「いった何時まで先延ばしにする
のか」。年が明けても合流をめぐ
り結論が出せない立憲民主と国民
民主の党首会談にうんざりする。
昨年末には「年内を目指す」と言
っていた枝野幸男、玉木雄一郎両
氏は一致点を見いだせない。「桜
」「カジノ汚職」「自衛隊中東出
兵」……政権交代が起きてもおか
しくない失態続きの政権の延命を
許し続けるのは、大同団結に導け
ない二人の執行力不足と狭量さに
も起因する。こんな言葉がある。
「政(まつりごと)を成すは人に
在り」(中庸)
政治は人物如何という根本を改め
て思い知らされる。
また合意に至らなかった10日の党
首会談は、来週の再会談に持ち越
した。「新党は名乗らない」とい
う枝野代表に、党内をまとめきれ
ない玉木代表は「9月先延ばし」
を口にする始末だ。この間、野党
が一本化して政権に対峙できる勢
力を示すことができていたら、随
分政局の展開は変わってきたはず
である。
20日から通常国会が開会しても、
国会の勢力図が変わらないままで
は、本来崖っぷちに立たされてい
るはずの安倍首相を追い詰めるこ
とは難しい。糾弾するベクトルの
変化とパワーアップを図らなけれ
ば、同じ繰り返しになる。内閣支
持率が不支持を下回り始めた今が
最大の好機であるはずなのに二人
にその自覚が見えず。外向きに何
のメッセージも発しない密室会談
は不信感を強めるだけだ。
特に玉木代表はまったく党内を掌
握してないことをさらけし続けて
いる。参院に一部が合流に反発し
ているというが、原発ゼロに政策
転換できない電力系組合出身の議
員は原発利権に固執しているだけ
で、新たな路線に沿えないなら出
てもらうよう説得したら良い。自
身が新たな路線を作る気概がない
まま、何回会談を重ねても同じだ
。落ちるところまで落ちて1%に
もならない国民民主の支持率を考
えると、立憲路線に乗るしか生き
残りの道はないようにみえる。
民進党分裂時、小池百合子氏に擦
り寄った戦犯の前原誠司氏らが新
たな党に入る資格などないのでは
ないのか。むしろ細野豪志議員の
ように自民党に行ってもらうほう
がすっきりするだろう。政治の常
である合従連衡にも大きな潮流を
見誤っては勢力拡大は図れない。
同じことが枝野代表にもあてはま
る。党首会談で玉木代表を追い詰
めているだけのように見える。民
進分裂時に排除されたうらみつら
みをまだ引きずっているように見
えて仕方ない。昨年の参院選では
その前の衆院選に比べて300万
票も減らしたのは、「れいわ」支
持激増などをもたらした新たな波
を吸収できなかったせいである。
相変わらず「党名は変えない」な
どと吸収に固執するから他の野党
からの賛同も広がらない。
「安倍政権打倒」という一点でま
とまり、大同団結を目指すのが野
党第一党党首の役割ではないのか
。こんな好機はまたとないはずだ
。ゆるやかな連合でも選挙協力で
も良い。
そして新たな価値観を掲げて野党
が一本化して政権に向かいあう構
図を作り上げることが重要だ。戦
後政治に例をみないほど「政治の
私物化」と汚職がまかり通るこの
国の政治。現政権に終止符を打た
せるための冷徹な戦略を立てる知
恵を募る時である。新たな政治的
要求をスローガンに掲げて勢力を
急拡大したドイツの緑の党は二大
政党に失望した若者を中心に支持
を集める。「温暖化排出ガス抑制
」などの政策が共感を広げ、メル
ケル首相率いる中道与党を支持率
で上回るほどだ。大いに参考にす
べきだろう。
【2020・1・11】
