抑え切れない「幼児的凶暴性」を
さらけ出した。先週の衆参両院の
予算委員会で、野党から不都合な
質問を受けた安倍晋三首相が質問
中に的外れのヤジを飛ばし審議中
断する場面が何度もあった。いず
れの委員長からも戒められたのに
、改めようとせず居直る始末であ
る。反対意見に耳を傾けるどころ
か相手を罵倒、中傷する行為を繰
り返す。さらに地元の支持者ら「
身内」を多数招待、税金で飲み食
いさせた「桜を見る会」は、公選
法の利益誘導の疑いが濃厚にな
った。今国会の最大焦点はまた
「首相の資質」と「国政私物化」
になってきた。
先週8日の参院予算委員会のテレ
ビ中継を見ていて、首相のだだっ
子のような振る舞いに「まったく
懲りていない」と言葉を失うほど
だった。立憲民主党の杉尾秀哉議
員が放送番組への安倍政権への不
当な政治介入を高市早苗総務省に
ただし始めた時、安倍首相が座っ
たまま杉尾議員を指さし「共産党
」とヤジを飛ばしたのである。す
ぐに杉尾議員が「何ですか。私は
立憲民主党です」と激高したのは
当然だった。
杉尾議員の会派を知っている首相
がわざわざ間違えて質問中にヤジ
を飛ばしたのは、最も痛い点を衝
かれたからだろう。感情を抑え切
れず出たように映った。自分がい
つも野党を非難する時使う「レッ
テル貼りはやめて」を。自分こそ
が率先して言っているシーンだっ
た。わずか2日前の衆議院予算委
では、立憲の今井議員に加計学園
に関する文科省文書に萩生田光一
文科相の名前があったことを追及
した時、首相のヤジで審議が中断
していた。
この場面も見ていたが、首相のヤ
ジは文書を「あなたが作ったので
は」と中傷していた。その表情の
キレ具合に、驚かされた。既に安
倍政権になって20回以上も不規則
発言をして注意されていた首相に
は何の学習効果もなく。むしろ異
様さがエスカレートしている。
そんないわれなき攻撃を受けた今
井、杉尾両議員がすぐさま反論し
審議中断を求めたのは当然だ。し
かし、棚橋泰文予算委員長と金子
原二郎参院予算委員長は野党の抗
議時間を審議時間に加え中断をし
なかった。二人はすぐ横にいる安
倍首相に直接注意もできず、後に
官房副長官を通じて「慎むよう」
と伝えるだけだった。特に棚橋委
員長の首相べったりの運営ぶりは
明らかに公平さを欠いた。
首相自らデマを口にして平然とし
て居直り、謝罪もしない。二人の
野党議員は「これ以上質問できな
い」と即刻席を立つべきだった。
国権の最高機関を侮蔑するに等し
い首相の行為のひどさを広く有権
者に、もっと強い調子でアピール
すべきだろう。
杉尾議員の質問の後、田村智子(
共産)が追及した首相開催の「桜
を見る会」(4月13日、新宿御苑
)の実体は首相の「国政私物化」
を濃厚に思わせる内容だった。首
相の地元(山口県)の支持者ら8
50人が前夜都内で前夜祭を催し
首相夫妻があいさつ。翌日貸し切
りバスで「桜を見る会」に参加、
高級酒、バーベキュー、スイーツ
など飲み食いしたという。
この会の会計はすべて税金で出費
され、毎日新聞によると2014年
が1万3700人、3005万円だっ
たのが、今年は人数が約5000人
も増え。来年度予算は5730万円
を要求している。内閣府は首相の
地元からの招待者名簿を破棄し
たという。首相の「税金を使った
お友だちへの選挙対策」ではない
か。公選法の供応買収に相当しそ
うだ。これも「身びいき」を抑え
ら切れず権力を行使してしまう「
幼児性」の表れだろう。共産に続
き、玉木国民民主代表は「追及す
る」としており、他の野党も一体
となって公益を損なう「私物化」
の実態を明らかにすべきだ。
【2019・11・11】
(写真は「桜を見る会の安倍首相
、4月13日新宿御苑で。毎日新聞
から)



