メディア支配の内幕が暴露された | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

安部政権が不当にメディアの政治

報道に不当介入していた内幕が白

日の下にさらされた。昨日の参院

予算委員会で、総務省の内部文書

が明らかになり、当時の磯崎陽輔

首相秘書官がTBSの報道番組に

「番組にはおかしいものがある」

と圧力をかけていた実態が詳細に

綴られていたのである。岸田文雄

首相は「正確性や正当性が定かで

ない」と答弁したが、文書の存在

を否定できなかった。このニュー

スは、放送各局に自らの存在意義

が根本的に問いかける。しかし、

各局は他人事のようなの扱いが目

立つ。自民党政権にいかに政治的

に隷属してきたかを改めて示して

いる。

立憲の小西洋之参院議員が総務省

職員から入手したという2015

年から書かれた内部文書は約80枚

にのぼり、当時の安部首相や高市

早苗総務相らがTBSの「サンデ

ーモーニング」や「NEWS23」

を問題視していた発言が時系列に

沿って細かく記述されていた。真

偽を問われた松本剛明総務相も「

精査中」と内部文書であることを

否定できなかった。

文書には磯崎首相補佐官が放送法

4条に定める「政治的公平性」に

ついて、放送事業者の番組全体を

みて判断するとの解釈変更を迫る

場面がリアルに記述されていた。

磯崎補佐官は「一つ一つの番組を

見て全体を判断すべき」と総務相

の担当者に迫っていたのである。

思い出されるのが、当時の高市総

務相が「一つの番組でも、極端な

場合は政治的公平を確保している

と思われない」と言及、場合によ

っては放送局の停波もあり得ると

恫喝したことである。この時自民

党は在京6局に選挙報道に「公平

中立」を要請する文書まで出して

、選挙報道に圧力をかけ、言論弾

圧という批判がわき上がったほど

だ。

それでも安倍政権はメディアへの

政治関与を強め、放送各局は圧力

に屈してしまったのである。NH

K・クローズアップ現代の国谷裕

子キャスター、テレビ朝日・報道

ステーションの古舘伊知郎キャス

ター、TBS・NEWS23の岸井

成格アンカー、同膳場貴子キャス

ターが一斉に降板させられた。以

後、放送各局は政権の意向を受け

入れしまい、政治報道が加速度的

に劣化してしまった。その象徴が

報道の自由度ランキングが世界71

位に落ちてしまっていることだ。

日々の情報番組でも政権批判は極

度に抑えられ、ニュースもまるで

政府のプロパガンダのような表現

に変容させられている。権力の腐

敗や暴走を監視して、視聴者らに

警告する最大の使命は忘れ去られ

たままである。

そもそも「政治的公平」を誰が判

断するのかという疑念が払拭でき

ない。特に第二次安倍政権は海外

メディアから「ウルトラ右翼」と

呼ばれるほど、戦前の保守思想回

帰を指向してきた。いわば「右」

に行き過ぎた立場からみて、真ん

中は「左」によりすぎて見えるだ

ろう。「公平中立」は情報の受け

手である視聴者がそれぞれ判断す

べきなのである。

民主主義の大義を掲げる米国の憲

法修正第一条は「報道の自由」を

うたい、政治権力より優先させる

機能を保障している。しかし、放

送事業者に求めた「フェアネス・

ドクトリン」(公平原則)があっ

ても、左右双方の立場から偏向報

道も目立ち「政治的公平」を維持

できないとして、この原則が撤廃

された。以後FOXニュースのよ

うな政治的に右よりの放送局も誕

生したが、今は時の政権から規制

を公平原則の規制を受けず、政治

的立場が異なる自由な報道が放送

が成立している。

政権がメディアを支配しようとす

るのは専制政治への逆行である。

「自民党1強」という政治の現状

は、総務相による電波免許行政を

含め政府の強固なメディア規制も

起因している。それを見抜く視聴

者のメディアリテラシー(情報の

真偽検証)能力も問われている。

    【2023・3・4】