年間の平均家計支出増は14万円(2
人以上世帯)。生活用品の相次ぐ
値上げラッシュや燃料費高騰の影
響について、民間のエコノミスト
らが衝撃的な数字を公表している。
市民生活の窮状をよそに、政府は
防衛費倍増を打ち出し、その財源
として24年度からの増税を決めた。
そんな中、連夜飽食三昧を繰り返
す岸田文雄首相ら政権幹部に対す
る怒りが高まる。23日から始まる
通常国会は約300億円以上にの
ぼる議員特権の剥奪や定数削減を
最大の政治テーマになるべきでは
ないのか。有権者の「痛み」を知
ろうとせず、危機をあおるだけの
政治に決別させる年でありたい。
年頭の訪米前、岸田首相は「異次
元の少子化対策」に取り組むとア
ピールしたが、具体策は皆無だっ
た。そんな無策を見越してか小池
百合子東京都都知事が子供手当1
人5000円と0~2歳時の第二
子以下の保育料無償化を打ち出し
た。今春の統一地方選を見据えた
得票作戦にも見えるが、国の無策
を際立たせたのは確かだ。したた
かな小池知事の「風見鶏」政治で
も「手厚い支援」と子育て世帯か
ら歓迎されている。
一方、岸田首相はホワイトハウス
に到着時、バイデン大統領に玄関
で出迎えられたと側近が親密さを
アピールする。しかし、米国への
「属国化」を一層進める防衛戦略
を土産にしたのだから、無碍にす
るわけがない。国民に「増税」と
いう痛みを強いて、自分だけ媚び
をうったとみられても仕方がない。
帰国後も、高級レストランで側近
や知人との宴会を繰り返す。16日
も宴席が待ちきれないように銀座
の高級日本食店で歯科医連盟の幹
部と贅沢な料理をたんのうした。
「飽食終日、心を用うるところな
きは、難きかな」(論語・孔子)
飲んで食べてごろごろして、さっ
ぱり頭を使わない連中はまったく
困ったものだという孔子の嘆きだ
。やる気のない人間に成長や進歩
がないと孔子が嫌った為政者像と
岸田首相ら政権幹部の姿が重なる
。そんな姿を見てか、麻生太郎元
首相も自分のことを棚に上げて、
地元で岸田首相を「あまり頼りな
い」とこきおろした。言い過ぎと
思ったのか続けて「間違いなく日
本は世界の中で地位を高めつつあ
る」と持ち上げてみせた。また「
リーダーシップがないという理由
はどこにあるのか」と褒め殺しの
言葉を放った。まさに「どの口が
言うか」であるが、岸田首相を嫌
っている本心は表れている。
その麻生元首相も以前自分の政治
資金管理団体「素准(そわ)会」
の政治資金から3年間で約600
0万円もの飲み食いをしていたこ
とを指摘され、今も続いている。
銀座や六本木のバーレストランへ
の支出はすべて交際費名目だった
。有権者の血税が毎晩、飽食をむ
さぼる議員らの胃の中で浪費され
ているのである。
防衛費増税でネット上では「国会
議員定数を大幅に減らせ」「交際
費など議員特権の剥奪を」の声が
高まり始めた。こんな批判をすく
い取った週刊アエラの特集記事(
14日付)が注目される。明治大研
究員の分析によると、国会議員の
年収は約2200万円で国家公務
員の最高給を上回るといい、国会
法に違反している。他にも年間1
200万円の調査研究広報滞在費
が、領収書なしでOKで支給され
ている。給与と合わせると約35
00万円近くになる。これは米国
の1914万円、ドイツ1466
万円、英国1126万円を抜いて
、先進国トップである。
さらに年間780万円の立法事務
費、JR無料パス、定期航空券な
どが支給される。総額を国会議員
数で割ると、実に1人4200万
円の費用がかかっている計算にな
るという。議員数も大きく他国を
上回る。まさに「議員天国」であ
る。
岸田首相らの使う官房機密費は中
身が分からないままだ。与野党議
員らがともに「甘い蜜」を吸いあ
っている実態を変えるには、有権
者が一段と強い批判の声を上げ続
けるしかない。
【2023・1・17】