「ラムダ型流入隠蔽」は犯罪だ | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

「現在のような危機は聡明な政治

家がいなければ乗り越えられない

」。新型コロナ感染医療の最前線

に立つ倉持仁医師(宇都宮市)の

怒りの言葉である。聡明と対極に

ある言葉は愚鈍。「人流は抑えら

れている」と「ワクチン接種は進ん

でいる」としか口にできないまま結

局、ついに1日2万人を超す感染

者数をもたらした菅義偉首相には

「愚鈍な政治家」の名がふさわし

い。しかし、それだけは済ます訳に

はいかない致命的な隠蔽が発覚

した。政府が五輪期間中の2週間

、変異株「ラムダ型」の流入を隠し

続けたのである。それはまさに人

命を軽視した、現政権の国家的

犯罪にも相当する。

昨日の毎日新聞デジタル版によれ

ば、南米ペルー由来とされる「ラム

ダ株」について、米国のニュースサ

イト「デーリービースト」は今月6日、

日本国内でこの変異株が五輪直

前の7月下旬に確認されていたの

に、政府は五輪後に発表する予定

だったと報じた。この記事は国の感

染研の研究者の証言に基づいてい

た。厚労省はこの記事を受けての

国内報道機関の問い合わせに、よ

うやく初確認を認めたという。さら

に共同通信はこの感染者が五輪関

係者だったと伝えた。

ラムダ型は現在猛威をふるうデルタ

型以上に高い致死率をもたらすとさ

れ、世界各国が水際作戦を強化し

ていた。それなのに、なぜ国内で確

認直後に公表されなかったのか。誰

が口止めを指示したのか。医療関

係者から疑問視され野党も追及し始

めたが、その疑問に与党自民党から

信じがたい釈明が飛び出した。

「ひげの隊長」で知られる佐藤正久・

自民外交部会長が「もっと早く問い合

わせがあれば、答えた」と居直ったの

である。佐藤会長は「空港で陽性にな

った人のゲノム解析はすべて行ってい

る。早く発表すべきだったが、政府内

で情報が情報が共有されなかった。ラ

ムダ株に対する意識の高さがなかった

」(中日新聞)と説明したが、2週間も隠

蔽した事実経過を明白にしなければな

らない。国民の命と安全に関わる最重

要情報を公開しなかったのを容認する

発言をするのは、「与党の政策責任者

以前に議員失格である」と言いたい。

国民に「不要不急の外出を控えて」と呼

びかけながら、15日の敗戦の日に靖国

神社に参拝した自民党議員らにも同じ

言葉を投げかけたい。

「コロナ無策」でついに内閣支持率が

軒並み20%台にに急落した菅首相は

その焦りからか先週末、唐突に「酸素

ステーション」を設けると言い出した。

自宅療養者の症状悪化に備えるため

だが、具体策は何もない。症状が急

変した患者はそのステーションにどう

移動できるのか、誰がその対応をす

るのかなど詳細が不明で、思いつき

の域を出ない。首相は軽症者の重症

化を抑える「抗体カクテル」を投与で

きる拠点を整備すると明らかにしたが

、対象患者も不明である。
そもそも、各地の保健所がパンク状

態で、自宅療養者に十分連絡できな

い惨状が続いているのだ。入院もで

きない患者に誰が投与するのか、そ

の手当もせず、口にするのは無責任

の極みである。

今医療関係者が口を揃えて早急な整

備を求める臨時の大規模収容施設に

ついては、知らぬ顔を決めているかの

ようだ。昨年春の感染拡大時からの

強い声を無視続けたせいで、今さら

口にするのは自分らの失政を認める

ことを恐れているためとしか考えられ

ない。

保身に汲々とする愚鈍な指導者を交

代させる時が迫っている。首相の地

元の横浜では22日に市長選の投開

票がある。争点はカジノの是非から

政府のコロナ対応に移ってきた。首

相が全面支援する現職閣僚を辞任

した候補が野党候補に逆転されたと

の世論調査も出た。もし、このまま与

党候補が負ければ、自民党内で「菅

首相で総選挙は戦えない」という声が

一段と高まるのは必至だろう。冒頭

の倉持医師が「至急おやめになった

方がいい」と発言した通り、既に菅内

閣のカウントダウンが始まっている。

 

           【2021・8・16】