国会外で共感得られる行動を | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

全国の新型コロナウイルス感染者

の自宅療養者数がついに10万人

近くになった。東京都では、入院で

きた感染者はわずか9・5%だ。千

葉では感染して出産が近い妊婦が

入院できず、母子が死亡するなど

各地から医療崩壊による痛ましい

事例が連日伝えられる。それでも

菅義偉首相や小池百合子都知事

は臨時の大型医療施設を求める

声にも答えず、リモート勤務や外出

を控えるよう呼びかけるだけだ。内

閣支持率が発足以来最低になる

のは当然である。首相は来月上旬

の解散を画策していたが、これも断

念したという。自ら解散権を行使で

きない首相の選択は総辞職か自民

党総裁選出馬断念しかなくなった。

新聞の川柳欄に「来年の今頃は第

10波のだだ中」という句が載ったい

た。デルタ株の猛威をみれば、皮肉

だけでなく、どこか真実味を帯びる。

こんな高まる政権批判を何とかかわ

そうと、菅首相はしきりに「酸素ステ

ーション」の設置や重症化を防ぐ抗

体カクテル療法の効果をアピールし

始めた。しかし、いずれも入院して行

う治療である。保健所から数日間何

の連絡もなく、重症化してしまう患者

の救済には直接つながらない。全国

で毎日、50人以上が新たに重症化す

るのは、政府が病床を増やす施策を

とっていないのが、最大の原因だ。

メディアや医師会がいくら臨時の大型

医療施設の設置を求めても、知らぬ

顔をきめているのは、厚労官僚が動

かないからだ。これまでの対策の欠

陥を認めるような選択を自ら提示す

るはずもない。それを変えられるの

は、政権幹部の言動しかない。ずっ

と後手後手の対策ばかりを容認して

きた菅首相らも急に「やれ」とは言え

ないはずだ。そもそも首相には自ら

医療限界を招いた自覚もうかがえ

ない。

為政者は過ちを率直に認める資質

が求められる。菅首相にはそれが決

定的に欠けている。もし既に二カ月も

閉じている国会を開き、野党からも

知恵を借りる姿勢を見せれば、変わ

るのにそれができない。そんな度量

のなさが際立つ。ひたすら感染の波

が収るのを待つだけでは、無能とし

か言い様がない。野党はもっと医療

限界を招いた政権に強い姿勢で対

峙すべきだ。

政府が動かないないなら、全国の医

師会や専門家会議の学者らが協力

し、自治体に病床増床を働きかける

べきだろう。福井県の体育館を利用

した臨時の大型コロナ感染者収容施

設などの事例を大いに参考にしたら

良い。「若い人の行動がカギを握って

いる」と口癖にのように言う小池都知

事は唐突に「渋谷で若者に予約なし

でワクチンを打ってもらう」と言い出し

た。しかし、施設名も分からず誰が

請け負うのかも不明で、どれだけワ

クチンを確保しているのかも示さなか

った。思いつきのパーフォーマンスと

しか思えない。小池都知事から実効

ある新たな施策を聞いたことがなく、

いつも標語のようなフレーズを繰り

返すだけだ。都の感染症対策部は小

池知事のやる気のなさを忖度してか

、新たな臨時大型施設の必要性につ

いて否定的だ。

度重なる失政を糾弾するのなら野党

は、もっと具体的な医療支援策や法

改正をメディアにアピールすべきだろ

う。野党系の千葉や埼玉の知事とタ

ッグを組み、自治体独自の「野戦病院

」を実際に作るのも一案ではないか。

例えば、全国の平和の名がつく共産

系の病院の支援を得られるはずだ。

新たな感染者が頼れる臨時の施設

を実際に見せることができれば、多く

の共感を得られるだろう。真に政権

を目指すのなら、批判だけでなく国

会外で汗を姿を見せてもらいたい。

        【2021・8・21】