フランスの2歳戦事情。 | 調教師日誌 ~仏・シャンティイーより~

調教師日誌 ~仏・シャンティイーより~

2008年渡仏。2017年調教師免許取得。フランス競馬の中心地シャンティイーでの厩舎日常風景。

今朝よりフランスでは夏時間が施工されています。詳しく説明すると今朝2時⇒3時になります。よって日本との時差は7時間。

 

 

この時間調整により、朝は日の出が遅くなる一方、夜は日の入りが遅くなるという、夜型人間には大歓迎の夏時間でもありまして。

 

 

これから暖かなるにつれ、フランス人大好きのバーベキュー&アペリティフがより盛んになる季節です。

 

 

色々な事があったので時系列順に述べさせて頂きますが、今日は中山4レースでぐりぐり君こと犬塚様所有のヘッドストリームが初勝利。これが犬塚オーナにーとりまして個人所有馬の記念すべき初勝利となりました。改めておめでとうございます。

 

 

スタートより行きたがる面を見せ鞍上はそのまま先頭へ。この道中のロスが最後に響くかと思われましたが逆に最後は突き放しての快勝劇。まだまだ先があるであろう勝ち方でした。

 

 

そして中京8レース。タナパクこと田中博康調教師も初勝利を飾りました。おめでとうございます。

 

 

個人的にどっちが先に調教師として勝つか競争をしていたのですが完敗です。メシおごらさせて頂きます。

 

 

道中フワフワしたところを見せ、最終コーナーで手応えは微妙に見えたのですが、最後は前が止まったこともあり、外に出すと一気の伸び。勝つ時はこんなものです。

 

 

さて今日の本題フランスの2歳戦。

 

 

世代最初のレースは決まって3月初旬のサンクルー競馬場は900mクレイミングレース、そして同下旬の同距離同コースの新馬戦というのが基本的流れです。

 

 

シャンティイーを始め比較的北に位置するパリ近郊の調教場では冬季に馬場が凍結する為、この時期には2歳馬が仕上がらないことが多く、実際この時期勝つのは気候が冬も穏やかな南仏の馬。

 

 

2歳戦に重きを置くフランスでは早熟血統でものちのち種馬として日本で考える以上に評価されるのでそれも文化の違いとでも言いましょうか。こちらでは強い馬は道悪良馬場、距離不問で強いはずという絶対強者的考えが根強くあるので、7-8月まで1600mの新馬戦が出てきませんが、1200mに期待馬をおろすことを躊躇わないのでしょうね。

 

 

現在清水厩舎では2頭の2歳馬が在厩しています。

 

 

恐らく今年の2歳一番手は栗本様所有の父プラントゥーの栗毛牝馬。母父はテオフィロ。当ブログの読者様でしたらどの仔かご存知かと思います。

 

 

3000€という超バーゲン価格で10月ドーヴィルの1歳馬セリで競り落としたこの仔ですが調教の動きは目を見張るものがあります。馬は値段では無いという事を実感させてくれます。

 

 

先日はG1仏オークスやG1ジャンプラ賞を勝ったこともある調教師より『この3歳馬はなに?』と聞かれました。実際は2歳馬ですがそれくらい動けているという証拠、一流調教師の目に適ったという事実は自身の眼の裏付けにもつながり心強い限りです。

 

 

デビューは8月ドーヴィル開催の前を予定し、とっても楽しみな夏が過ごせそうです。