心を癒やすバッハ演奏 | 平野幸夫のブログ

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ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

心を癒やすバッハ演奏


  ささくれだった気持ちにさせる出来事があまりにも多い中、少しでも心の平穏さを取り戻すのに最適なクラシックCD盤を推奨したい。


 アマチュアゆえ、これまで自ら好きなクラシック音楽を人に語ったことはあまりなかったが、最近これぞというバッハのピアノ演奏に出会った。


それが、アメリカの女性ピアニスト、シモーヌ・ディナースタインの「インベンションとシンフォニア」(ソニー・クラシカル盤)だ。


 どの曲にも深い精神性を感じるバッハの曲が好きで、ピアノ、チェンバロ、オルガンなどの鍵盤楽器による演奏のCDをこれまで50巻以上を収集し、聴いてきた。次第にアンドレ・シフら好きなピアノ演奏者は限られるようになった。今、どのレコード店のクラシックコーナーでも大きな位置を占めるカナダのグレン

グールドは当初「ゴルトベルク変奏曲」などをよく聴いたが、今ではこの曲以外はどうも深みに欠けるように思える。


 そんな時出会ったディナースタインの「インベンションとシンフォニア」は格別目立った演奏技法があるかどうかは判然としないが、その流れるような旋律を巧みに奏でた曲集は、いつの間にか心を静謐さで包んでくれ、気分を落ち着かさせる。

 彼女が2005年のカーネギーホールでのソロリサイタル以来、クラシック好きのニューヨーカーらの心をわずかな期間でつかんだ理由が分かる気がする。09年には、新アルバムが1週間で、ニューヨークタイムス紙とロサンゼルス紙のベスト盤にランクされたという。

今回の「インベンションとシンフォニア」で「2000年代で最高のバッハ弾き」との評価も得た。ディナースタインは知的な美人で、地元の公立小学校で演奏活動を続け、クラシックの魅力を知ってもらう活動をしているのも一層好感度が増す。


 嫌なことがあって、気分が落ち込んだ時、ディナースタインの演奏を聴けば、知らず知らずのうちに心が癒されるはずである。


(手に入れやすいのはタワーレコード各店)


【2014・7・4=米国の独立記念日に合わせて】