皆さんこんにちは!

 

今回は、『成長期の子供のケガ シリーズ③ 肘周囲の骨端症 』〜パンナー病〜についてお伝えします。

 

皆さんは、『パンナー病』をご存知でしょうか?

 

『パンナー病』とは、肘の外側(上腕骨小頭骨端核)に発生します。

 

以前ブログで紹介した『フライバーグ病』『ケーラー病』と同じ無腐生壊死をきたす稀な骨端症です。

↓よりチェックできます!

 

『パンナー病』の好発年齢は4歳〜10歳で特に男児の利き腕に多いと言われています。

 

レントゲンではこのような画像が診られます。

「無症候性に発見されたPanner病の小児野球選手の一例 松田 康太ら」から引用・改変

 

『パンナー病』を発症すると初期は、上腕骨小頭骨端部の軟骨下骨の透亮像(透けるように見える)を認めます。

その後、分節化が起こり最終的に修復されます。

下の図は画像を踏まえまとめたものです。

「Panner病の2例 片山 れな ら」から引用・改変

 

発症初期の段階ではレントゲンでもわかりにくい場合がありMRI撮影を行います。

 

「Panner病の1例 西 亜紀ら」から引用・改変

 

症状は、運動時痛があり、腫脹も見られます。

その他には5度〜20度程度の伸展(伸ばす)と屈曲(曲げる)制限が見られます。

 

発症の原因は、明確にはわかっていませんが現時点で考えられている3つの説を紹介します。

 

1つ目は、上腕骨小頭骨端核の循環障害です。

子供には特殊な血行動態があります。上腕骨小頭付近は5歳までは豊富に血管から栄養されていますが、5歳以降は上腕骨の後方からの1〜2本が骨端核に栄養する特徴があります。これらの血管動態の変化も1つの原因と言われています。

 

2つ目は、受動喫煙です。

受動喫煙により血管内に血栓が形成されやすくなり、骨端核周囲の血流を低下させるためと言われています。

 

3つ目は、スポーツや日常生活での患部へのストレスです。

下の図のように、肘関節外反ストレスが原因と言われています。

スポーツではオーバヘッドスポーツ(野球・テニス・バレーボールなど)での肘関節外反ストレスで上腕骨小頭骨端核に繰り返しの外力により少しずつ傷ついていき、無腐性壊死を引き起こすと言われています。

 

これらのように、症状や患部の状態、原因を理解した上で、他のケガと鑑別し治療を行います。

『パンナー病』と鑑別が必要なケガで『肘離断性骨軟骨炎』があります。

下図が特徴をまとめたものとなります。

 

最後に治療に関してです。

『パンナー病』は基本的に予後良好なため保存療法が可能です。

肘関節の可動域も徐々に回復していき、骨端核の回復は2年ほどかかると言われています。

 

当院で行う治療を紹介します。

 

①徒手療法・運動、姿勢指導・運動療法

当院では「Joint by Joint Theory」を基に原因と考えられる筋肉や関節に対して治療を行います。

「Joint by Joint Theory」については下記のブログで紹介しています。

『パンナー病』の原因と考えられる一つに「スポーツや日常生活での患部への肘外反ストレス」とお伝えしました。
当院では、投球動作での不良動作に対して、『投球指導』も行っております。

 

②固定療法

痛み・腫脹が強い場合はシーネ固定または装具固定を行います。

痛みの強さを聞きながら調整していきます。

 

『パンナー病』は知らずに放置せず治療することが大切です。

少しでも気になる方は早めの受診をお勧めします。

以上が『成長期の子供のケガ シリーズ③ 肘周囲の骨端症 』〜パンナー病〜でした!!