「漂流政権」の野放図なバラマキ | 平野幸夫のブログ

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ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

もはや「漂流」としか言いようの

ない混迷ぶりだ。岸田文雄首相は

事業規模71兆円の経済対策を策定

したが、自民の萩生田光一政調会

長らに押し切られ、補正予算案を

一夜で4兆円増額してしまった。

国会の審議なしで使える予備費か

らの流用で、物価高対策をうたう

が、与党の選挙対策目的に使われ

るバラマキが目に見えている。首

相はいまだに最大派閥安倍派をコ

ントロールできない指導力のなさ

をまたも露呈した。政府は防衛族

議員の求めるまま攻撃用ミサイル

「トマホーク」の購入を米国に打

診した。「専守防衛」の国是まで

無視する岸田政権の行き着く先の

危うさが日増しに募る。

どちらが首相でどちらが党幹部か

強く疑う予算編成劇だった。先月

末、財務省が一般会計からの規模

を25兆円と決め、首相も了承した

夜、萩生田政調会長が党の会合で

「納得してない」と岸田首相にク

レームをつけた。そんな強面な声

を無視すればいいのに、首相はは

ね返すこともできず、言われるま

ま予備費4・7兆円の上積みを認

めてしまった。統一教会問題で癒

着が指弾され、本来であれば「謹

慎の身」であるはずの萩生田政調

会長を更迭すべき局面であるのに

、首相は「分かりました」と平身

低頭で応じてしまった。情けない

ことこの上ない。

党内4番目の派閥を率いる首相が

最大派閥の威勢を恐れた結末で、

もう「漂流政権」の実相が隠せな

くなった。同じ頃、明らかになっ

た「トマホーク」購入打診も首相

が防衛族の意向をくんで指示した

とみられる。こちらは国の防衛方

針を根本から変える政策転換であ

る。既に自民党のタカ派議員らか

ら「敵基地攻撃能力の保有」の声

が強まっている。国会の審議もな

いままの今回の打診は、攻撃型ミ

サイル導入を既成事実化する動き

だ。専守防衛の憲法にも反し、明

らかにウクライナの戦争に乗じて

防衛予算倍増を目論む火事場泥棒

のような策動だ。萩生田政調会長

はここでも安倍元首相の米国兵器

爆買い路線を引き継ごうとしてい

る。補正予算で安易な妥協をした

岸田首相がこの流れに抗するとは

とても思えない。むしろ、政権維

持のため丸のみするおそれさえあ

る。

岸田首相をハト派の宏池会領袖と

みるのはもう幻影にすぎない。自

民保守派に操られる「ロボット宰

相」とみる方がふさわしい。自ら

の確固とした政策スタンスがない

。党内の大な勢力の声を聞くだけ

であれば、いつか「用がなくなっ

たら」捨てられる宿命かもしれな

い。内閣支持率を好転させる目途

もなく、このままではズルズルと

下がり続け、首をすげかえられる

時期が案外近いかもしれない。

有権者はこんな政治の惨状にもっ

と声を上げる時ではないか。円安

に何の手も打てない政権のせいで

、一般市民の台所は値上げラッ

シュに見舞われ、一世帯当たり、

年間10万円近い負担増を強いら

れそうだ。さらに、政府は年金

での60歳から65歳まで保険料支

払い期間の延長を言い始めた。つ

いにというべきか、このままなら

一般サラリーマンは年金支給が5

年先延ばしにされ、100万円の負

担増になる。あくまで試算とされ

るが、政府は世論の「NO」とい

う大きな抵抗がなければ、一気に

進めるだろう。

この国の経済の惨状はひたすら金

融緩和だけに頼り、賃金アップ政

策をとらなかったアベノミクスの
破綻であることはもはや隠せなく

なった。再生させるには安倍路線

からの大転換しかない。所得再分

配政策をとり、老後の不安のない

社会保障の充実を目指すべきだろ

う。時代錯誤の防衛予算倍増など

けっして看過してはならない。


    【2022・11・1】