ヒップホップが好きなら、
いや、ヒップホップ好きに限らず
音楽が好きな人なら、
アメリカのヒップホップを
聴き始めるだけで、
その世界観の広さ、
そしてトラック作りの多様性に
感じ入るものがあるはずだ!と思います。
アメリカは広大な国ですからね、
地域が違うだけで人種も雰囲気も何もかも
違った文化が根底に流れていたりします。
そんな地域性と音楽の関わりは、
決して浅いものではないようです。
私は洋楽ヒップホップに関しては、
正直詳しくありません。
でも、逆にいえば、
私くらいの知識レベルでご紹介する内容が、
一般のヒップホップファンたち、
そして音楽好きが楽しめる、
ちょうどいいラインになると思います。
きっと専門家ではなかなか語りづらい、
ちょうどいい知識を提供できるはずです。
私もひとつずつ学んでいったとき、
専門家の語るものは詳しすぎてなかなか入り口に足を踏み入れることができない、そんなことがたくさんありました。
さて、ヒップホップといえば、
その発祥の地はそもそもどこでしょうか?
これはよく言及されることですが、
東海岸、ニューヨークのブルックリンと言われています。
B-BOYのBは
ブルックリン(Brooklyn)のBだと
言われたりしますが、
それくらい重要な場所と言えるでしょう。
「聖地」ですね。
音楽としては王道の、
ビートを刻んだトラックに
バイブスを効かせたラップ、
というイメージです。
それに対してわかりやすいのが、
ウェッサイ(ウエストサイド)の音楽。
つまり東海岸の音楽に対して、西海岸の音楽です。
N.W.A(Dr.DreやIce cubeなど在籍)を筆頭にsnoop dog、2Pacなどが代表的な存在として挙げられます。
開放的でメロウなヒップホップで、リゾート感とともにギャングスタラップな派手さも持ち合わせている、そんな文化を形成しています。
PVなどを見るとわかりますが、ローライダーと呼ばれる、車高が極端に低い車を乗り回し(ときにバウンドさせながら)、開放的な道をキラキラしたアクセサリーを身につけながら走る姿は、都会的な狭いニューヨークの街並みで繰り出されるラップとはやはり質の異なるものです。
これは日本で言えば、DS455などに見られる横浜に代表されるヒップホップといえるでしょう。
まさに海岸をドライブしながら聴きたい
そんなゆったりとしたトラックやフロウが
特徴的な音楽といえます。
リゾート地でもあるので、
その緩やかさ、余裕の大きさが、
トラックにも現れているように思います。
次に注目するのは
北東部に位置するデトロイトでしょう。
ここはなんといっても、
エミネムの出身地として一躍、
世界的に脚光を浴びるようになりました。
デトロイトは失業率や犯罪率が高い危険な街と言われています。白人と黒人の対立もあったようですね。
そんななか、白人のラッパーとして「フリースタイル」からのし上がってきたのがエミネムです。
新しさ、実験的サウンド、フリースタイルあがりらしいラップのうまさも含めたクレバーさを感じるヒップホップという印象です。
もちろん、エミネムの音楽がイコールデトロイトの音楽ではありませんし、さほど詳しくはありませんが、D12、Obie Triceなあど王道のヒップホップにひと手間加えたようなトラック、サウンドを提供してくれます。
そして最後は中南部のアトランタです。
こちらは白人の多い北部に比べて
逆に黒人の多い地域と言えると思います。
私の好きな
Arrested developmentはまさに
アトランタ出身てすが、
民族楽器を用いたようなあのパーカッション使いはまさにわかりやすいオリジナリティといえるでしょう。
なぜか懐かしい気持ちにさせられると同時に、
身体の一番深いところからソウルを揺さぶられるような感覚になる、そんなトラックをもとにしたヒップホップです。
重低音やスクラッチをきかせたいわるゆ「ヒップホップ」なトラックとは異なるトラックに乗せて、でも語られるラップはとても滑らかで聞き心地がいい、そんなヒップホップのように思います。
以上、広大なアメリカを東西南北4地域に分けてヒップホップの音楽に触れてみました。
ヒップホップとはそもそもフィクション的なものではなく「リアル」を表現した音楽です。
それゆえに、
ラッパーやDJたちが生きる
それぞれの土地に根づいた
ある種の音楽というものが
生み出されるのでしょう。
日本でも
熊本の餓鬼レンジャー
仙台のGAGLE
名古屋のTOKONA-X
北海道のthe blue herb
そんなヒップホップアーティストたちが
独自のラップを生み出しています。
土地とトラックを結びつけて楽しむのもまた、ヒップホップ!
いいものかもしれません。