265 敏腕ケアマネジャー | プレ介護アドバイザーはまじゅんのおしゃべりサロン

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みどりは自分の事務所に戻ると、

早速明日の準備に取り掛かる。

 

様々な状況を想定して手配しておかないと、

いくら敏腕ケアマネのみどりでも、

一日で解決することはできない。

 

しかも、明日でやっと正月6日、入所施設は

いっぱいでてんてこ舞いの時期で、

通所系の施設はやっと始まったばかり。

 

どこに頼むにしても、無理を

お願いするしかなかった。

 

みどりは、頭の中を整理するために、

メモに書き出す。

 

「① 入院が必要な場合に弥生病院の病室に

受け入れてもらえるか

 ② 入院が不要の場合に、デイサービス

ぽかぽかさんがお泊りで預かってもらえるか。

期間はどれぐらい可能か

 ③ 要介護認定をどうするか。家族の協力

が得られるか

 ④ ケアマネや施設との契約に家族の協力

が得られるか

 ⑤ 要介護認定結果待ち状態で、ショート

ステイを受け入れてくれる施設があるか

 ⑥ おそらく要介護3以上は出るだろう

から、最速で入所できる特養はどこか」

 

書き出しながら、みどりの頭の中では、

協力してもらえそうな施設や職員の

顔が次々と浮かんでくる。

 

長年のケアマネ経験で作り上げた人脈が、

こういう時にこそ役立つのだ。

 

「まずは、弥生病院の看護師長さんに

電話だね」

 

みどりは、大きく深呼吸して背筋を

伸ばすと、各所に早速交渉を始めた。

 

施設関係に連絡を入れて、おおよその手配が

済むと、みどりはLINEで高橋さんに

連絡を入れる。

 

「高橋さん、お正月早々すみませんが、

緊急訪問の仕事が入りました。

 

明日の午前9時に現地ですが、

お願いできますか。

 

3日までお仕事でお疲れだと思いますが、

よろしくお願いします。

 

もし、お願いできるようなら、詳細は

電話でお話したいので、お電話ください」

 

大村課長の話しぶりから、静子は相当悲惨な

状況だと思われる。

 

みどりと川崎先生が手続き関係の話をして

いる間に、静子の身の回りの世話をして

くれる人がどうしても必要だった。

 

「高橋さんとお話した時は、滅多に無い

からって思ってたのにね。

 

こんなに早く困難ケースがやって来るとは、

今年も忙しくなりそうだわ」

 

コーヒーを飲みながら、事務所のスタッフに

明日の件を説明していると、

高橋さんから電話が入った。

 

「田中ケアマネ、あけましておめでとう

ございます。早速お役に立てるようで

嬉しいですよ」

 

高橋さんの声は明るくて、年末年始に

連続出勤した疲れは感じられなかった。

 

「高橋さん、ありがとうございます。

新年早々ですみませんが、健太の会社の

社長さんからの依頼なので、よろしく

お願いします」

 

みどりは、おおよその説明をして、詳しくは

明日迎えに行った車の中で話すことにした。

 

部屋の中が荒れていると思うので、高橋さん

が必要だと思う物品を持参して欲しいと

お願いした。

 

「わかりました。俊子の時に使っていた物が

まだ残っていますから、持って行きます」

 

高橋さんが来てくれることになったので、

みどりは少し安心した。

 

明日の午前中に一気に事を進めるためには、

自分は静子の世話をしている時間は

取れないだろうと思っていたからだ。

 

「さて、何とか目途が立って来たから、

健太に報告しておかないと。

きっと、色々と心配しているだろうからな」

 

時計を見ると、もうお昼はとっくに

過ぎている。スタッフが持って来てくれた

お菓子をつまみながら、みどりは健太に

LINEをした。

 

「健太、お仕事お疲れ様。

大村課長の件、明日の午前中に高橋さんと

川崎先生と一緒に、大村課長の自宅を訪問

して、母親の静子さんと面談します。

 

大村課長、ずっとほかりっ放しにしていた

みたいだから、家の中も静子さんも悲惨な

状況だと思われます。

 

静子さんが、適切な介護を受けられるよう、

全力でお手伝いしますから、敏腕ケアマネ

の私にどうぞお任せくださいね」

 

すると、すぐに健太から返信が来た。

 

「みどり、本当にありがとう。

富岡社長からも川崎先生からも、優秀な

ケアマネを紹介してもらって本当に

助かると言われたよ。

 

社長はみどりの事大絶賛で、今度

一緒に飲みに行きたいと言ってたぞ。

 

正月早々の忙しい時期にごめんな。

また、この借りはおごるからな。

 

高橋さんまで行ってくださるなら、

大助かりだ。

 

どうぞ、よろしく頼むな」

 

健太! 持つべきものは敏腕ケアマネの友だね!

 

TO BE CONTINUED・・