★短歌コンクールの入賞記録 | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  ★短歌コンクールの入賞記録

 

 ここ1、2年の、学生が応募した短歌コンクールの入賞結果をまとめています。私の短歌ゼミは、数十年にわたって実績を残していますが、最近のものだけまとめます。

 学生の皆さん、おめでとうございます。

 短歌は素晴らしい世界ですね。短歌ゼミは数十年間、コンクールで大きな成果を残してきました。学内では誰の目にも止まりませんが、皆さんの努力は私がよく知っています。

 皆さんの作品の輝きも、とても素敵です。

 

★2024年5月

第150回明治神宮献詠短歌大会

佳作

日本文学科4年 小林大輝

思ひやる遠き思ひ出遠き人我は一つの空になりたし

 

★2024年2月

第29回「前田純孝賞」学生短歌コンクール

 

準前田純孝賞

海老原凪流 2年

衣替え夏の支度はできたからブックカバーも水色にする   

 

選者賞

平山香月 2年

幸せに匂いはあるのと問う君に籠いっぱいのパンを焼く朝   

 

新温泉町長賞

谷口茉子 3年

ビルの間で窮屈そうに沈む陽がまんまるのまま見えたふるさと   

 

新温泉町教育長賞

劒持瑚亜 3年

惜しみつつ静かな朝の食パンに君が残したいちごジャム塗る   

 

 これ以降、すこし古い記録は、大きな賞のみ記します。

 

 青山学院大学の日置俊次(ひおきしゅんじ)短歌ゼミは、現代短歌の研究のため、自分で作品を作って批評しあう歌会を授業に採り入れています。作品は学外の短歌コンクールに積極的に応募しています。日置俊次は馬場あき子の歌誌「かりん」編集委員で、歌誌を毎月編集・選歌しており、熟練した歌人です。短歌教室も長く続ける、練達の指導者です。

 入賞しているのは、授業を受けるまで短歌を作った経験のない初心者の学生ばかりです。

 入賞結果だけ報告すると、入賞は簡単なのだと思う人が多いのですが、どうか自分でやってみてください。とても難しいのです。もちろん、どんな分野でも、全国コンクール入賞は難しいことはご存じのはずです(すぐに揚げ足取りをする沙悟浄はしらないかもしれません)。

 上記のコンクールはすべて、選者も有名歌人で、しかも無料で応募できるコンクールです。伝統のある賞ですので、日本全国から多くの短歌愛好者が必死に応募しています。これは今年だけ入賞したのではなく、もう何十年にもわたって、毎年、毎年、農家が大切に稲を育てて収穫するように、黙々と続けられてきた話です。

 マラソンや駅伝で入賞すると大騒ぎになりますが、この長期にわたる短歌コンクールの連続入賞には、その意味に気が付く人がほとんどいません。

 

★2022年10月

第16回全日本学生・ジュニア短歌大会」(主催:日本歌人クラブ、後援:文化庁・毎日新聞社・東京都教育委員会)高校・大学生の部

 

選者賞

新井日向(文学部日本文学科3年)

この虹を向こう側から見る人もぽかんと口を開けてるかしら

 

秀作賞

佐々木美友(文学部日本文学科2年)

マスクとり自分を解放する瞬間下着脱ぐより遥かにはだか

 

秀作賞

蓮江友佳子(文学部日本文学科3年)

「別れよう。見たんだ昨日、」隣席の時が止まった。本でも読むか。

 

秀作賞

富田美月(文学部日本文学科4年)

非常口走り続けるランナーは緑の世界が平常である

 

★2023年2月

第28回「前田純孝賞」学生短歌コンクール

 

【準前田純孝賞】

ダンボールからゆらりと溶けだすふるさとの温度と匂い新聞の文字

青山学院大学三年 新井日向

 

【選者賞】

口元が上書きされた顔ばかりマスクの下にかくれた八重歯  

青山学院大学四年 朝原拓海

 

昼下がり優しい風に揺れているワイシャツみたいな自由がほしい 

青山学院大学大学院修士課程一年 小舟 萩

 

【新温泉町長賞】

ポニテする窓際であおぐ空の虹これからわたしのほどかれる夜

青山学院大学四年 三井らん

 

【新温泉町教育長賞】

何時からか世界は着色されていた!古写真に架かるモノクロの虹

青山学院大学二年 上條雄飛

 

【神戸新聞社賞】

夜空から押しよせる波クロールで泳げば行けそう満月のうえ

青山学院大学二年 佐々木 美友

 

【学校特別賞】

青山学院大学

 

★2023年3月

松山市立子規記念館の第28回「はがき歌」全国コンテスト

 

佳作  鶴岡文芽 2年(当時)

浴衣姿のきみにどきどきする心映してピチャンと金魚が跳ねる  

 

★2023年9月

第24回杉原千畝記念短歌大会

 

勇気賞  日本文学科3年 田原柚花

この右手はいのちを奪うためでなくペンと箸と手を握るためにある

 

優秀作品 日本文学科3年 鶴岡文芽

地上から二メートルで争い合う僕らに世界はあまりに広い

 

★2023年10月

第24回若山牧水青春短歌大賞

 

佳作入賞  日本文学科3年 小林大輝

足はまだ京都以南に赴かず小林とふ地一度踏みたし

 

★2023年10月

第18回全日本学生・ジュニア短歌大会

 

優良賞   

矢野皓介(2年)

鉄の蛇。ガタンゴトンと進んでは「エキ」で止まってヒトを飲み込む

 

松岡真結子(4年)

「突然の雨ばっかりね」玄関に家族の数より多い傘たち         

 

奨励賞

小林大輝 3年

雨ざらし踏まれたマスクも吸って吐く地球の息を受け止めている     

 

武藤美悠 3年

一つだけ空いたまんまの座席には僕には見えない神様がいる

 

行縄希未 3年        

きみの手がわたしの背表紙に触れたとき、この本棚の狭さを知った。     

 

   

  昨年のゼミ生 青山表参道交差点にて

 

   

   皆様のご健康をお祈りいたします。

   そして皆様に、すばらしい幸運や喜びがやってきますように。

   いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。