元首相の暴言、妄言が止まらない | 平野幸夫のブログ

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ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

新年早々から元首相2人の暴言、

妄言が止まらない。麻生太郎元首

相は講演で、岸田文雄首相が決断

した「防衛増税」について根拠も

なく「多くの国民の理解を得た」

と決めつけた。菅義偉元首相は自

分が派閥の力に頼んで首相の座に

ついたのを忘れたのか、派閥会長

の岸田首相に「派閥政治を引きず

っている」と批判し、再登板への

権力欲をむきだしにした。2人の

暴言や妄言は政局の主導権を握ろ

うとする裏の意図が透けてみえ、

辟易させられる。共に不人気で退

場を強いられた過去を忘れたよう

な暗愚さが際立つ。

相次ぐ自分勝手な放言は岸田首相

の内閣支持率低迷が背景にある。

何を言われても、首相が自分に刃

向かう力がないことを見越してい

る。麻生元首相の発言はエールの

押し売りのように恩着せがましく

映るが、かえって逆効果だろう。

近く開会する通常国会では、審議

の最重要テーマになることは間違

いない。岸田首相から防衛力強化

のために増税が必要という明白な

説明は何もなされていない。専守

防衛から逸脱する「敵基地先制攻

撃」は攻めどころが多く、野党か

らサンドバック状態にされるので

はないか。防衛の専門家からも「

相手国に仮に攻撃の兆候があって

も、こちらから攻撃されれば、一

挙に全土が反撃される」という指

摘も出た。日本にそれを防げる防

衛力はない。国内の米軍基地周辺

も攻撃対象になって、一般市民が

巻き添えになる危険性が高まるの

は必至だ。

そんな時、米国のシンクタンク「

戦略国際問題研究所」(CSIS)

から背筋が寒くなるようなレポート

が公表された。2026年に、中国

軍が台湾に上陸侵攻した時を想定し

た机上演習によれば、在日米軍や自

衛隊基地が攻撃され26隻の艦船や平

均122機の航空機を失うとされて

いる。

この机上演習では中国軍は台湾の全

土制圧には失敗するが、台湾軍は約

3万5000人の犠牲者を出すとい

う。米国の演習運営者は「中国は多

くのシナリオで在日米軍や自衛隊基

地を攻撃した。日本は九州・沖縄の

基地の強靱化など、備えを進めるべ

き」と指摘する。いったん戦争が始

まると、お互いに一般市民が巻き込

まれるのは疑いようがない。そんな

事態を招かないためにも、今こそ市

民が反戦の声を上げなければならな

い。

国民的合意もなく、岸田政権は防衛

費倍増のための増税を政治決断して

しまった。この動きをストップさせ

るには、通常国会の審議で徹底追及

されなければならない。野党やメデ

ィアは過去の歴史を繰り返さないた

めにに重大な覚悟が求められている

のである。タレントのタモリが「今

は新しい戦前か」と問いかけ話題に

なった。肌感覚で、きな臭さを感じ

取ったからだろう。残念ながら、多

くの野党議員や記者らにそんな自覚

さえないのではないか。

特に岸田首相の欧米行きに付き従う

同行記者らは現地から政府のプロパ

ガンダを一斉に報道している。英国

ではスナク首相と合意した軍事協力

を新たな「日英同盟」ともてはやす

。米国では外務・防衛閣僚(2プラ

ス2)協議で、日本の敵基地攻撃能

力を双方が確認し合った。この後の

岸田首相の訪米に向けた最大の土産

だったことが分かる。日本が攻撃力

を高めれば、それだけ一般市民のリ

スクが高まるのは必至で、中国の台

湾侵攻時机上演習でも確認された。

防衛設備購入も米国の言い値で買わ

されるだろう。

ジャーナリズムで大事な懐疑的視線

を保てない随行記者らは、その発信

記事によって好戦的気分を盛り上げ

る罪深さがある。権力者に寄り添う

「御用政治記者」らは「金魚のフン

」と侮蔑される。情けないことに、

ここ数日彼らが発した記事がメディ

アにあふれそうだ。

    【2022・1・12】