いつもお世話になっております日刊スポーツの木南さんがシャンティイに立ち寄るという先週末。
英仏ダービーの為に来られたとの事ですが、折角なので普段の調教を案内出来ればと思い、リオン坂路までお連れしました。
自厩舎では全馬4脚バンデージ。こちらフランスで日頃より各馬にこれほど手をかけている所は皆無です。怪我があってからでは遅いんですがね。
調教ライダーにも恵まれ、この水色帽子の方は元仏G1ジョッキーのフランソワ。経費削減にと人件費をケチっては元も子もないと自分は思っています。
1頭1頭の日々の状態を読み取り、ライダーの技量・性格にあわせ、毎日の調教の指示を的確にするのも仕事の1つ。
ただしヨーロッパナンバー1とも言われる広大な調教場ですので、ただ一つダートの普通キャンター用のコースにしても2つの手だけでは数えきれない程の数があるため、各コースの特徴をピンからキリまで把握しておかなくはいけません。
屋根無しの馬場ですので雨が降ったらダートは不良。自然にはどうあがなっても勝てませんので、人間の方が代替え案、強いては代々替え案を持っていないと満足に調教は出来ないと思います。
2か月前にちょっと来て、いきなりレースでは厳しいと思う数ある中での1つの理由です。
それに加えて一見草原、ラチなど何もないエーグル芝コースも絡んでくるので、バリエーションは非常に豊富。そこを組み合わせていくのも調教師としての楽しみの1つであったりするわけで。
厩舎には日本人の方が研修に来られることがあります。その際は、少しでも多くの事を実経験してもらうよう、自分も精一杯下準備をしていますので、自厩舎を通じこちら欧州の人間も認める世界一のサラブレッドの質を誇る日本への橋渡し役になれれば、とも思っています。
人間にも恵まれ、上写真右栗毛サクラゼンセンと上々写真マオズシーナの2歳馬2頭の馴致は完璧、あとは調教を積みデビュー戦を待つ最終段階へと入っています。
手塩にかけてきたせいか、他調教師同業者からは2頭とも古馬に見間違われるほどの馬体的成長を見せてくれており、緒戦そしてそれ以降が楽しみですね。
頭数が増えてくるとそれに応じて忙しくはなりますが、その分楽しみも増えるというもの。
栗本様、椎名様(仮名順にて失礼致します)の両オーナーの日頃よりの信頼に改めて感謝述べさせて頂きたいと思います。
次回レース当日編へと続きます。