「たくらみ」を使う幼児性 | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。


 まるで漫画の中で、悪者が支配してくる国が攻めてくるようなイメージを思い起させ、のけぞってしまった。集団的自衛権行使容認の閣議決定後の記者会見で、安倍首相は「日本に戦争を仕掛けようとするたくらみをくじく大きな抑止力を持つ」と憲法解釈の変更を正当化した。しかし、海外で武力行使する基準をきかれ、まともに答えなかった。その言葉からは、根拠のない脅威ばかりをあおる思考の幼児性ばかりが浮き立つ。
 「良くないことを計画する」。広辞林による「たくらみ」の意味だ。国の指導者が記者会見で、そんな感情を露わにして情緒的言葉を使った例などあっただろうか。安倍首相の隠れた意図は、すさまじい勢いで軍拡路線に走る中国が念頭にあると見受けるが、仮にそうだとするなら、どこまで危機が迫っているのかを示し、解釈改憲を急ぐ理由を説明するリーダーとしての義務があるはずだが、それさえなかった。
 「明白な危険などは抽象的で歯止めにならない」と記者に突っ込まれても「慎重の上にも慎重に、慎重を期して判断していく」と抽象的な答えしか聞こえなかった。
 危うくて仕方がない。残念ながら「この国民にして、この政府」という警句が当たっているような、国民の無関心ぶりが歯がゆい。それでも、官邸周辺には1日夜、1万人もの人が集まり、深夜まで抗議の声を上げた。このまま「戦争をする国になる」という危機感を、あまり政治に関心を向けなかった層に募らせたともいえ、そこに、かすかな光を見た思いにさせる。
 最重要なことはクロをシロと言いくるめる「たくらみ」に、長く怒りを持続させることだ。それが出来れば、次回選挙で政府の欺瞞を打ち砕けるはずだ。暴走する権力に「ノーという民意」を確実に広げていくしかない。
【2014・7・2】