趣味ができた。

ピクニックだ。

 

ずっとずっと、

むず痒かった趣味の話だが、

これで大手を振って言える。

 

私はピクニックが趣味ですと。

 

これにはいくつか段階があった。

一つ目の転機は料理だ。

 

幼少の頃私は食事が嫌いだった。

好きなものが少なくてご飯が食べられなかったのだ。

 

給食の時間では毎回居残りさせられるので、すっごい少量しか盛らなかったのを覚えている。

 

量が食べられるようになったのは高校卒業してからだった。その後、35歳を超えてから料理に目覚めた。

 

そこから私はグルメになった。

美味しい食事が好きになったのだ。

 

これが第一の転機。

 

そして第二の転機はお茶を始めたこと。

中国茶の岩茶を飲むようになった。

 

台湾の茶壷で入れるので作法などあったものではないのだが、これが私の性に合っていた。

 

何しろ茶道具集めが楽しい。

コレクター心も分かるようになった。

この頃から自分は「茶人」として生きようと思ったのだが、なんだか据わりが良くないのだ。

 

やはり肩書は生き方の方向性のようなものがのってくるのか、なんかしっくりこないという感じがしばらく続いた。

 

もちろんマインドは茶人なのだけどまとっている空気が笑ってしまうほど茶人ではないのだ(まぁお茶が美味しければ良いか)。

 

そして三番目の転機はキャンプだった。

沖縄の砂浜、そして御蔵島の星、屋久島の夜の海中温泉。

 

これらにいたく感動した経験があったからか、

いつしか星空の下でそのまま眠りにつきたいという欲求がでてきた。

 

はじめはキャンプ道具を集め、

外で珈琲を飲むための持ち運び用の道具も集めるようになった。

 

見た目重視でスタートしたキャンプであったが、

いざ車に積み込むと、今から引っ越すんか!というぐらい車がパンパンになった。

 

これはあかんとなり、ほどなくしてULというジャンルがあることを知った。

 

ULとは「ウルトラライト」との略で、荷物を軽くすることに特化しているジャンルだ。

 

もともとは長く歩くために荷物を軽量化し、体の負担を軽くする目的で始まっているのだが、普段財布も持ちたくない私としてはとても愛称の良いジャンルだった。

 

「不安が荷物を増やす原因」という格言を元に、

ガンガン物を最小限にしていくのは気持ち良さもある。

 

ULハイキングは距離を歩くために荷物を減らしているのに対して、私はピクニックがメインなのだ。別に距離を歩きたいわけでも、山々を縦走することを目的しているのではない。

 

ただ気軽に自然の中でリラックスして食事など充実した時間を過ごすことが好きなのだ。

 

それを身軽に行うことが気軽さへと繋がるのでULが良いのだ。

 

だから私がしたいことは「ULピクニック」ということになる。

 

3つの転機が重なってピクニックが趣味と言えるようになった。

 

食事をし、珈琲やお茶で一服したあとは、楽器を持って自然に入り、巨石の上で奏でてみたりするのがなんだか幸せなんだよな。

 

これまで色んな沼があったが、UL道具沼が一番深い。そして値段が高い・・・