」より引用・改変
発症の原因は、明確にはわかっていませんが現時点で考えられている説を紹介します。
1つ目は、大腿骨頭骨端核への血行動態です。
大腿骨頭骨端核を栄養する血流は成長によって変化します。
4〜7歳において内側大腿回旋動脈の後上方枝1本で栄養される時期があり「Perthes age」とも言われています。
「Perthes病 岡 佳伸」より引用・改変
上の図のような部分で骨頭の圧壊により閉塞し壊死が起こると言われています。
その他は、妊娠中もしくは家族の受動喫煙や患児の肥満も原因と考えられています。
次に予後に関してです。
『ペルテス病』を放置しておく事や発見が遅い場合、大腿骨頭が壊死し修復する過程で変形してしまいます。
このことを「遺残変形」と言います。
「遺残変形」があることによって、青壮年(16歳〜50歳)での2次性変形性股関節症や脚長差(左右の足の長さが違う)が起こり、歩容異常(歩き方がおかしい)を呈する為、早期から治療を行うことが大切です。
最後に治療についてです。
治療原則は「containment」と「免荷」となります。
「containment」とは下の図のような「股関節外転位」の状態の事です。
「containment」で大腿骨骨頭が寛骨臼内におさまった状態を維持することで骨頭や臼蓋の変形を予防し、
さらに「免荷」によって大腿骨頭の圧漬を防ぎます。
「Perthes病 整形外科大系」より引用・改変
上の図は、保存療法を行う際の装具の1例です。
治療方針の決定は下の図のように報告されています。
この治療基準と、レントゲンでの病期分類・重症度分類を基に現状を把握し、総合的に判断します。
「ペルテス病」は発見が遅れたり、放置することで「遺残変形」が生じやすく、二次的な障害により手術を行う可能性が高くなります。なので「早期発見・早期治療」がとても大切です!
当院ではこれらを踏まえて、
適切に問診・患部や患部周辺の理学所見・超音波検査を行い患児の状態を把握します。
その結果・他のケガ(単純性股関節炎・大腿骨頭すべり症 など・・・)と鑑別し『ペルテス病』に疑わしい場合、整形外科に紹介し治療を開始します。
『ペルテス病』は 早期発見・早期治療 を行うことで保存療法の可能性も見えてきます。
成長期の子供が「急に歩き方がおかしい」や「歩こうとしない」などを少しでも気になる方は早めの受診をお勧めします。
以上が『成長期の子供のケガ シリーズ⑤ 骨盤周囲の骨端症 』〜ペルテス病〜でした!!