291 健太の決心 | プレ介護アドバイザーはまじゅんのおしゃべりサロン

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哲也の勤める法人のグループホームにするか、

今入所できるグループホームにするか?

 

健太は難しい選択を迫られていた。

 

「みどり、もし、今入所できる所を断って、

新しい所も入れなかった場合は、

どうなるんだ?」

 

「そこが問題なのよ、健太。

 

ぽかぽかさんのお泊りサービスは、

あくまでも緊急避難的なことを想定している

から、長期間の利用はできないの。

 

そうなったら、介護老人保健施設のショート

ステイを利用しながら、次にグループホーム

が入所できるまで待つしかないの」

 

「その、介護老人保健施設っていうのは、

すぐに利用できるのか」

 

健太は、専門用語が出てきたので、ウンザリ

しながらみどりに聞く。

 

「略して老健っていうんだけど、ここは医療

法人が運営していて、リハビリをして自宅に

戻ることを目的にしている人が入る施設って

言うのが、元々の趣旨なの。

 

ただ、退院したものの、自宅には帰れない。

かといって、すぐに入れる施設も無いって

いう人達が、ショートステイを利用しながら

入所待ちをしているケースも多いのよ」

 

世の中には、施設入所を待っている人が多く

いるのだと、健太は改めて思った。

 

「その、老健のショートステイは、

すぐに頼めるのか?」

 

「とりあえず、うちの医療法人の老健は、

私が頼めば何とかなると思うの。

 

ただし、ショートステイは連続利用が30日

までだから、31日目は全額自己負担になる。

 

基本的には3か月以内ってことになってる

から、3カ月経っても施設入所できない場合、

他の老健に移ってもらう可能性も出てくるの」

 

「という事は、もし、哲也の所がダメで、

なかなか次のグループホームが見つからない

場合は、ショートステイであちこち移動

しないといけないかもしれないってことか。

 

それなら、いっそのこと、今入れるグループ

ホームに落ち着いたほうが、ころころ環境が

変わるよりは、おふくろの為になるかも

しれないってことか」

 

健太は、頭を抱え込んでしまった。

 

「健太、4月は特養の新規開設もあるから、

今グループホームに入っている要介護3以上

の人達が、特養に移って、グループホーム

が空く可能性もあるの。

 

でも、これらの話は全部、可能性の話なの。

絶対に何て、誰にも言えないの。

私にもわからない。

 

だから、健太に決めてもらうしかないのよ」

 

みどりの表情も辛そうだった。

 

みどりが、余裕のあるうちにグループホーム

を申し込んだ方が良いと言ったのは、こう

いう事だったのだ。

 

家族がたくさんいて、介護に携わる人が居る

のなら、本当に気に入る施設が空くまで待つ

ことが出来る。

 

しかし、健太のようにたった一人で介護して

いる場合は、余程早くから準備しない限り、

自分の思うような施設を選ぶことなど

出来ないのだ。

 

「どの道を選んでも、後悔する可能性がある」

 

健太は、みどりに少し待ってもらって、

和室の仏壇の前に座った。

 

「親父、俺はどうすれば良いんだろうか。

おふくろの為に、どの道を選べば

良いんだろうか」

 

しばらくして、みどりの前に戻ってきた

健太は言った。

 

「みどり、哲也のグループホームの入所待ち

にする。

今入れる所は、断ってくれて構わない。

 

どうせ、後悔するなら、一番おふくろに

入って欲しい施設で後悔したいんだ」

 

健太! よく決心したね!

 

TO BE CONTINUED・・