344 葬儀の段取り | プレ介護アドバイザーはまじゅんのおしゃべりサロン

プレ介護アドバイザーはまじゅんのおしゃべりサロン

社会保険労務士・行政書士・認知症ケア准専門士のはまじゅんが、介護や認知症についておしゃべり。介護にかかわるすべての人に笑顔を届けます。

午前9時半ごろ、母親の君江はT葬儀会館の

控えの間の横に安置された。

 

それぞれの車で葬儀会館に着いた楓と健太は、

控えの間で会館スタッフと葬儀の段取りを

進めていく。

 

昨夜パンフレットを見て予習のしてある楓が、

主に話を進めていた。

 

明日の土曜日午後6時から通夜

日曜日の午前10時から葬儀告別式

午前11時出棺で11時半に火葬場に到着

火葬場内の親族控室で昼食を取って待つ。

午後2時頃収骨を済ませて葬儀会館に戻る。

午後3時から初七日法要

午後4時から精進落としの食事

午後5時半ごろ終了

 

この地域は、葬儀の日に初七日法要を

済ませる慣習だ。

 

「日程的には、このような段取りで

よろしいですか」

 

会館のスタッフは、初めて喪主となる健太に、

わかりやすく丁寧に説明してくれる。

 

「はい、そのようにお願いします」

 

返事をするのは楓だった。

 

「宗旨宗派はどのようになさいますか。

お付き合いのあるお寺様があれば、

こちらからご連絡いたしますが」

 

今時は、キリスト教や神道など、様々な宗教

のお葬式も多い。

 

また、仏式で行う場合も、お寺とのご縁を

結んでいない家族も多い。

 

そういう場合の為に、会館では宗旨宗派を

言えば、その宗旨宗派に合ったお寺や

ご住職を紹介してもらえる。

 

もちろん、葬儀の時だけお願いすることが

出来るし、お布施についても、金額の目安を

教えてもらえる。

 

また、無宗教で家族だけで見送りたいという

ケースも、最近は多いのだとスタッフが

話してくれる。

 

「うちは、東福寺さんの納骨堂をお願いして

あるので、東福寺さんに連絡をお願いします」

 

楓が言うと、スタッフは大きくうなずいた。

 

「かしこまりました」

 

「お布施はどれぐらい包めばいいので

しょうか。

私達では相場が良くわからなくて」

 

楓は聞きにくいことも、この笑顔の優しい

誠実そうなスタッフなら、聞いても大丈夫

だろうと思った。

 

「東福寺様は、こちらでもお越しいただく

ことが多いですから。

皆様おおよそ、通夜・葬儀・初七日まで

含めて30万円をお包みになられている

ようです」

 

楓は少し安心した様子で、健太と顔を

見合わせる。

 

家族葬にするので、葬儀会館の家族葬セット

にすれば、食事や香典返しなどのお返し、

お供えの花など以外は、全部含まれている。

 

棺や祭壇のグレードをアップしたいときは、

別料金が発生するが、控えめにして欲しいと

言っていた君江の希望を汲んで、全て通常の

内容でお願いすることにした。

 

「香典やお供えの花などは、全てご遠慮

させていただくつもりでいます」

 

楓が言うと、スタッフがうなずく。

 

「かしこまりました。家族葬の場合でも、

ご友人やご近所の方々が、ご香典やお花だけ

でもとおっしゃって、こちらの会館にご連絡

いただく場合が多くございます。

 

それでは、全てご遠慮させていただくという

ことで、対応いたします」

 

お通夜の後の食事と、火葬場での軽食、

精進落としの食事は、全て会館で手配して

もらえる。

 

人数は、哲也と楓、健太とみどり、浩介夫婦、

颯介、華江おばさんに2人を加えて、

総勢10名分でお願いをした。

 

「こちらのお部屋は、初七日の精進落としが

済まれるまでは、自由にお使いいただけます。

あちらの扉の向こうに、宿泊用のベッドも

ございます。

 

こちらの水屋にポットやお茶のセットも

ございますので、ご親族の皆様で

ゆっくりお過ごしください」

 

健太は、喪主として市役所に提出する死亡届

にサインをした。実際の届け出は、スタッフ

が火葬許可証を取りに行くのと同時に提出

してくれる。

 

「後で、色々なところで必要になりますから」

 

医師の記入した死亡診断書のコピーを数枚

とって、スタッフが健太に渡す。

 

「ありがとうございます。初めての事で、

わからない事ばかりですみません」

 

健太が頭を下げると、スタッフが優しく話す。

 

「今はご家族が少ないですから、皆様初めて

の方ばかりです。どうぞご心配なさらずに、

わからないことは何なりと、私共スタッフに

お問い合わせください。

 

喪主様は、通夜式の後と、告別式の後、

初七日の精進落としの食事の後にご挨拶

いただきます。

 

ご家族だけですから、その時々のお気持ちを、

そのままお話しいただければよろしいかと

思います」

 

スタッフの静かな微笑みに、健太は心が

安らぐのを感じていた。

 

健太!  良い人で助かるね!

 

TO BE CONTINUED・・