319 新しい仕事 | プレ介護アドバイザーはまじゅんのおしゃべりサロン

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健太とみどりが婚姻届の証人欄を記入し

終えると、楓と哲也は、早速市役所に提出に

行くと言って出かけてしまった。

 

健太は、キツネにつままれたような気分に

なって、しばらくぼんやりとしていた。

 

「健太、お腹が空かない?

ル ボワ シャルマンにランチに行こうよ」

 

みどりが健太に言うと、やっと健太は

我に返った。

 

「そうだな、俺、こんな格好だから、

着替えてくるわ」

 

健太は引っ越しの手伝いをするために、

作業着姿だった。

 

「じゃあ、林原さんに席を取っておいて

もらうね。日曜日だから、いっぱいかも

しれないから」

 

みどりは、オーナーの林原さんに

電話を入れる。

 

二人は健太の車で、ル ボワ シャルマンに

着いた。

 

「みどり、あの二人の事、いつから気が

付いてた?」

 

フルーツサンドセットをつまみながら、

健太が聞く。

 

「前々から、哲也は楓先輩のこと好きなん

だろうなとは思っていたのよ。でも、楓先輩

はこども第一の人だから、結婚は無理だと

思っていたんじゃないかな」

 

さすがはみどり、女の勘は鋭かった。

 

「でも、年末に楓先輩が介護関係の仕事に

興味があるって言ってたじゃない。あの言葉

で、ひょっとしたらって、思ったんじゃ

ないかな」

 

みどりもサンドイッチをつまみながら言った。

 

「姉貴の方はどうなんだよ」

 

「そうね、憎からず思っていたんじゃない。

でも、自分は年上で二人の子持ちでしょう。

いくら好きでも、自分から言える訳ないじゃ

ないの」

 

「じゃあ、哲也が押し切ったってことか?」

 

「颯介君の転勤を聞いて、今しかないって

思ったんじゃないの。

それにしても、行動が早かったわよね」

 

みどりの言葉に、健太は思い出した。

3月の終わりに颯介が健太に相談している時

に、哲也は話を聞いていたのだった。

 

「哲也め、あの時から準備していたんだな」

 

「まあ、健太は女心に鈍感だから

仕方ないわよね」

 

みどりがそう言った時、オーナーの林原さん

がホールケーキを持って来た。

 

「健太さん、お誕生日おめでとうございます」

 

ケーキの上には、お誕生日プレートが乗って

いて、ろうそくまで準備してあった。

 

「あれ、どうしてバースデーケーキを?」

 

健太がキョトンとしていると、みどりが

ウインクした。

 

「今日、お誕生日のお祝いするって言ってた

でしょう。私と二人だけになっちゃったけど」

 

林原さんが、大きなろうそく4本と小さな

ろうそく7本に火をつけてくれて、健太は

照れ臭そうにしながらも、一息で消した。

 

「健太、47歳のお誕生日おめでとう」

 

翌日の月曜日、健太が出勤すると、社長室に

来るように富岡社長から呼び出された。

 

健太は、社長室に入ると、まずは姉が親友と

結婚したことを報告した。社長には、楓が

こちらに来て同居することになったと、

話してあったからだ。

 

すると、富岡社長はちょっと困ったような顔

をしながら言った。

 

「そうか、お姉さんは結婚したのか。

それで、どこに住むことになったんだ」

 

「哲也のマンションですから、おふくろの

グループホームの近くなんです。姉貴も

介護関係の仕事をしたいって言ってます」

 

健太の話を聞いて、富岡社長は少し安心した

顔をした。

 

「姉貴がどうかしたんですか、親父さん」

 

健太が怪訝そうに聞くと、富岡社長が言った。

 

「健太、実は新しいプロジェクトの話が

あって、ぜひ健太に来て欲しいってご指名が

あったんだ。

 

7月からのプロジェクトなんだが、おふくろ

さんの事も落ち着いたようだし、お姉さんも

S市内に住んでいるなら、お前に受けて

もらえるかなと思ってな」

 

健太!  新しい局面だね!

 

TO BE CONTINUED・・