医療従事者370万人のうち、た
った4万人しか目途がたたないコ
ロナワクチンの接種。「やってる
素振り」ばかりが目立っていた「
ワクチン太郎」こと河野太郎担当
相の言葉が混乱を広げている。「
(種類を)それぞれ選択していた
だく」と見得を切っていたのが、
国会で「打つ、打たないの選択が
できる」と修正し開き直った。製
薬会社との契約内容も不明で、接
種予定日程はまったく信用できず
、「コロナ失政」が積み重なる中
、菅義偉首相の長男正剛氏と総
務省幹部との接待疑惑が一段と
深まっている。五輪組織委会長人
事の画一報道ばかりに目が向か
されているが、安倍晋三前首相の
「モリカケ」と同じ構図の身内優遇
で、国政私物化を進めた菅首相の
自身の疑惑の一端であることを忘
れてはならない。
総務省の最高幹部級の4人もがな
ぜ供応に応じたのか、その疑惑の
構図は菅首相の「支配構造」の説
明抜きでは語れない。発覚時、菅
首相は長男を「別人格」と言い訳
していたが、それが通用するはず
もない。総務相時代にわずか25歳
で秘書官に起用した長男は、その
後首相と同郷の秋田出身の「東北
新社」創業者に頼んでコネ入社し
ていたのである。
昨年末から立て続けに4回も菅首
相長男から豪華な飲食接待とタク
シー券を提供されても「相手が利
害関係者と思わなかった」と釈明
していた総務省審議官ら4人。衆
院予算委で追及され、ようやく「
利害関係者であることは否定でき
ない」と内部調査が行われている
。長男が衛星放送チャンネルの免
許を持つ「東北新社」の子会社役
員だったことを知らずに、幹部が
が揃って供応を受けることなどあ
り得ない。こんな綱紀の乱れを最
近見聞したこともない。豪華な飲
食と金券の授受は「賄賂」にあた
り、刑事の贈収賄事件の様相を色
濃く漂わせる。
菅首相は総務相時代、NHKの組
織変更に否定的だった課長を更迭
し省内を震え上がらせた。その後
任に起用したのが今回接待を受け
ていた総務審議官である。この宴
会に一緒に出席した情報流通行政
局長は国会答弁に立ち、「衛星放
送の話をしたか」と問いただされ
「記憶にない」とかわし「東北出
身者らの懇談だった」と意味不明
の言い訳をした。
今回の接待疑惑は衛星放送免許を
得たい東北新社の事業が根底にあ
る。4人の立場では首相の長男か
ら宴会に招かれれば断れない。
コロナで自粛中の忙しい師走にも
関わらず何回も応じたのは菅首相
の強権があるからである。「別人
格」などという釈明がいかに白々
しいか、通用するはずもない。総
務省の内部調査では、疑惑を払し
ょくすることなどできない。刑事
告発に発展してもおかしくない事
案である。
なぜなら、菅首相自身が「東北新
社」から政治献金を受けているだ
けでなく、有力支援者の滝久雄・
ぐるなび会長の事業が深く関わっ
ているからだ。疑獄取材で定評の
あるノンフクション作家の森功氏
は「NEWSポストセブン」で、
詳細にレポートしている。
森氏は接待のあった12月14日は東
北新社の衛星放送「スターチャン
ネル」の事業認可更新日の前日だ
ったことを明らかにしている。滝
氏は囲碁振興イベントに熱を入れ
、東北新社が放送を始めた囲碁・
将棋チャンネルの講座を提供し支
援している。昨秋、滝氏が文化功
労者に推薦された時、「そんな功
績があるのか、菅首相の強権が働
いたしか思えない」と疑問視され
た人物である。ぐるなびは「Go
Toイート」の事業者でもある。
森氏の「縁故主義(ネポティズム
)の根は深い」との記述に大いに
うなずかされる。菅首相の国政私
物化は前首相以上かもしれない。
(冒頭の人脈図はNEWSポストセ
ブンの森氏の記事から)
【2021・2・17】
